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フリーランス人事が価値提供できる採用の振り返り方法

こんにちは!「フリーランス人事研究所」広報のゆいです。

忙しかった新卒・中途採用共にいったん落ち着いてくるのが初夏だと思います。採用以外の業務も抱えているインハウス人事は、業務を振り返る時間もなく次の業務に取り掛かってしまいがちです。

「重要だけど緊急ではないこと」に取り掛かるサポートをするのが、フリーランス人事の価値提供の一つだと思います。次の採用業務に活かすために、意味のある振り返りをすることが大切で、「やって満足」にならないための注意点・方法について、今回はお伝えしていきます。

【このシリーズを読んでほしい人!】
・フリーランス人事になったばかりの方
・インハウス人事からフリーランス人事へキャリアチェンジをした方
・採用業務での成果をクライアントに効果的に伝えたいフリーランス人事

【このシリーズを読むことでのベネフィット】
・採用業務での成果をクライアントに納得をしてもらうやり方がわかる
・契約を継続してもらいやすくなる


振り返るための注意点

①全体と細部を行き来しながら振り返る

まず、全体像と細部の両方を見据えながら振り返ることが重要です。採用はCX(Candidate Experience=候補者体験)全体を通してのものであり、候補者が最初から最後までどのような経験をしたかを振り返ることが必要です。そして、そのプロセスの中での細かな点も見逃さずに確認することが大切です。

例えば中途採用において、内定承諾率が悪いという課題があった場合、内定者フォローに注目してしまいがちですが、採用フロー全体を通して考えてみると、会社説明が不十分で内定者の理解が薄かった・面接官が応募者の入社意欲を醸成できていなかった・ミスマッチな人に内定を出している等、要因はいろいろあると思います。

自社らしい採用をするためにどこを改善したらよいかは、全体と細部を行き来して振り返ることができるよう、フリーランス人事がサポートしたいところです。

採用CXについてはこちらの記事をご参考にしてください。

②定量的な面だけでなく定性的な面も振り返る

振り返りの際には定量的な面だけでなく、定性的な面も考慮することが不可欠です。採用人数が目標に達しているだけでなく、採用された個々の人材が企業とどれくらいマッチしているかを評価することも重要です。採用の評価は、単に数字だけでなく、その人材が企業の文化や価値観とどれだけマッチしているかにも関わってきます。

入社後マッチしているかの定性的な評価はすぐには出来ないので、入社後半年や1年を区切りに、入社後オンボーディングの一環として本人の振り返り1on1をしたり上長評価を確認したり出来ると良いです。ヒアリングするための下準備をフリーランス人事が担うと付加価値を付けることが出来ます。

③クライアントと一緒に振り返る

業務委託として採用に関わり、コンサル的な動きをしていると、会議をするための数字をまとめたり一方的な発表をしたりすることがあると思います。ですが、私は、振り返りの際にはクライアントと一緒に行うことが望ましいと考えています。

自分だけで振り返り資料を作成し、それをクライアントに提示するだけでは、クライアントの当事者意識が薄れてしまうかもしれません。クライアントと共に振り返ることで、両者の理解が深まり、今後の改善点や課題に対する解決策を一緒に検討することができます。

次項からクライアントと一緒に振り返る方法についてお伝えします。

振り返り方法:定量的に振り返る

定量的に振り返る際に必要になるのがデータ整理と情報収集です。
両方をフリーランス人事が担ってしまうと一方的な発表になってしまうので、社内のデータ整理はインハウスの担当者に任せましょう。整理のやり方に困らないように、どの部分の数字を整理したらいいのかを分かりやすくしたシートを作って渡すと便利かと思います。
(とは言え、社長が採用担当をしている会社もあり、資料を作る時間も取れない場合もあるので、その場合は会議で一緒に埋めていくと他人事感は薄くなると思います。)

フリーランス人事は情報収集を担当し、必要な情報にフォーカスして伝えます。
まず、採用プロセスの歩留まりを他社と比較するため市場の平均を把握します。ここで注意してほしいのは、他社と比べて良し悪しを判断するためのデータではなく、ツール・手法が自社に適しているのかを把握するために使います。
新卒採用の場合は、全国や地域、採用経由別に歩留まりを見ます。そうすることで、自社が地場に強い・学校と関係値ができている等の強みを見つけることができます。一方、中途採用の場合は、採用経路や職種別に歩留まりを分析します。職種によって欲しいペルソナ人材が何を利用して転職活動の情報収集をしているかを把握するためにです。
このような情報は、各エージェントが保持しているので、普段からコミュニケーションを取り必要な情報を教えてもらえるように関係を築いておきます。

繰り返しとなりますが、大切なのは各項目の平均よりも多い・少ないだけで判断するのではなく、それが自社の採用プロセスの理想とどれだけギャップがあるかを確認することです。つまり、他社の平均値と比較するだけでなく、自社の採用戦略や文化との整合性を見極める必要があります。例えば、オーガニック応募が他社平均より低くても、リファラル経由での応募が他社より高ければ、自社の強みとしてリファラルが機能していることが分かります。オーガニックの数値が低いことはあまり意味を持ちません。したがって、各項目の数値を見る際には、自社の状況との関連性を考慮することが重要です。

振り返り方法:定性的に振り返る

採用CXを振り返るには定性的な振り返りが必須です。採用業務に携わった人の”感覚”について言語化し、チームで共有することで、コミュニケーションの取り方を改善していくことができます。

KPT法

私がチームで振り返るときに使っているおすすめのフレームワークは「KPT法」です。
KPTは、「Keep(良かった点を継続)」「Problem(課題)」「Try(次回試すこと)」の頭文字を取ったもので、次のような進め方で行います。

①準備
メンバー全員が編集できるシートを用意します。オフラインであればホワイトボードを下記の図のように区切ります。

付箋を用意して、参加者に配ります。意見は自由に出して良いと強調して伝えます。どんな意見が出ても後で整理をするので、細かいことでも参加者全員が意見を出すことが重要です。
なお、オンラインで実施する場合は下記ツールがおすすめです。参加者が使い勝手のよいツールを選択してください。

Microsoft Whiteboard
※Microsoftツールを導入している企業で使い始めやすい

②Keep
まず、現状で良いとされている部分や成功している点を洗い出し、付箋に記入してKeepに貼ります。これによって、良い部分を言語化・共有することで、チーム全体のクオリティを保持します。

③Problem
次に、現状で起きている問題や課題を付箋に書いてProblemに貼ります。問題の原因や影響を明確にし、解決すべき課題を具体的に把握します。

④Try
最後に、KeepとProblemで出た内容から新たに試すこと・課題の解決策を付箋に書きます。
付箋に書くことで同じ意見をまとめたり、関連する意見から施策を考えたりすることができるので便利です。

KPT法は参加者全員が意見を出すことができ、俯瞰しながら一緒に検討することができるので、当事者意識を醸成するのにとても便利です。
一方で、ファシリテーション力が試される手法でもあります。意見が偏ってしまったり、課題ばかりに目がいって良かった点を軽視してしまったりすることがあります。そうならないよう、フリーランス人事がファシリテーションをして議論がしやすい雰囲気作りをすることが大切です。

ファシリテーション力で成果が変わる

ファシリテーションをするときに私が注意していることは次の通りです。

①「○○に気を付ける、○○を意識する」は解決策ではない
Tryに対しての意見で出てくることがありますが、意識するとは具体的にどういうアクションになるかが不明瞭です。”精神論”は解決策にならないので、例えば面接のクオリティを上げるためにチェックリストを作成するというレベルの解像度でアクションを決められるように誘導してください。

②作業をめんどくさくして形骸化しては意味ない
例えば、「マニュアル化する・チェックリストを作る」というアクションは、クオリティの均一化のためのアクションになりますが、あまりにもマニュアルやチェックリストが多すぎると何を重点的にチェックしたら良いのか、どのタイミングで何を確認したらいいのかが分かりにくくなり、結果形骸化してしまうことがあります。ツールや仕組みに頼れるところは頼り、作業が複雑化しないように注意してください。

③ゴールを意識して内容がズレたら軌道修正する
話をしていく中で、論点がズレてしまうことがあります。会議の全体を見ながら議論ができているのかを確認するのがファシリテーターの役割なので、軌道修正してゴールに向かえるようにしましょう。
全員が見えるところに「本日のゴール」を書いておくと軌道修正しやすくなるのでおすすめです。

ファシリテーションは技術なので、何回も経験することで身に着けることができます。書籍がいくつか出ているので、自分にフィットした本を一冊読んでHow toを学び、何か会議があるときは率先してファシリテーションをするようにしてみてください。

振り返り後、次期の戦略を練る

振り返りをするとNext Actionを決めるところまで会話が進むと思います。そこがフリーランス人事の提案チャンスです。私なら、クライアントだけでアクションをしていく方法を提示しつつ、私がいることでクライアントにどのようなメリットがあるか(楽ができる・ノウハウを得られる等)を伝えます。
例えば、面接官のスキルを上げたい・目線合わせをしたいという課題があがった際、面接官トレーニングを提案したり、求人票の見直しが課題となった際、求人票たたき台作成を提案したりします。

具体的に採用CXのどの部分で付加価値を付けられるのか、全体を図にしながら説明ができると伝わりやすくなると思います。Crepeでは「採用CXジャーニー」を使っていて、クライアントと一緒に埋めていくことでフェーズ毎に何をすべきか分かりやすくなります。

ご興味がある方はこちらからDLできます。

まとめ

今回お伝えしたことをまとめると次の通りです。

振り返るための注意点
採用はCX=Candidate Experience(候補者体験)全体で振り返り、全体と細部を行き来する
・定量的な面だけでなく定性的な面も振り返る
・クライアントを巻き込むために一緒に振り返る
振り返り方法① 定量的に振り返る
新卒・中途採用それぞれで歩留まり平均を知る
・各項目の平均より多い・少ないだけで判断せず、それが自社採用の理想とギャップがあるかを確認する
振り返り方法② 定性的に振り返る
KPT法がおすすめ
・ファシリテーション力をつけることで会議の成果が変わる
振り返り後、次期の戦略を練る
フリーランス人事の提案チャンス。自分がいるとどういう付加価値がつくか説明する

フリーランス人事は外部の人だからこそ、社内の他業務やしがらみと関係なく意見を伝えたり第三者視点を持つことができます。それがフリーランス人事の付加価値となりますので、”虫の目”(細部に目がいく)になりやすいクライアントに変わって”鳥の目”(俯瞰的な目)になり、採用活動全体を通して自社らしさが出る方法を検討してください。

また、常日頃から情報収集をしておくことが、情報収集になかなか時間を割くことができないクライアントの役に立つことができます。研究所からの統計資料やネット記事だけでなく、エージェントからの生の声を聞く等、多方向からの情報が得られるようにしておきたいです。

最後に、私はファシリテーション力がフリーランス人事の価値を上げると考えています。俯瞰的に会議を見て全員が参加して議論ができるようサポートができるようになると、クライアントに喜んでもらえると思います。

Crepeの「すごい人事」では、チャレンジしたいフリーランス人事同士が、案件稼働後も情報のシェアをしています。人材開発領域経験のあるフリーランス人事も在籍しておりますので経験者からのアドバイスももらいやすいです。また、フリーランス人事としてキャリアアップするためのノウハウをメルマガで配信していたり

Notionで事例やツールを共有したり、他メンバーとの関わりができたりします。

まずはお気軽にお問い合わせください!

ライター:西田ゆい
名古屋の老舗企業とベンチャー企業で人事を経験後、独立してフリーランスの人事になる。現在は5~6社に入り、採用・労務・組織開発など幅広い業務を担当している。「誰もが楽しく働ける社会へ」を個人ミッションとして日々邁進中。

「フリーランス人事研究所」運営元:株式会社Crepe
「人事が変われば、組織が変わる」
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