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2024ファジアーノ岡山にフォーカス9『 ≫≫志垣マジックvs木山マジック〜至高の魔術戦〜≪≪ 』J2 第3節(H)vsレノファ山口FC


2024 J2 第3節(H)ファジアーノ岡山 vs レノファ山口FC

1、誇りをかけた戦い〜次のステージへ〜


 PRIDE OF 中四国を巡る戦いは、J1で複数回優勝経験のあるサンフレッチェ広島が、参加していない通り、どこかJリーグのトップレベルから一歩も二歩も引いた立ち位置の地方クラブが、手を取り一つの枠組みとして、Jリーグを盛り上げる目的から始まっとという認識で、私は捉えている。

 一時期は、多数のJ2クラブで覇権を争っていた時期もあったが、今はJ3の誕生と共に、当時J2であったクラブもJ3へと追いやられた。シーズンを重ねて行く中で、その目的や趣旨は形を変えつつも、ダービーとしての盛り上がりの形や枠組みとしての立ち位置を変えつつも年月と共に歴史に戦いの記録として刻まれてきた。

 この枠組みに参加するクラブで、J1に昇格できたクラブは、徳島ヴォルティスのみで、実績という面では、覇王的な存在であったが、スペイン路線で、躓いたことで、ここまで開幕3連敗という早くも先行きが心配な状況に陥っている。

 一方で、数シーズンぶりにJ2に戻って来た愛媛FCが、J3で培ってきたサッカーで、J2で堂々たる戦いをみせている。先日のルヴァンカップでは、長崎相手に得点を奪い合いを演じるなど、攻守共に逞しくなった愛媛FCという印象が強くなった。

 各クラブの目標こそ違うものの目指すのは、J2の頂、Jリーグの頂であるJ1でもある。何れは、J1の頂をという夢こそ広がるが、PRIDE OF 中四国は、J2の「頂」を目指す上で、選手を奮起させる枠組みであることに変わりない。

 昨シーズンのアウェイの桃太郎チャント返しを含めて、痛恨の同点打を許した失点を考えてもどうしても熱の籠る対戦の歴史と熱き想いが膨らむカードとなってきた。

 そして、この試合は、3節での対戦であるものの山口は、ここまで1勝1分3得点1失点。ホームのシティライトスタジアムで迎え撃つ岡山も1勝1分4得点1失点と、非常に良いスタートを切ったと言える両チームの対戦となった。

 序盤ではあるものの勝ったチームが上位に踏み止まるという熱いシチュエーションもまた気持ちが高ぶるポイントとなっていた。岡山としては「J2の頂」を目指すという目標に恥じない戦いで勝利を目指し、山口もまた「志垣レノファ」として、非常に良い状態で、岡山の地に乗り込み、勝利しか目指していない高い士気でこの日を迎えた。

 この両チーム順位や選手だけではなく、木山 隆之 監督と志垣 良 監督の戦いまでもが注目された1戦となった事で、まさに「個vs個」と「組織vs組織」と「監督vs監督」というサッカーの全ての要素が絡んだ対戦になるだろうという事が予想されていたが、まさしくそういった戦いの試合となった。

 この熱すぎる両チームの戦いをスギさんが気付いた範囲は、余すことなく振り返っていく。気付かなかったポイントや視点、局面を深くまで考察されたポイントに関して、他の(考察が私の先の先を行く)先輩レビュアーの方々のレビューを拝読することが楽しみで、私もそこを励みに勢い良くレビューを書いていきたい。

 今回のマジックに関する考察のレビューもあります。最下部にもはりますので、合わせて読んでいただけると嬉しいです。

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2、志垣マジック~石兵八陣~


・9グレイソンの両翼を封じる守備陣形


 この試合では、9グレイソン 選手が、競り勝ってもポストプレーで、決定機を演出するというシーンはほぼ無かったと記憶している。ここまでのリーグ戦の2試合では、9グレイソン 選手のポストプレーで、シャドーの2人と絡んだ攻撃が、岡山の決定機の始点となっていた。

 逆を言えば、ここを封じてしまえば、岡山の最大の武器を制限されることとなるので、抑える事ができるのであれば、抑えてしまいたい点はあるが、9グレイソン 選手のポストプレーを抑えることは簡単ではないですし、19岩渕 弘人 選手の推進力とパンチ力、27木村 太哉 選手のキープ力と意外性のある3選手を抑えるとなると更に難しくなる。

 ただ、ポイントポイントで、それらしき形こそ作っていたが、岡山が自由にできた時間帯は限られていた。特に前半は、山口は、ほぼ狙い通りの守備ができたのではないかと思います。

 具体的には、9グレイソン 選手には、山口の2CBが、視界に入る所で、2人態勢で、状況に応じて自由を奪いに行く形を採用していた。カバーリングに行くか、挟み込みに行くかはケースバイケースではあるものの、まず、この方法を1つの策として徹底していた。ただ、これだけでは、9グレイソン 選手が競り勝ってポストプレーで、シャドーに繋げれば、チャンスを作れる可能性も高い。

 当然ながら別の策を志垣 良 監督は用意していた。2ボランチをシャドーの2人マンマーク気味に付ける事で、そもそものパスコースを狭くする事とポストプレーでのパスが通っても、前を向いて、そのままドリブルでシュートまで行くというスピードに乗ったシーンは劇的に減らせるという策も用意していた。

 この2手一組の守備の約束により、岡山の9グレイソン 選手のポストプレーは、ほぼ封じられて、9グレイソン 選手は、ポストプレーヤーではなく、ほぼストライカーとしての役割しか果たせなかった。

 今後の9グレイソン 選手の対策としては、非常に有効となりそうな作戦ではあるが、これを完遂させる集中力や守備のバランスを90分間維持できるまで落とし込めるかは、また別問題が生じると言えるが、山口は見事にやってのけた。

・WBとDHへの守備の優先順位


 9グレイソン 選手のポストプレーがまさか3節で早くも封じられるとは夢にも思っていなかったが、岡山の武器はそれだけではない。岡山の左右のWBは、タイプが違う部分こそあるが、両選手ともスピードが武器の選手。中に人数を割いた分、ここで何度も突破されてしまえば、せっかく封じた9グレイソン 選手や19岩渕 弘人 選手、27木村 太哉 選手にシュートという流れになれば、決定機になってしまう。

 そういったシーンを極力少なくするように、左右WBへの守り方とDHへの守り方の方針と優先順位までしっかり約束事を徹底されていた。

 具体的には、左右のSBが、しっかり岡山のWBの縦を切る様なポジショニングや対応を意識することで、フリーで突破させる成功回数を減らせる意識を高く持たせていた。更に、山口の左右のSHが、間に合えば戻って囲い込んで奪いに行く形も1つの選択肢として持っていたが、流石に深くまで進入した時は、バイタルエリアを空けてしまうしまうと危険なシーンが増えてくるので、SBを信じて1対1で対応するという事を徹底していた。

 この時、9グレイソン 選手と19岩渕 弘人 選手と27木村 太哉 選手には、極力マークを付ける体制を維持して、左右のSHと2トップで、守備の隙を消すという部分を個の判断に委ねていた。ただ、この時、この4選手で、岡山のDH2枚とCB3枚を見ることとなるので、岡山の選手が、1人余ることとなる。

 岡山が余裕を持ってパスを回せる事もできるし、24藤田 息吹 選手が、フリーでシュートを打つというシーンがどうしても生じてしまうのは、止む無しと考えていた節がある。そこでやられたら仕方ないという考えで、それよりは、9グレイソン 選手と19岩渕 弘人 選手、27木村 太哉 選手をフリーとする方が危険という判断であったと思うが、結果的に山口の方が良い守備と良い攻撃ができたシーンが多かったように感じたので正解であったと言える。

 ただ、断っておくと、DHを完全にフリーとしているわけでもなかった。左右のWBに来た後の状況によって、SHが守備のフォローに回るかどうか動くという事は、違う所にある時は、違うタスクを担っている。具体的には、DHへのプレスも担っていた。2トップと状況によって、マークを受け渡して、対応していたので、ここまで上げたCF、シャドー、WBの5選手よりも、スペースと寄せが来るまでの時間がある。

 岡山の前半の多くの攻撃の形は、24藤田 息吹 選手と14田部井 諒 選手から始まる事が多かったのは、そのためである。しかしながら、岡山のDHの能力を軽視していた訳では無いが、山口が想定していたよりも、判断が速く正確であった上に、視野も広かった。そのため、山口の想定では、もっと攻める時間を作って、押し込む所も想定していたのではないかとも考えられる。

 もう1つの誤算としては、やはり左右のSBの1対1の所で、左右のWBに押しきられる部分が合ったところだろう。岡山としては、この山口の対策に苦しみながらも、優先順位度を逆手に取り、比較的突破口となり易い、左右のWBとDHを攻撃の軸に変えて、そこからの打開を図っていたのは、今季の木山ファジの強さと言えるだろう。

 ただまぁ、山口としても、ほぼ9グレイソン 選手のポストプレーを封じて、2シャドーの19岩渕 弘人 選手、27木村 太哉 選手をほぼ抑える事ができていたので、守備の狙いとしては、限りなく100点に近い出来であったと言えるのではないだろうか。

・攻守一体と守備の逆用


 山口が更に優れていたポイントとして、攻撃する時まで、守備を意識した攻め方をしていたことだ。ゼロファジさんの仰れていた疑似カウンターの狙い(岡山の選手を引き付けてその背後を突く狙い)もあったが、そこは1つの選択肢で、確率の低いシンプルなロングパスも蹴るだけの攻撃を繰り返す中でも、守備で取り返す形と岡山の攻撃の破壊力を著しく低下させる形を採用していたことで、結果的に、繋げる時は繋ぐし、少しでも危なく(守備の基本陣形が崩れそうに)なったらシンプルに前に蹴っても良しとすることで、ボールロストすることでのリスクは、かなり低くなっていた。

 こうして山口は、ローリスクの「繋ぎ」と「ロングパス」で、自分達の攻撃の形が整うタイミングを辛抱強く待ち続けた。その時とは、セカンドボールを回収できて、かつ、守備陣形を崩すことなく、攻める事ができる時である。

 この狙いは凄まじく、ここまでの守備の狙いを維持できたまま攻撃できる。岡山の陣地で、山口がボールを繋ぐ事ができていたのは、DFラインでボールを回す感覚での距離感とポジショニングをしていたからだ。

 岡山の寄せや1対1での対応が後手に回っていたのではなく、攻撃をしながら「岡山の危険な選手に仕事をさせる自由を与えないこと」を最優先したことで、岡山としては、ボールを奪い処を見つけることができず、守備に奔走することなった。

 そして、この均衡を打開するのは、やはり左右のSHと2トップである。守備の時の立ち位置が他の選手に比べて自由度がある通り、攻撃でも守備のタスクが軽い分、自由に動くことができる。

 山口としては、無理に攻めることなく、無難に繋ぎつつ、守備の綻びを探す事に徹して、少しでも見つかれば、そこを突くという作業を繰り返した。仮に、山口がボールロストしても守備の形が整っているので、DHの所と、WBから突破された時ぐらいしか、岡山のチャンスはなかったという前半であった。

 岡山としては、18田上 大地 選手であれば、その壁をフィード精度で突けた可能性こそあるが、5柳 育崇 選手のように空中戦で跳ね返すことができたかどうか分からないので、5柳 育崇 選手であったことで、岡山の守備機会を減らす事ができたと言えるかもしれないし、攻撃の形をCBの一本のパスで作り切れなかったと言えるかもしれない。

 とはいえ、こうした志垣マジックの前に、岡山は飲まれた前半であったが、自分達のサッカーができないというフラストレーションと、厳密にジャッジする判定が多かった事(多少は目が瞑って貰うことができていれば、山口の選手が倒れている状況なので、山口の守備にに隙が生じるが、そこで山口の選手が良い形でボール保持や守備ができていたことで心情的にファールの判定を呼び込んだという点まで作り込まれた完成度だった)へのフラストレーションの二重苦の中でも、ラフプレーや無謀な守備や攻撃の判断をしない冷静さが合った事で、後半に繋げる事ができたという前半であったように思うし、そこが今季の岡山の成長と強化された新たな武器と言える。

『 石兵八陣 』
石兵八陣(せきへいはちじん)とは、『三国志演義』で登場する架空の陣。 関羽の弔い合戦である夷陵の戦いの際、劉備の破れかぶれの戦法を危うく感じた諸葛孔明が蜀軍が敗走することを見越し、巨石によって前もって作成された。定期的に陣内で突風や波が起こるようになっている。物語中では、劉備軍を追ってきた陸遜軍は異様な殺気を放つこの陣を見て撤退した。

Wikipediaより一部引用
URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/石兵八陣

3、木山マジック~いつも通り~


 「策士策に溺れる」という言葉があるが、前半の内に山口が先制ができなかった事が、結果的に響いた。どちらかと言えば、「上策成就ならず」(スギさん的表現)の方がより正確な表現に感じる。結果的に、攻守一体の主導権を握る戦術であったが、岡山が思いのほか攻守で辛抱強く戦っていた事で、守備重視の策のために、得点を奪って、勝ち点3に繋げるという最大の目標への道が険しくなってしまった。

 後半に流れ変えた木山 隆之 監督の一手が、頻繁な左右のシャドーのポジションチェンジである。ここまでの岡山は、左は、19岩渕 弘人 選手。右は、27木村 太哉 選手という基本的な形を採用していた。ただ、後半からは、流れの中だけではなく、いつも以上の頻度で左右が入れ替わった。

 マンマークへのシンプルな変更だが、ポジションを大きく離れてしまう事で、前半の山口が誇っていた、シャドーの選手を抑えるという守備の形に綻びが生じる。27木村 太哉 選手や19岩渕 弘人 選手が、多少ボールを持つシーンというのが、前半に比べて、目に見えて増えた。

 特に効果覿面(こうかてきめん)であったのが、27木村 太哉 選手である。元々直感型のタイプの選手なので、理詰めで守備の形を採用する守備組織を攪乱させることができた。とはいえ、前半の山口が、岡山の守備を攻略できなかったように、岡山もまたそれでも山口のゴールを崩すということができなかった。

 それは、やはり岡山の最大の武器である9グレイソン 選手が抑えられていたからである。そこで、志垣 良 監督は、次の一手に打って出る。99ルカオ 選手対策として、用意していた屈強なCBである3ヘナン 選手を中盤のクリエイティブな役割を担える8佐藤 謙介 選手に変えて投入した。

 この時、基本的なポジションの変更があった。6キム・ボムヨン 選手を右SBに回して、右SBの15前 貴之 選手は、8佐藤 謙介 選手のボランチに変更。左CBには、3ヘナン 選手が入った。これによりDFラインの強さと跳ね返す力を高める事と中盤の守備を引き締めつつ、戦術のユーティリティー選手である8前 貴之 選手に一定の自由を許す事で、シンプルな守備の部分での対応力を上げて、柔軟に対応できる守備面のテコ入れを来た。

 これに対して、27木村 太哉 選手に変えて10田中 雄大 選手。右WBであった88柳 貴博 選手に変えて、左WBの42高橋 諒 選手を投入した。純粋な速さや強さだけではなく、運動量や俊敏性といったより捕まえにくい選手を投入することで、山口の守備対応の様子を窺ってから間髪入れずに、パワーとスピードが武器の99ルカオ 選手を19岩渕 弘人 選手に変えて投入する。

 岡山は、9グレイソン 選手と99ルカオ 選手というタイプの違うフィジカルタイプの選手と日本人らしい細かい動きのできるタイプが真逆の選手を投入することで、より攻撃の幅を持たせることで、徐々に山口の守備組織の綻びを突くことができるようになり、前半は、攻守で狙い通りの戦いができたいたが、後半は、岡山の攻撃の質や形の変化と、徐々に押し寄せてくる疲労により、そういった用意していた守備の強度を維持することが難しくなってくる。

 攻守の狙いの形ができない時には何が待っているかというと、それはすなわちオープンな展開での「個と個との戦い」が待っている。その結果、山口の守備のキャパシティを越えてしまい前半とは打って変わって、対応が遅れて、ファールで止めるというシーンが増えてしまった。

 前半でも山口の選手にもイエローカードが出る守備対応もあったが、前半のそういったプレーは、事故的な失点も許さないというリカバリーの守備対応であったが、この時間帯のイエローカードは、山口の守備組織の隙が大きくなってきていることによる部分が大きかった。

 そして、試合を動かしたのは、やはりいつものあの漢の頭からであった。23シーズンでも徹底していた5柳 育崇 選手を狙い続けるというCKやFKの形を、この時間まで攻守でハードワークしていたとは思えない、14田部井 涼 選手の23シーズン限りで引退した遠藤 保仁 さんのCKを彷彿させるボールで、守備範囲がかなり広いGKの21関 健太朗 選手が絶対触れない高さで、頭上を大きく超えて、ターゲットである5柳 育崇 選手の所で、急落下してくる優しい軌道のボールが、5柳 育崇 選手の頭に吸い込まれて、5柳 育崇 選手は、フリーで頭で、強烈なヘッディングシュートを叩きつけるように放つが、そこには、山口の交代策で築いた強固な山口の城壁があった。

 しかし、こぼれ球の先にいたのは、163cmとサッカー選手としては小柄な選手であった事で、まるで、城壁下の地面から内側に進入して、城内に雪崩れ込んだ奇襲作戦のように、下から上のネットを身長相応の小さな足の振りで蹴られたボールが得点を意味をする位置へ到達するとゴールの上のネットを揺らした。

 まるでそれは、このほぼ90分間続いたハイレベルな攻防の先に待っていたのは、力技で押しきる策でも知恵を絞った策でもなく、シンプルな「精度」と「高さ」と「運」であった。

 岡山のこれまので得点は再現性の高い。つまり、対策できる攻撃の形が軸であったが、完璧な「精度」のCKと、圧倒的な「高さ」と強烈なヘディングシュート、そして、壁を隙を唯一突くことができる下から上の空いてるゾーンに足でスムーズに蹴り込める10田中 雄大 選手の下へと毀れる「運」により、岡山のスコアは動いた。

 そして、理不尽な得点は、前半の攻守での岡山の攻撃への対策として、前線から攻守でハードワークして、競り合いで体を張り続けていた。一番キツイ役割を担っていた24梅木 翼 選手のメンタルの限界を越えさせてしまった。

 理不尽過ぎる岡山の得点は、24梅木 翼 選手が、胸をぶつけて得点者である10田中 雄大 選手を倒してしまうという残念な行為に繋がってしまった。両チームとも熱くなる選手と冷静に抑えようとする選手が多かったことが、両チームの成熟度の高さを感じた。

 実はこの時、一番冷静さを失っていたのは、当事者の24梅木 翼 選手ではなく、ベンチにいた19岩渕 弘人 選手。猛スピードでベンチから飛び出しがレッドカードを掲示される画面に写り込んでしまうぐらいであった。岡山の選手かスタッフに制止されて、岡山にとっては事なきを得たが、この試合が、いかにハイレベルでハードな試合のレベルの激闘であったかを物語る一幕に感じた。

 ただ、山口の選手にも冷静な選手がいて、24梅木 翼 選手の気持ちを落ち着かせようた選手がいたように、1人少なくても最後まで勝利の可能性を信じて、山口は攻勢に出る。高すぎるGKのハイライン。リスク管理の上手いチームは、リスクの冒す手段の選択も上手い。山口も岡山もあわやというシーンを造るも、最後はここまでの激闘の疲労感と1人少ないという状況が響き、そのまま試合は終了。

 もしかすると、岡山史上最もハイレベルだった試合の結末は、ホームの岡山が、最後は、運までも味方にする後半の反攻で、苦しみながらも3節終了時点で、単独1位に躍り出た。


4、興奮冷めやらぬ激闘の帰路~余韻~


 あくまで、私の感じた事を言葉にしたレビューで、耳で録画したTV放送と、ダゾーンの見逃し配信を聞き終えた所で、レビューをほぼ完成させた。軽く目が行ったシーンこそあったが、ハイライトになるシーンのみの確認に留まっているので、もしかすると間違っている部分もあるかもしれません。自然と頭から文章が出てきました。合っている事もあるかもしれませんし、間違っていることもあるかもしれません。

 ただ、間違いなく言える事は、何かしらの志垣マジックと木山マジックが、この試合にあったという事です。

 開幕からまだ3節にして、これだけのサッカーができる両チーム。この試合では、岡山に軍配が上がったが、本当にどちらかに「運」が転ぶことで、試合結果が逆になっていても不思議ではない僅差のゲームであった。

 PRIDE OF 中四国は、次のステージへ進んだ。そう確信できるハイレベルな試合であったことは間違いない。

 試合終盤に、残念な行為もあって、道徳的には庇うのは良くないかもしれませんが、本当にそれだけ熱くなってしまうだけの熱戦でした。それこそ、ピッチでプレーする選手にとっては、命が削られるような試合が繰り広げられたゲームであったと繰り返し伝えることで、そこを熱く強調して、90分間戦いきった両チームを称えたい。

 両チームのシュート数が10本を越えるゲームではあったが、本当に攻守において、我慢強く戦った肉弾戦であり、神経戦であり、戦術戦であり、運試しのような1秒先にどうなっているか分からない、攻守での駆け引きがハイレベルで、スリリングなゲームであった。

 1つの1つのプレーの価値が高く、重かった。1-0という最少得点で勝敗を決したが、そこに至るまでに、両チームがどれだけ局面で負けて勝ってを繰り返して来たのか。サポーターにとっては、息を詰まる試合であったが、ピッチで戦う選手と監督にとってもフルマラソンで何十キロも何時間も走ったぐらいきつかった筈だ。それだけ木山 隆之 監督も10田中 雄大 選手も今までみたことのない表情をしていた。

 そして、この試合では、敗れることとなった志垣 良 監督の表情には、まだまだファイティングスピリッツが宿っていた。これだけの激闘の後で、これだけ力強く、無表情で、冷静に熱い情熱を隠し切れない受け答えから、決して崩れない芯の強さを感じた。それはまさしく、この日の山口のサッカーをそこのもので、恐ろしい監督が、J2にやってきた。10年後ぐらいに日本代表の監督を指揮しても驚くことはない。志垣 良 監督は、その未来に何を見据えているのか?そんなことを考えながらダゾーンのインタビューを見終えた所で、レビューの文章の核は完成した。

 アウェイでの山口戦の時に、両チームがどういった状態で、どういった順位にいるか、予想できないが、1つだけ言えることはある。

 恐らくその試合も、どちらが勝っても不思議ではないハイレベルな試合が約束されているということだ。第3節で、これだけの試合が観れた事に感謝の気持ちと感動、そして、次の試合への期待は、どんどん芽吹く。

文章=杉野 雅昭
text=Masaaki Sugino

 写真と基本図は、後日追加します。

 データでフォーカスもできればやりたいです。

 最後まで読んで下さり有難うございました。

 木山 隆之 監督の試合後コメントと決勝点を決めて終えた10田中 雄大 選手の試合後コメントを紹介して終えたい。

『 木山 隆之 監督 』
難しい試合だったが、こういう試合を勝ち切っていくことで得るものは大きく、またこういう試合になった時にも、自分たちの解決方法で自信を持って90分やり続けていくことの重要性を改めて体感できたので、それも良かった。

ファジアーノ岡山公式HP
J2第3節 レノファ山口FC戦 監督・選手コメント
より一部引用
URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/202403101800/

『 10田中 雄大 選手 』
 初のヒーローインタビューは、自分が望んでいたというよりも、サポーターの方々が待ってくださっていてたので、ホッとしている。こういう試合をもっと増やしていきたい。

ァジアーノ岡山公式HP
J2第3節 レノファ山口FC戦 監督・選手コメント
より一部引用
URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/202403101800/

マジックをデータで検証したレビューの方もよろしくお願いします。

 アンケートの方もよろしくお願いします。


筆者紹介
 冷静さと熱さを両立した上で、自分の感じた事を自分の言葉で表現することを大事にしている。ハイライトやテキスト速報をレビューを書くために確認するが、極力SNSは、情報を遮断して、レビューを執筆している。流石に通知なので、軽く目にすることこそあるが、綿密に分析するというよりは、サッカーというスポーツの魅力を発信することを一番大事にしており、ファジアーノ岡山だけではなく、対戦クラブにも最大限のリスペクトの気持ちで、サポーターとの交流や魅力を語り合うことが好きで、レビューを書き始めて、中断期間や書けなかった試合もあるが、10年以上、ファジアーノ岡山を中心にサッカーのある生活をエンジョイしつつ、応援してきた。


5、アディショナルタイム(ファジ造語24)


『 ≫≫力を出し切る三原則≪≪ 』
「決め切る・勝ち切る・逃げ切る」という課題と語ったGMの服部 健二 氏の言葉から想起した「力を出し切る三原則」という2024シーズン第一弾のファジ造語とさせていただいた。来季を観て行く上で、勝利するために、チームがどう強くなったのか、是非、結果から「力を出し切る三原則」をクリアできているか注目したいですね。

『 ≫≫虹色の右足≪≪ 』
24シーズンがルーキーイヤーとなる24番吉尾 虹樹 選手の右足から放たれるパスやクロス、シュート、プレースキックの全てが、高精度であることをより魅力的に伝えるファジ造語。24吉尾選手の名前の「虹樹」の「虹」があり、「虹色の右足」に相応しい選手であると思います。プロとして経験を積む中で、「虹色の右足」は、大樹のようにチームを支えることができる可能性を秘めていることも間違いないでしょう。

『 ≫≫木山マジック≪≪ 』
固定概念を作らない木山 隆之 監督の自由で大胆な決断により、チームを勝利に導くことができる試合采配や選手起用を指すファジ造語。誰にも思いつかない自由な発想と大体な一手で勝利を手繰り寄せてきた将棋で一時代を築いた羽生 善治先生の一手が「羽生マジック」と呼ばれていたが、そこに由来して、「木山マジック」と命名した。22シーズンは、サポーター間でも浸透した。24シーズンでも聞きたいワードですよね。

『 ≫≫剛よく剛を制す≪≪ 』
「サッカーにおいても剛強なものが、剛強な力によって、無慈悲にも剛強なものを押さえつけてしまうという弱肉強食の世界である」という意味の造語」本来は「柔よく剛を制す=柔軟性のあるものが、そのしなやかさによって、かえって剛強なものを押さえつけることができる」という意味の造語だが、99ルカオ選手のフィジカルが、あまりに凄すぎるので、諺(ことわざ)を弄ることでその強さを表現したファジ造語。

『 ≫≫木山曲線≪≪ 』
将棋の藤井八冠が、AI評価値で、一度リードしたらそのまま最後まで右肩上がりで完勝してしまう強さを表現して「藤井曲線」と言われていました。まさしく、開幕戦の木山ファジの勝ち方のようで、そこを可能にした選手起用やチーム作り、ゲームプランから木山マジックの進化系であり、90分間でほぼ圧倒して勝った時の勝利を表現するファジ造語。

『 ≫≫三本の矢24ve≪≪ 』
以前、ファジ造語として紹介していたが、24シーズンでの三本の矢は、11人で繰り出される隙が無い攻撃(途切れずらい攻撃)の事を指す。木山ファジの特色である選手の個性を引き出すサッカーの下で、3Dアタック×3=「縦×横×高さ」×「速さ・強さ・巧さ」×「パス×ドリブル×シュート」が、その方程式の下で、異次元の破壊力を生み出させる攻撃。まさしく、三本の矢に相応しい攻撃を表現したファジ造語。


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