2024ファジアーノ岡山にフォーカス8『 ≫≫要注意志垣マジック~維新来岡~≪≪ 』J2 第3節(H)vsレノファ山口(プレビュー)



1、クラブ名鑑2024『 レノファ山口FC 』


『 基本情報 』
クラブ名称:レノファ山口FC
主なホームタウン:山口県全域
創設年:2006年
ホームスタジアム:維新みらいふスタジアム(収容人数:15,115人)
クラブマスコット:レノ丸
クラブカラー:オレンジ

『 Jリーグ通算成績(JFL以降) 』
J2(8期):96勝81分159敗(388得点512失点)
J3(1期):25勝3分7敗(96得点36失点)
JFL(1期):16勝3分7敗(51得点27失点)

『 Jリーグ最高成績(JFL以降) 』
J2:8位
J3:優勝(1期)
JFL:4位

『 クラブカラー 』
 JFLとJ3をそれぞれ1年で突破して、J2に昇格。そこから現在まで岡山と同様にJ1昇格を目指す中で、J1の壁に阻まれ続けてきた。昇格元年は、その攻撃スタイルで旋風を起こすが、2年目は、主軸が引き抜かれた事と自分達のスタイルへの対策が進んだことで苦しんだ。ただ、その翌年には、8位というクラブ最高成績を残す事ができた。その後は、苦しいシーズンが続いている。中でも2020シーズンは22位であったが、特例により降格がないことで、J2に残留こそしたが、J2のレベルが上がる中で、浮上できないシーズンが続いている。その中で、レノファ山口FCファミリーが一体となって、サッカーを盛り上げて行く、そういった機運も高まり、チームとして大きな一歩を踏み出す下地はできつつある。


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2、開幕から仕上げてきた山口


 私も開幕戦の横浜FCvsレノファ山口FCは、チェックできています。試合を観る前に結果は、知っていましたが、優勝候補にあげられていた横浜FCが、勝ち切れない試合であったのかと想像して、試合をチェックしたが、いざ試合を観てみると、その逆であって、驚かされた。

 私は「山口の戦術の完成度は高く、強いやん!」と、なりました。

 何が凄かったかというと、GKからFWまでの一体感です。前線からのハイプレスに行ったかと思えば、そこが嵌らなかった時に、しっかり守備ブロックを作るという判断が、開幕にして、もう仕上がってました。新監督の志垣 良 監督であったので、その強さや凄さを余計に感じた。

 攻撃に関しては「繋ぐ」よりも「ロングパス×スプリント」を軸とした速攻スタイルに感じました。守備の意図が、しっかりチームデザインが構築されていて、攻撃のメッセージ性という意図も統一されている。

 無駄がない。隙が少ない。そういった完成度の強さが際立っていた。個の力という部分では、横浜FCの選手の方が実績に優れる選手が多いかと思いますが、山口の選手の方が、速く・強く・巧く戦えていたように感じました。

 本当に1チャンスでやられた部分と、岡山と同じように決定機を決め切れないシーンが多かったことが響いた試合になっていた事と、GKの21関 憲太郎 選手の守備範囲の広さが、印象的でした。どちらかと言えば、個人の選手が凄いというよりは、チームでの強さを感じたのが山口です。

 第3節で当たるという事で、Xのフォロワーである「クロスバーさん」の横浜FC戦と秋田戦のレビューを拝読したのですが「可変式」や柔軟な「対策・修正」ができるチームという事が伝わってきましたので、ここまで話てきた山口サッカーのベースとなる「速守則壁」の2枚看板の守備と「快速打破」のスピード感のある攻撃には、要注意だなと感じました。


3、戦術グレイソンを巡る攻防


 第1節栃木戦と第2節いわきFC戦での9グレイソン 選手は、無双できたと言える活躍であった事は間違いないですが、ここまでの山口の戦い方を考えた時に、ここをどう抑えるかというのが、やはり注目であると私は思っています。

 9グレイソン 選手をマンマーク気味について、そこを封じてくるのか。それとも競り負ける事を前提としたカバーリングの守備の形を整えるのか。それとも前からのプレスやパスコースを消すポジショニングで、封鎖しにくるのか。

 山口の一手というか守り方には、やはり注目かなと思います。勝敗を左右する最大のポイントではないかと思いますね。


4、要注意のセットプレー


 山口サポーターのクロスバーさんの話だと、FC大阪時代の志垣 良 監督は、セットプレーをしっかり作り込めることのできる監督らしいので、当然岡山もセットプレーというのは、今季から守備の守りの形を変えてますし、岡山の失点もキャンプを含めて、セットプレーというのは、不安がありますので、デザインされてセットプレーというのは、やはり要注意かなと思います。

 岡山としても5柳 育崇 選手のスタメンが予想されていますから、貴重なセットプレーでの得点源でもありますし、守備における高さというのは、守る上での武器になることは間違いないでしょう。

 どれだけセットプレーの機会があるか分かりませんが、理想から言えば、そのシーンを作らせないような堅守を、この試合でもしっかり構築できるか。それとも岡山も攻撃でシュートで終えて、セットプレーの機会を増やせるかはポイントとなりそうです。


5、サイドの数的優位?


 ここまでの岡山のJ2リーグ戦での対戦相手は、何れも3バックのチームが相手でした。もし、山口が4バックを採用して、サイドでの数的優位を作って来た時に、主導権を握る事ができるか。ミラーゲームのいわきFC戦でもサイドの攻防で苦しんだ印象で、左右のCBが攻撃参加するというシーンは少なく、蹴り合いでの空中戦に対応する事に集中していました。

 この試合で、岡山の左右のWBと左右のCBが、どれだけ攻守で存在感を示す事ができるのかというのは、やはり試合を優位に進める上での重要なポイントとなるでしょう。

 そして、どうやら岡山の左右のCBだかではなく、山口のCBやSBも機を見たオーバーラップの形も持っている様で、互角の状況からの攻撃参加から、岡山の守備網を突破してくるとというシーンも考えますから、山口が3バックか4バックか可変式かを含めて、そこの部分は、注目かなと思います。


6、注目選手


 2トップの9若月 大和 選手と24梅木 翼 選手の攻守のスピードや判断というのは、注目かなと思います。山口の攻撃の肝であるスペースへ走り込んでいくという形をメインとしていて、裏を狙い続けていましたので、岡山のDFラインとしても気が抜けない緊張感のある対応が求められますし、その回数が多い上で、スピードもあるという事で、岡山として消耗戦となる可能性も高いです。

 そこに対抗する意味で、岡山のDHの25藤田 息吹 選手と14田部井 涼 選手が、どれだけセカンドボールを回収できるかもポイントとなりそうですね。岡山のシュートブロックできているのも、どうやら25藤田 息吹 選手が効いているからという声も良く聞こえてきますし、この試合でも鍵を握る選手かなと思います。

『 志垣 良 監督(1980年5月9日 生まれ) 』
 現役時代には、高校卒業後にイングランドでプレー。その経験を活かして、イングランドのクラブでのコーチ経験もある。マンチェスターユナイテッドでは、若いユースチームのコーチとしての指導歴もある。
 日本に戻ってからは、各クラブのコーチとして歴任して、指導のノウハウを培った。シンガポールのU-16の監督などを含めて、徐々に責任が重くなっていく指導者となっていく。八戸で、トップチームの監督として初めて指揮、2023シーズンのFC大阪での躍進を牽引して、今季から晴れて山口の監督に就任して、新時代の幕開けを感じさせるスタートを切った。そして、3月10日の第3節に山口の監督として、岡山に乗り込んで来る。


7、最後に


 ここまでの岡山は、戦術的に後手に回るという試合が、まだ2試合という事もありますし、まだありません。ただ、今節戦うのは、1勝1分で同じ勝ち点の山口が相手という事で、戦術面で、後手に回るという事も考えうるケースです。

 対岡山という所で、どういった対策してくるのかという怖さもありますが、山口にスペシャルな選手がいるかと言われれば、少し難しい面があるので、そこで差をつけられる選手が、岡山で何選手でてくるかという対戦になるのではないかなと思っています。

 ここまで、守備ブロックを剥がされる事の少なかった岡山では、背後のスペースを含めて、49スベンド・ブローダーセン 選手が、活躍しそうな試合になりそうな予感はあります。

 他チームのように左右WBの背後と左右のCBの脇を狙って来るのか。それともシンプルに個人の判断や岡山対策で、隙をついてくるのか、それとも特殊な形で攻略してくるのか。とても楽しみですね。

 最後に、通算対戦成績と、スギさん的に重視比率イメージで終えたいと思います。

通算対戦成績(岡山視点)
8勝6分2敗(20得点14失点)
H(ホーム)
4勝3分1敗(11得点8失点)
A(アウェイ)
4勝3分1敗(9得点6失点)

『 スギさん的重視比率(イメージ) 』
岡山重視比率
個人 6 : 4 組織
山口重視比率
個人 2 : 8 組織

文章=杉野 雅昭
text=Masaaki Sugino


筆者紹介
 冷静さと熱さを両立した上で、自分の感じた事を自分の言葉で表現することを大事にしている。ハイライトやテキスト速報をレビューを書くために確認するが、極力SNSは、情報を遮断して、レビューを執筆している。流石に通知なので、軽く目にすることこそあるが、綿密に分析するというよりは、サッカーというスポーツの魅力を発信することを一番大事にしており、ファジアーノ岡山だけではなく、対戦クラブにも最大限のリスペクトの気持ちで、サポーターとの交流や魅力を語り合うことが好きで、レビューを書き始めて、中断期間や書けなかった試合もあるが、10年以上、ファジアーノ岡山を中心にサッカーのある生活をエンジョイしつつ、応援してきた。


8、アディショナルタイム(ファジ造語24)


『 ≫≫力を出し切る三原則≪≪ 』
「決め切る・勝ち切る・逃げ切る」という課題と語ったGMの服部 健二 氏の言葉から想起した「力を出し切る三原則」という2024シーズン第一弾のファジ造語とさせていただいた。来季を観て行く上で、勝利するために、チームがどう強くなったのか、是非、結果から「力を出し切る三原則」をクリアできているか注目したいですね。

『 ≫≫虹色の右足≪≪ 』
24シーズンがルーキーイヤーとなる24番吉尾 虹樹 選手の右足から放たれるパスやクロス、シュート、プレースキックの全てが、高精度であることをより魅力的に伝えるファジ造語。24吉尾選手の名前の「虹樹」の「虹」があり、「虹色の右足」に相応しい選手であると思います。プロとして経験を積む中で、「虹色の右足」は、大樹のようにチームを支えることができる可能性を秘めていることも間違いないでしょう。

『 ≫≫木山マジック≪≪ 』
固定概念を作らない木山 隆之 監督の自由で大胆な決断により、チームを勝利に導くことができる試合采配や選手起用を指すファジ造語。誰にも思いつかない自由な発想と大体な一手で勝利を手繰り寄せてきた将棋で一時代を築いた羽生 善治先生の一手が「羽生マジック」と呼ばれていたが、そこに由来して、「木山マジック」と命名した。22シーズンは、サポーター間でも浸透した。24シーズンでも聞きたいワードですよね。

『 ≫≫剛よく剛を制す≪≪ 』
「サッカーにおいても剛強なものが、剛強な力によって、無慈悲にも剛強なものを押さえつけてしまうという弱肉強食の世界である」という意味の造語」本来は「柔よく剛を制す=柔軟性のあるものが、そのしなやかさによって、かえって剛強なものを押さえつけることができる」という意味の造語だが、99ルカオ選手のフィジカルが、あまりに凄すぎるので、諺(ことわざ)を弄ることでその強さを表現したファジ造語。

『 ≫≫木山曲線≪≪ 』
将棋の藤井八冠が、AI評価値で、一度リードしたらそのまま最後まで右肩上がりで完勝してしまう強さを表現して「藤井曲線」と言われていました。まさしく、開幕戦の木山ファジの勝ち方のようで、そこを可能にした選手起用やチーム作り、ゲームプランから木山マジックの進化系であり、90分間でほぼ圧倒して勝った時の勝利を表現するファジ造語。

『 ≫≫三本の矢24ve≪≪ 』
以前、ファジ造語として紹介していたが、24シーズンでの三本の矢は、11人で繰り出される隙が無い攻撃(途切れずらい攻撃)の事を指す。木山ファジの特色である選手の個性を引き出すサッカーの下で、3Dアタック×3=「縦×横×高さ」×「速さ・強さ・巧さ」×「パス×ドリブル×シュート」が、その方程式の下で、異次元の破壊力を生み出させる攻撃。まさしく、三本の矢に相応しい攻撃を表現したファジ造語。


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