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"ワークライフバランス"だけの会社は朽ちていくと思った話

転職して9ヶ月が経ちました。今の会社はヨーロッパ系の外資ということもあり、働き方改革関連のHR制度は力を入れていて、日本の標準的な会社に比べてとても進んでいると思います。中でも一番画期的なのは、スタッフレベルの月内残業時間を原則ゼロとするという方針です。フルフレックスなので、何かの都合で夜9時まで仕事をする場合は、次の日は12時から働くというのも認められています。

ただ、仕事が仕事を生むのが仕事。残業ゼロで本当にやっていけるの?というと、当然無理です。

そうすると手段は、人を増やすか、仕事を減らすか、効率を高めるか。1つ目の人を増やすというのはよくある手ですが、現在、会社のトップダウンで人を雇うのは限りなく不可能に近い状態になっています。(まあ、このご時世大部分の企業がそうだと思います。)そうなると、仕事を減らすか、効率を高めるか。

この2つ、あるところでは重複しているのですが、あるところでは全く違うベクトルを向いていると思っています。

効率を高めるのということは、限りあるリソースをどこに割り当てるかを考え抜くことです。なので当然費用対効果の低い仕事は切り捨てます。結果として、企業はコストを抑えられて、従業員は仕事の時間を減らすことができます。私はもともと体力も集中力も持続しないタイプかつ、仕事外のインプットを進んで行いたい人なので、これには大賛成です。

ただ仕事の切り捨ては、ただ仕事を減らすことと、一見似ています。一歩間違えると、ただただ楽して会社にしがみつきたいモチベーションの低い社員だけに優しい会社になります。当然ですよね、働き方革命の影に隠れて、残業できないから、この仕事はできない、新しい仕事はやらない、それでもベースの給料はもらえます。一方、モチベーションの高い社員は、タイムシート外で仕事をします。ただし、残業代はつかないので、とても不公平に感じます。きっと、多くの会社が直面している現実なのではないかと思います。でもこれって、完全に企業としてアウトですよね...それでなくても、人口が減少し規模が縮小していく日本社会なのに。

そこで、成果主義の評価という話になります。たぶん、ヨーロッパでワークライフバランスと企業の成長が共存できるのは、これがあるからなのだと思います。というか結局、ヨーロッパ企業で進んでいるのは、ワークライフバランスではなく、たくさん働くか働かないかの選択の自由なのではないかと思います。どんなにワークライフバランスの進んでいると言われているヨーロッパ企業であっても、管理職で上の方に昇進していく人は、朝から晩まで土日でも、常に仕事のことを考えています。とてもストイックで、残業できないから、この仕事はできないなんて到底言いません。その代わり、認められれば、若いうちから年上の部下を持って、スタッフレベルと比べて明らかに大きな裁量を与えられます。かといって、全員にそれを求めているわけではありません。スタッフレベルには、そのレベルの働きしか求めませんし、報酬も相応です。つまり、全く平等じゃないんです。でも、それが当たり前で、年配で役職がついていないからといって肩身の狭い思いをすることもそんなにないと思います。みんな違ってみんないいんです。。

こうした企業風土への変化は、日系でも新しいことにオープンな会社では既に起きていると思いますが、大きい歴史のある企業ではそれなりに時間がかかるだろうし、痛みも伴うのではないかと思います。その変化の半ばで、ワークライフバランスだけが先行して、弱まっている企業が、さらに弱まってしまうのではないかと、いち日本人として心配です。

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