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『投資がわからない』の正体 ~投資を始めるベストタイミングとは~

この記事は、Finatextグループ10周年記念アドベントカレンダーの15日目の記事です。昨日はtaiki45さんが「Adapting Design Docs Practice for Mid-Sized Companies」という記事を公開しています。

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こんにちは、Finatextでサービスディレクターをしている菅原です。
グループのビジョンである「金融がもっと暮らしに寄り添う世の中にする」を実現するために、Finatextでは証券事業にてディレクター、プロダクトマネジメントに従事しています。

早速ですが、証券サービスを企画していくうえで頻繁に話題にのぼるのが「ユーザーに投資を始めてもらうにはどうすればいいか」です。当社は投資の裾野を広げるべく、初心者層をターゲットとすることが多いため、とりわけ初心者に対してどう投資を開始してもらうかが話題になります。

今回は投資初心者の多くが投資を始めようとした際に悩んでしまう理由について考察したいと思います。これから投資を始めようとしている人、また投資サービスを提供する方々の参考になれば幸いです。

 "投資を始めたいけどわからなくて始められない"の正体

投資に関心があるが始められない現状

日経平均株価がバブル以来の高値更新、2024年から新NISA制度開始など、日本の投資界隈は盛り上がりを見せています。とはいえ、日本全体で見たときに投資をしている人の比率は現時点でも高いわけではなく、現状はやりたいと思っているが始められないという人が増えてきている段階に思います。

実際に当グループが実施した投資に関するアンケート(※1)において、「やったことはないが関心がある」という状況の方に対する「いつ頃投資をしたいか?」という質問の回答で最も多かったのが「投資を始めたいと思っているが、時期は分からない」(48.5%)となっています。このように、特に初心者の方で「始めようとは思うが始められない」というケースが多いのではないでしょうか。

では、どのような点が投資を始めるアクションを阻害しているのでしょうか。今回は漠然とした『投資がわからない』の正体について考えていきたいと思います。読み進めていくにあたり、馴染みのある金融商品(個別株式、投資信託など)を思い浮かべていただけるとスムーズかもしれません。

※1 「金融スキマ世代」の47都道府県・7地方別の「投資への意識と実態」に関する調査を実施
https://smartplus-sec.com/news/press/release_1003/

 細分化して見えてくるわからなさの正体

さて、『投資がわからない』を細分化していくといくつか種類があり、「何を買うか」「いつ買うか」「どれだけ買うか」あたりが主要の悩むポイントではないかと思います。ところでなぜ、そのような観点で悩むのでしょうか?その理由は、大半の人は投資をする目的を、利益を得ることに置いているからと考えられます。

つまり、『投資がわからない』を1段階掘り下げると、「投資で儲かるためにどう始めればいいかわからない」に言い換えられそうです。

では、儲かるとはどういう状態でしょうか?これについては目標設定、つまり「いつまでにどれだけ儲けたいか」をどう考えるかによって変わってきます。”いつまで”は投資で得る利益を何に使いたいか、”どれだけ”は個人の投資に使える資金量に依存するため、投資の目的は個々人で大きく異なります。また目標に応じて、何を買うかも決まっていきます。

今回は投資初心者を想定して考えていることもあるため、一般的に投資リターンが安定するとされる中長期の期間設定で、かつ目標に応じた買いたい銘柄も決まっている状態を想定して検討を進めます。(※どの銘柄を取引するか?も重要ですが、それだけで複数の記事が書けてしまうくらい大きなテーマであるため、今回は銘柄の検討は済んでいる前提で進めます。)

そのうえで、この先は「投資で儲かるためにどう始めればいいかわからない」を「儲けるための売買タイミングがわからない」に言い換えて考察していきたいと思います。

例えば個別株取引において、安く買って(買った価格より)高く売ることで、利益が実現します。つまり「投資で儲けるための売買タイミングがわからない」を1段階掘り下げると、『投資で安く買って高く売るやり方がわからない』に言い換えられそうです。

 「安く買う」「高く売る」タイミングはわかるのか?

では、特定の金融商品を安く買う、そして(買った状態より)高く売るにはどうすればいいでしょうか?

それぞれのケースについて検討する前に、大前提としてどんなに投資について造詣が深い人でもわからない事象を1つ挙げます。それは未来の株価です。インサイダー情報を持っている(としても、想像する方向に確実に動くかはわかりませんが)場合を除けば、明日以降の株価は誰にもわかりません。

そのうえで、「安く買う」「高く売る」方法について考えていきます。まず前者の「安く買う」について、もう少し掘り下げると、「今後訪れる将来で最も安い状態で買いたい」といった思いが考えられます。最も安い状態を判断するには、過去・現在の株価情報と未来の予測を踏まえて、いつが安いか?を予測する必要があります。となると、未来の株価予測を考慮して判断をする必要があり、先ほどの前提を踏まえると「安く買う」ための明確なタイミングを見つけることは困難と言えます。

また後者の「高く売る」方法について、仮に今特定の金融商品を買ったとして、いつ目標とする株価にたどり着くかは未来の株価を予測することになるのでわかりません。つまり、「高く売る」ための明確なタイミングを見つけることも困難と言えます。

一旦『投資がわからない』の掘り下げはここまでとします。まとめると、『投資がわからない』の正体は、投資目標と何を買うかが決まっている状況下においては「投資で安く買って高く売るやり方がわからない」と言えそうです。しかし、そもそも未来の株価は誰にもわからないため、答えを見つけることは困難と言えます。つまり、投資初心者の方が投資を始めよう!と思ったスタート時点で、答えが見つからない迷宮に入っている可能性があるのです。

いつやるの?今でしょ!

とはいえ、投資初心者の方には迷宮から脱出して投資を始めてほしいです。では、ずばり投資初心者はいつ投資を始めればいいのでしょうか?答えは今です。タイミングについては考えたところで答えにたどり着くのは困難であるため、わからなくてもとりあえずやってみるのが良いと私は思います。

投資のプロの世界では、あらゆる角度から何をどれだけいつ買うのかという検討がなされており、ビジネスが成立しています。しかし、この検討も結果として投資タイミングに関する明確な答えを導いているのではなく、あくまで勝率を上げるための努力をしているだけで、投資の世界に絶対はありません。

つまるところ、どんなに投資タイミングについて検討しても、あくまで投資の成功確率が上がる可能性があるだけで答えは見つかりません。個人投資家の場合は、投資は人生をより豊かにするための目的に対する手段であることを忘れてはいけないと私は考えます。個人投資家で、投資で生計を立てるほどの熱量でない場合、投資の調査にどれだけ時間をかけるかは重要なポイントです。時間をかけても成果が出るかわからない事象にはできるだけ時間はかけない方が良いのです。

最後に一般論(かつ詳細は割愛)になりますが、中長期で投資をした場合、高い確率でプラスのリターンが得られることが理論的にわかっています。長い期間での投資を検討している場合は、悩む時間を短くしてできるだけ早く始めた方が有利なのです。今回は売買によって利益を得るいわゆるキャピタルゲインにフォーカスして話をしましたが、個別株の場合は株主優待や配当などを設定している銘柄もあり、中長期で投資をする場合はそういった点でも楽しみながら投資をすることもできます。

「今日が人生で一番若い日である」という表現がありますが、投資初心者が投資を始めるタイミングについても似たようなことが言えて、「思い立った日がベストな投資タイミング」なのです。

まとめ

「投資を始めたいけどわからなくて始められない」理由について考えてきました。私の結論としては、投資を始めたいと思えたのなら、あまり考えすぎずに気持ちに乗っかってとりあえず行動してみよう!といったところです。

サービスを提供する側としても買い時・売り時といった突き詰めても答えが見つからない情報よりも、今投資をやりたいと思うために必要な情報を提供する、投資初心者の背中を押すようなアプローチを意識していきたいと考えております。

1人でも多くの人が投資を始められることを願って、今回のnoteを締めくくります。

明日の記事は、データ事業のToddさんによる「Improving Version Management of Data」です。お楽しみに!

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