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日本橋の本屋って5月にちょうどいいよね

2024年5月11日、風強めの晴天。
前髪が縦横無尽に視界を遮るので、非常に前方が見にくい日だった。

前日から「日本橋の本屋に行くんだ…!誠品生活日本橋に行くんだ…!」と決めていたので、午後から日本橋に行った。

別に近場の本屋でもいいけど、「5月の緑の爽やかさを、ハイソな感じで楽しみたいんだ」という理由で日本橋の本屋を選んだ。


地下鉄半蔵門線の三越前駅で降りて、駅のコンコースを早足で駆け抜けつつ、よそ見をしながら通り抜けた。
基本的に早足で歩くタイプなのだが、すごいよそ見をするので周りに人が寄りつかない。
すごいスピードで顔を左右に振っている人とか怖いもんな。
歩いてて、急に止まったりするから邪魔だしな。

途中、左右をよそ見しながら歩いていた時に、日本橋の三越本店の出入り口の「のれん」を見かけた。
日本橋三越本店は、都内でも屈指の高級感漂う出入り口を持っていると私は思っている。

日本橋に来た人はぜひ見てほしい。

ちなみに日本橋三越店内には大きい天女像が設置されている。
嘘ではない。真実なので、そちらもぜひ見に行ってほしい。


誠品生活日本橋は、コレド室町テラスの2Fに存在している。
最寄りの出入り口はA8出口で、地上に出るとちょうど木漏れ日が、薄黄色の地面に模様を描いている。

誠品生活日本橋の客層…というか、日本橋全体の客層は、私のレパートリーの中で「ぱっと見てもわかる品のいい人」に分類されているような人が多い。

「ぱっと見てもわかる品のいい人」とは、
ブランド物を普段着のように着こなしているマダムだったり、
水玉模様の素材の質から良さそうな服を着たご夫婦だったり、
着物をアレンジしながら楽しんでいる若者だったりである

そういう人たちの、ややスローかつ品の良い話し声がBGMになっているような本屋が日本橋にある誠品生活日本橋である。
自分はその仲間入りはできないが、異世界を楽しむ側としては楽しい。
インスタントな異世界旅行気分。

誠品生活日本橋は、蔵書数は大きな本屋には及ばないものの、独特の選書が面白い本屋でもある。
もともと台湾系の本屋さんなので、台湾系、旅行系の本は豊富である。
芸術と哲学系の本は、個人的に「おもろそう…」となる本が多いので、表紙買いするなら誠品生活日本橋はおすすめ。

あと、内装も割と窓が多いので、お店全体の雰囲気が明るい。
行った時は、5月の初夏になるか、ならないかぐらいの日光が空間を満たしていて、すごいちょうどよかった。

本棚と本棚の間を、冬眠明けのクマみたいにぬぼ〜っと探掘し続けること1時間ほど。
今日は「絶対に仕事に関連する本は買わねぇ!!」と強い意思で決めていたので、ビジネス書の棚はただただ鑑賞して通り過ぎた。

ただ、ビジネス棚の奥の方に行ったときに、前に行った時には気づかなかった読書エリアを見つけた。
窓際沿いに席が設けられていて、そこでカップルとか、仲良し大学生が買った本を読みながら談笑していた。

窓際だったこともあって、彼・彼女たちの背景に後光が見えた気がした。
若さって尊さあるよね。

「いいね…みんな、勉強頑張ってね…」と心で応援しかけて、本のタイトルが「東南アジアにおける宗教と政治」とか「脳神経のしくみとはたらき」みたいなやつだったので、私が応援するまでもないくらい頑張っていた。
最近の子って本当に頑張っててすごい。
土日ぐらい、なんか変な本読んでもいいんだよ…?

そんな優秀な若者を尻目に、私はというと、芸術の棚、選書の棚、生活風格の棚を行ったり来たり、行ったり来たりを5往復ぐらい繰り返していた。

ミヒャエル・エンデの「モモ」の愛蔵版を購入するか、岩波少年文庫版を購入するか、
点滅社の「鬱の本」を表紙買いするか、
ゴンブリッチの「美術の物語」と比較読みするために、「世界の美術 コンパクト版」を購入するか、
阿久津隆の「読書の日記」の持っていないシリーズを購入するか…

それ以外の本も購入するしないを2-3回ほど繰り返し、結果的に以下の2冊を購入した。

「ドゥルーズと芸術」は表紙買いというより、芸術と哲学という組み合わせが面白そうだったので選んだ。
ぜったいに難解なお話だろうな〜と思っていたが、実際、後日バスで読んでみたら、15分後には爆睡したので、理解が及んでいない感じがヒシヒシしている。
爆睡したものの、これはこれで面白い…となっている。

大聖堂の方は、昔、スペインのレオンという街を旅行した時に見た「レオン大聖堂」を思い出し、衝動的に購入した。
まだ読めていないが、多分、全く関係のない大聖堂だとは思っている。
大聖堂にもいろいろありますからね。

ジャンルも興味の方向性も全く異なる2冊の本を持ってレジに向かった。
本屋で本を買って帰る時って、なぜか紙袋で帰りたい衝動に駆られる。
今回のその衝動には勝てなかったので、紙袋に入れてもらって帰ることにした。

2冊分の本の重みが、左の手の平に食い込む。
やや大袈裟に紙袋を振りながら、本屋を出て、帰りは少し日本橋の街を歩いた。
当初の目的だった「5月の緑の爽やかさをハイソな感じで楽しみたい」という目的も叶えられたので、人がいなければスキップで帰りたいところだった。

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