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海外協力隊って、難しい。〜派遣開始から半年後の現状〜

今回は、協力隊の期間が終わってからこんな時期もあったなぁと思い出すために、今の状況を書き起こしておこうと思う。今回はかなり赤裸々に書きたいと思っているが、私の主観でしかないので注意されたい。

ジンバブエにきて半年。協力隊活動へのモチベーションが上がってこないのが事実である。
色々な細かい要因が重なっているので、それを紐解いて自分なりに整理してみる。要は、愚痴の整理整頓作業である。私が悪いところと環境要因を分ける。

協力隊活動自体、周りを見ていて、最初から最後まで上手くいく人の方が少ないものではあるような気がする。それは重々承知の上で、これから何を目指して活動するかを明確にするためにも、フラットな目線で書くことを心掛けたい。

モチベーションが上がらない理由

1.活動先があっちゃこっちゃ安定しない

活動先から2/28にJiCAの調整員さんにメッセージで「電気も水もなく、活動することもないので他の学校を視察に行ってもいいですか」とヘルプを求めた。その後2日間、本当に何も電波が無くなってしまい、学校の誰とも全くもって連絡が取れないので調整員さんが連れ帰りに迎えにきてくれる、という事件が起きたのが3/3。

そこから基本的には首都で暮らして約2ヶ月。ジンバブエの滞在で、首都のホテル暮らしの方が長くなってしまった。

活動としては、首都にも公立の教員養成校や工業大学みたいなものがあるので、首都滞在中も基本的にはそういった専門学校に通い、ITの状況を視察させてもらったり、実際に作業を手伝わせてもらったりしている。最初の1ヶ月は1週間ずつ3校くらいを巡り、いろいろ見せてもらって各校の状況を把握することができた。

その後、1ヶ月常駐できる活動先が見つかったのは良かった。特に今行っている学校は、状況がかなりひどくて1ヶ月しかなくてもできることがまあまあありそうに見えた。実際、色々な調査ができて、IT環境に投資するやり方を示してあげるという、ちょっとしたコンサルのようなプレゼンくらいはできそうである。

だが結局は、活動する学校がくるくる変わって長期的な活動ができていない。元の活動先のための活動計画が全く立てられていないのも問題。校長やカウンターパートに会えていないので、計画の確認作業ができていない。そもそもこれからちゃんと長期で元の任地に居られるのかもよくわからない。

とりあえず5月頭には一度ど田舎任地に戻る予定だけれど、8月後半に選挙があり、その前後は首都退避になることはすでに予告されている。総じてどのくらいの期間になるかわからないが、早ければ6月からもう首都退避になるかも、という噂もある。

これでは、どうせまたすぐいなくなるしな、、と全然腰が入らない。ここは私の悪いところで、つべこべ言わずにやれよ、という話ではあるものの、例えば一人で大学の学内のLANケーブルの整理を全部やるのは正直半年くらい必要な気がして、なかなか手が出ない。。

2.逃げてきたようで、元の活動先の人に後ろめたい

元の活動先は、電気系統が壊れたため、電気で地下から汲んでいた水が出なくなった。そのために私は任地を離れ、首都に退避してきている。けれど、この2ヶ月間、任地には普通に人が住んでいて、友人となったような人もそこで生活を営んでいる。水が出ない中どうやって生活しているか、わたしには見当もつかないが、とりあえず友人からずっとそこに住んでいるよというメッセージがきたので住んではいるのだろう。

とりあえず、厳しい環境から私だけ逃げてしまったというので後ろめたい気持ちがあるのは確か。

実際、ルームメイトからも(当時電気もなかったので)”You’ll leave me in the dark!(私を暗闇に置いていくのね)”と冗談半分ではあるが言われてしまった。返す言葉がなかった。

彼らにとって、私は何かあったらすぐに安全なところに逃げていく金持ちの日本人でしかない。彼らは逃げたくても逃げられない。そんな人の言うことを誰が聞きたいか、と思うと、私でも聞きたくないと思ってしまう。活動する側のモチベーションとして、当然上がってはこない。

3.給電と資金不足で、活動自体の制約が思ったより多い

この国、国単位で電力もお金も全然足りていないのに「コンピュータ技術」隊員としてIT環境の整備をしろ、はなかなか辛い。

IT業界の常だが、お金がないとどうにもならないことが多すぎる。例えば、2014年に買ったというネットワーク関係の機器は、どう考えても古いし数も足りないけれど、一部だけでも買い換えるには少なく見積もって30万円くらいは必要だ。学校側が出せればいいが、その前にそのお金があるならば水や電気関係、寮施設のもっと基礎的なインフラを直してほしいという声もある。ちなみに学生寮は大体屋根が壊れていて、家の中から空が見えている。

また、そもそも国の電気供給量が足りていないこともあって、電気がしょっちゅう止まる。電気が止まると、電気で動いているインターネットも使えなくなる。例えば、Google classroomという無料の教育機関用サービスがあって、それを使うと課題の提出や、学生の成績管理がかなり楽になると思うのだけれど、停電した瞬間にアクセス不可能になってしまうサービスに重要なものは入れられない。

他にも、学内のIT環境の推進でいうと、入学申請書のアプリケーションフォームを紙からオンラインにしたい、というような声もあるが、そもそもオフィスのコンピュータもデスクトップである場合が多い。そうすると、ノートパソコンと違い、停電したらまずパソコンが動かない。そういった情報も停電したらアクセスできなくなるので結局紙の方が良いかもしれない。

電気がかなり不安定かつお金が全然ない中で、もちろん探せばやれることはいくつかあると思うのだけれど、どうしてもレベルが低くなってしまう、もしくは必要スキルが全然変わってしまうのがネック。私のスキルと、ここで必要なことと、この状況下でできることのベン図が全然重ならないイメージ。

まあ、「その中でできることを探すのが協力隊だ」と偉い人には怒られてしまうかもしれないけれど!

5月から元の任地に戻る予定で、そうするとまたやりたいことが出てきそうではあり、生活は厳しくなるが、活動としては楽しみなところではある。

4.体の調子が悪い

特に今の活動先に行くと、誰もコンピュータ室の掃除をしていないからか、ハウスダストアレルギーがものすごい勢いで発症する。鼻水は止まらず、目も痒い。涙もくしゃみも止まらない。元々結構重度のハウスダスト・ダニアレルギー。まったく、こんなところに来てはいけない人間なのである。

鼻が常時詰まっているので、朝起きると喉が痛くて風邪を引きかける、みたいなパターンがここ数週間ずっと発生している。アレルギー剤をもらったり、持参した葛根湯を飲んだり工夫はしているものの、全然快適ではない毎日を過ごしている。

5.刺激がない

これは贅沢かもしれないと自分でも思うが、休みの日にすることがない。いや、家の中でできることはある。映画を見たり、本を読んだり勉強したりする時間があるのは嬉しい。けれど、自由に使える移動手段もお金もなく、友人と呼べる人も少ない環境の中、刺激が少ない毎日を送らざるを得ない。

ジンバブエには公共の交通手段が全くと言っていいほどない。首都にさえ電車もバスもほとんどなくて、使えるのはタクシーのみ。タクシーだと平気でどこに行くにも片道10USDくらいは取られてしまうので、何も考えず移動しているとJICAにもらっている生活費がどんどんなくなっていく。コンビという30人程度が乗る改造ハイエースの相乗りバス、ムシカシカと呼ばれる違法タクシーは安く、一般のジンバブエ人は使っているけれど、盗難や強盗が発生する可能性があって危険なのでJICAに使用を禁止されていて、隊員は乗れない。

車を持ってしまったら、車など持てない現地人との精神的距離が遠くなってしまうというのもわからなくはないので隊員として生きるなら車が欲しいとは別に思わない。けれど、行きたい場所があるのに動きづらいこの感じがしんどいのだと思う。ちなみに隊員以外の日本人は当たり前に車を持っているので、何かあればお願いして乗せていただくことはできる。が、依存するのもどうかなあと思ってしまってあまり自分からたくさん声をかけるのも躊躇われる。

車があっても、、という話もある。特に遊びにいくような場所はないのがジンバブエである。みんな、現地の黒人も白人も、休みの日は家族で集まるのが唯一の娯楽みたいになっている。となると家族がいない単身赴任の日本人はやることがなーい!となるのは仕方ないような気もする。

ジンバブエ生活自体が刺激に溢れているという見方もできなくはないけれど、赴任から半年経つと”ジンバブエ生活”というだけでは日常になってしまった。

現地人は生活や金銭感覚、文化が違い過ぎてしまってプライベートでどこかに行ったりするのは難しそう。なので他の国からジンバブエに来ている私のような人と知り合いたいと思ったりするものの、この国にはJICA以外のボランティアはいないらしい。国連職員や、他の国の大使館職員などと知り合うしかなさそうである。そしてその窓口はいちボランティアの私には(今のところまだ)開かれていない。

任地に戻るとこの状況はもっとひどくなる。ど田舎すぎて、本当に何もないのである。ジンバブエ人も土日は大概暇そうにしている。ジンバブエ人たちも、それはそれはゆっっっくり歩きながら、ぺちゃくちゃ喋るくらいが娯楽のようで。田舎でのんびりするのが好きな人には合っているのだと思うけれど、私はまだもう少し刺激が欲しいと思ってしまうお年頃らしい。

任地に戻ったら一つ思いついていることはあって、金曜ロードショーならぬ、土曜ロードショーを開催したいと思っている。持参したプロジェクターがあるので、Netflixで日本の映画をダウンロードしておいて、毎週土曜に外のホールみたいなところで上映する。ジンバブエ人がどんな反応をするか、楽しみである。

というわけで、今は毎週末「暇だなあ」と思いながらゆったり本を読んだり、Netflixを見たりしている。これはこれで幸せだとわかりつつ、日本では全く家にいない種類の人間だった私には少ししんどいことなのである。

今力を入れてやっていること

協力隊の活動へのモチベーションは別に下がっているつもりもないが、上がってもいない。そんな中、別のことをやって生きるモチベーションを保っているところがある。

次の進路を考える

協力隊が終わってから、次何をするかは全く決めていない。今の私にはまだ色々な可能性があって、その全てを検討している感じ。具体的には、いろんな会社・機関・学校のオンライン説明会に顔を出してみたり、世界各国の興味ある仕事をしている人に「話聞かせてください!」とアプローチしてみたり。時間があるので合わせやすくて、情報収集はしやすい。

勉強・自己研鑽する

今勉強している(しようとしている)ものはこんな感じ。

▼仕事やキャリアのため:

  • 英語(IELTS7.0)

  • ネットワーク(Cisco CCNA)

  • セキュリティ基礎

  • Active Directory

▼趣味(仕事に繋がっていったら嬉しい):

  • Figma(デザインツール)

  • インスタ運用

  • カメラ(ミラーレス一眼)

  • Notion

  • 資本論

  • フランス語

手をつけられていないものもあるが、Udemyやその他教材を利用して少しずつ勉強している。

プロボノ活動をする

日本のとあるコミュニティ・POOLOで知り合った仲間たちとインスタアカウントの運用を手伝っている。ちなみに佐賀の和菓子屋さんのこのアカウント。ちょっとでも興味を持っていただけたらフォローしていただけると嬉しい!
私は協力隊で利益を取れないのでプロボノ的な形で参加させてもらっていて、時差も電波状況もあるのでフルではないが時々インスタ投稿を作成したり、MTGに出たりしている。

また、オンラインセミナーに参加したのがきっかけで募集を見つけ、今度からアフリカ専門ニュースメディアのAfrica quest.comでライターもやってみることにした。ジンバブエに関する日本語記事というものが少なすぎて自分も来る時に困ったので、ジンバブエの記事を中心にブログ記事を書いてみようと思っている。

終わりに:果てしないあと1年半と協力隊の価値

なんでこんなに果てしなく長く感じるんだろうかと不思議でさえある。ここまで来て、やっと半年か、、と、時間の流れが非常にゆっくりに感じている。最初にも書いたけれど、時間が経たないというのには、暇な時間が長いこと、これから水は少ないが時間は有り余ることがわかっている任地に戻ること、価値を創出できている感じがしないことなど、色々と細かい要因が重なっている。正直、うんざりしている自分もいる。

どうやら今日は偶然にも協力隊の合格発表日だったようで、ワクワクしている新訓練生さんには申し訳ない記事になってしまったかもしれない。けれど、これが事実。周りを見ていても、任期短縮する同期もいれば、さまざまな理由で任地変更にならざるを得ない状況になってしまった隊員もたくさん知っている。

協力隊はみんなが思っているほどキラキラではないし、みんながみんな最後までうまくはいかないのである。

合格者の方は、どうせ協力隊員になったのならば、マイナスの面も知っておいた方が良いとは思うので、あまり深く考えずこういう人もいるんだ、という目線でフラットにこの記事を見てほしい。私も合格した時にはワクワクしていた!さすがに!笑

こんな私でも、ジンバブエに来てよかったとは間違いなく感じられている。滞在期間中にも経済的な状況がどんどん悪化していく現在、この国にいられているというのは、全然喜ばしくはないが貴重な経験である。

それに協力隊の活動自体で言うと、こんなに日本人である私が現地人と対等な立場でどっぷり会話できる仕事は、少なくともジンバブエには他にないなぁと感じる。他のアクターは、JICAにしろ外務省にしろ国連にしろ、やっぱりちょっと立場が援助の側に立っていたり、ローカルと毎日フラットに話すという仕事でもないようには見える。

隣の芝は青いけれど、たくさんある時間を使って自己研鑽も重ねながら、せっかくの協力隊生活をできる限り楽しみたいとは、思うのである。

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