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【旅エッセイ】コペンハーゲンでエアビーになかなか辿り着けなかったけれども、人の優しさに感動した話

イギリスに留学していた大学の友人Aと、デンマークはコペンハーゲンを訪れたときの話。
宿泊予定のエアビーになかなか辿り着けず、やっとこさたどり着いたと思ったらおうちに入れず、近所の人にコーラをもらったというほっこりストーリー(?)。

エアビーとはAirbnbのことで、要は民泊である。安いし、人の家に泊まれて地元の人に色々話も聞けて楽しいので旅中よく使った。

問題は、鍵の受け渡しがなかなか難しいということだ。大体、事前に鍵の場所(ポストにいれとくよーとか)を教えてもらったり、対面で鍵をもらったりするが、うまくいかないと絶望が待っていたりする。
なぜなら当時、電波のない旅をしていたからである。ヨーロッパはカフェ等でほぼWi-Fiが使えたのでなんとかなっていたが、家が住宅街にあったりすると、行って鍵がない、、となると手がない。

コペンハーゲンでもAirbnbを利用したのだが、地図上であまり場所を確認していなかった私たち。なんと、「コペンハーゲン」で登録されていたものの、実際の場所は全然郊外で、市街地からは特急で40分くらい+バスで15分くらいかかる場所だったのだ。
東京に泊まろうと思ったら茨城だった、、みたいなもので、わああ、まじか!となった我々。

とりあえず地図を頼りに駅にはついたが、バスが本数が死ぬほど少なくてなかなかこない。この時点で待ち合わせ時間ギリギリだった気がする。そんな郊外の駅にWi-Fiは流石にないので、ジリジリしながらバスを待つ。

きた!と思ってバスに飛び乗る。が、ヨーロッパのバスあるあるで、電光掲示板的なものはない。目視で頑張ってベルを鳴らして降りるしかないのである。
7番目のバス停!みたいな感じで認識していた私たちがおかしいな、、と思った時には時すでに遅く、2.3のバス停を過ぎてしまっていたのであった。
(ちなみに、海外で初めてのバスに乗る時は、ここで降りたいから着いたら教えて!と運転手に頼んでおくとよい。すっかり油断していたのでわたしたちは忘れていた、、涙)

ああ〜What a f**k,,,となりながらとりあえず降りる我々。
大きな道路を走るバスで、ひと区間がなかなか長い!
逆方向のバスは、時刻表がなく、1時間1〜2本でいつ来るか本当にわからない。
我々はバックパッカーであり、大きな荷物を背負っている。
だがとりあえず、急がないと家に入れなくなってしまう!

歩くしかなかった記憶がある。30分くらいだから歩こう!となって、頑張って歩いた。一生あの景色は忘れない気がする。草原と真っ直ぐな道路と、赤い夕陽。

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ここを歩いていたとき、あまりに何もかもうまくいかなすぎて、テンション上げないとしんどい!となって、なんか歌おう!と言ってカントリーロードを歌って笑いながら歩いたことも、一生忘れない気がする。

特にcメロの歌詞がフィットしすぎていて爆笑した。

『どんな挫けそうな時だって
決して涙は見せないで
心なしか歩調がはやくなっていく(「早めないとやばいよ!」)
思い出 消すため』

歩調を早めないと!日が暮れるのだ!
見渡す限り街灯などなかった。
冷静に真っ暗なこんなところ通りたくはなくて、でもなんていい歌詞なんだと笑いすぎて、早足で歩きつづけている自分たちもなんだか無性に面白くて、本当に最高の瞬間だった。

めっちゃいい顔してたのであげちゃう友人A.

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途中、地図を見ながら歩いていたら、自転車のお兄さんが声をかけてくれた。
ヘルメットをつけて、ちゃんと自転車用のウェアを着て、ロードバイクに乗ったお兄さんは英語がうまく、地図を見てあっちであってるよーと教えてくれた。

北欧の若者は英語が上手かった。発音が綺麗で、ネイティブほど難しい単語を使わずにきれいに話してくれる。そしてアジア人にも優しかった。おかげで何度助けられたことか、、他の国だともっと目線が冷たい時もたくさんあったし、何より困ってると見るとすぐに声をかけてくれる率は北欧が一番高かった気がする。
ホスピタリティが高い理由はなんなのか、やっぱり教育なんだろうな、と思う。北欧の教育方法は有名なので、聞いたことないという人は是非一回くらい見てみて欲しい。

なんやかんやで、おうちに辿り着いたときは日が暮れかかっていた。
ピンポン押してね!とメッセージに入っていたので、ベルを鳴らしたが、もう予定の時刻を過ぎていて、誰も出てこない。家主は家を出てしまっていたようだった。

どうにか電波がないと、Airbnbのアプリさえ見られない。途方に暮れていると、向かいの家からおばさまが出てきて、どうしたのー?と声をかけてくれた。

これは天の救い!と、状況を説明する。
Wi-Fi借りていい?と聞くといいわよ〜と、なんとお家に招いてくれた。

アジア人の女の子二人が大きいバックパックを背負ってコペンハーゲン郊外の住宅街で途方に暮れている様はさぞかし目立ったに違いないが、とにかくありがたかった!

おばさまはコーラの小さい缶を2つ出してくれて、大丈夫です!ありがとう!と断っても飲みなさい飲みなさい、いいのよ〜と缶を開けてしまったのでありがたく頂いたのだった。やさしさにほっこりしすぎてこっちもずっとにこにこしてしまうような、素敵なおばさまだった。

お父さんもいて、英語があまり上手くないのに喋ろうと頑張ってくれた。Wi-Fiのパスワードを出してくれたのだがあるある、メモ書きで文字の判別がつかず上手くつながらない!その間、子供たちが働き出して家を出たばっかり、みたいな話をしてくれた気がする。ご夫婦のお子さんたちと私たちが同い年くらいだねーと、写真を見ながらお話したのだった。
おばさまの方は英語を使うような仕事をなさっていたようで、Wi-Fiがつながらない間、おかしいわねえ〜と奮闘してくださった。なんなんだこの国は、、みんな優しすぎる、、

やっとどうにかWi-Fiが繋がると、宿泊先の方は夜勤で家を出なければならなかったこと、鍵は玄関マットの下に置いてあることがメッセージで入っており、なんとかことなきを得たのだった。

ご夫婦にありったけの気持ちを込めてお礼を言い、お家に入ると、なんと素敵なお家だった!間接照明の力。私たちが来るから、綺麗にしてさらにキャンドルをたくさん置くなど、デコレートしてくれていた。恐るべしデンマークのAirbnb。

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一泊しかせず、結局朝まで家主は帰ってこなかったので、お向かいさんにお世話になったことなどをお手紙を書いて、ノートの紙か何かで鶴を折ってテーブルに置き、次の日の朝は家を出た。お向かいさんへのお礼の手紙と鶴もポストに入れ、私たちはまた次の目的地に向かったのだった。

自転車のお兄さんに始まり、結局家主まで、デンマークの人の優しさ、ホスピタリティの強さに触れた半日だった。

今でも友人Aとはこのことについて話す。
旅のトラブルは1日経てば良い思い出になる。大変であれば大変であるほど、共有された強い思い出となって今でも笑って思い出せる。

一人旅も良いが、友達と旅するのは、かけがえのない時間を共有できる素晴らしい体験だと思っている。これからもいろいろな人と旅に出て、見たことのない景色を見て、思い出を増やしていきたい。

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