中根すあまの脳みその24

「いいものを見た」という実感は、少し後になってやってくるものである。
13日の成人の日に、ミュージカル「フランケンシュタイン」を観劇した。物語、音楽、芝居、演出、そのすべてに圧倒されあっという間の3時間だった。
わたしには、深く感銘を受けたり、感動したり、衝撃を受けたりした直後に、かえってテンションが低くなってしまう習性がある。それは、頭の中が「ナニコレ、スッゲエ!!!」で満たされてしまっていて、その正体が何なのかを突き止める時間が必要だからだと最近気づいた。自分なりに考えたり、誰かに話したりして初めて脳内が整理されて「いいものを見た」という実感がわく。まさに今がその段階で、「ああ、いいものを見たなあ」という観劇直後のような感想を今日だけでも5回は、心の中でつぶやいたと思う。
同じようなことが、わたしが高校1年の時にもあった。
それは、同じくミュージカルの「RENT」を観劇したとき。当時、まだ舞台やミュージカルについてそこまで興味もなく、「経験のために見に行ってみよう」くらいの感覚だったわたしだが、気づいたらその舞台の中に完全に引き込まれていて、そのパワーに必死で食らいついてたことを覚えている。その時も数日後になってものすごい熱がよみがえり、サントラを聴き込み、YouTubeで舞台映像を見漁っていた。ちなみに今でも「RENT」のサントラはよく聴く。それだけわたしの人生に大きな衝撃を与えた作品だったと言える。
そして、なにかの縁なのか、去年自分の所属する演劇部で、ミュージカル要素のある演劇の脚本と演出を担当した。この前、ふと思い出したように、自分たちで創り上げたその作品の映像を見たのだが、正直に打ち明けよう、頭の中は自画自賛のオンパレードだった。それと同時に、こんなに熱を込めたわたしの初めての作品が、もっと多くの人に見てもらえないことに激しいもどかしさを感じた。
いつか、わたしが様々な経験をして、今よりずっと大きな人間になったときには再演しようと、そう心に誓った。
わたしは、まだ少しの作品にしか触れていない。観劇した作品の数なんてほんのちょびっとだ。それでもこれだけ大きな感動や、衝撃を与えてくれる、演劇という世界をもっと学んでみたいと思った。
なんだか、熱く語ってしまったが許してほしい。
今私は、「いいものを見た」と実感した後に訪れる、「とにもかくにも語りたくて仕方ない期」に突入してしまったのだから。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?