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中根すあまの脳みそ

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中根すあまが考えたことや、気づいたことを徒然なるままに記録していきます。毎週金曜日に更新。読んでやってください。
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2023年10月の記事一覧

中根すあまの脳みその216

卵を割るという行為は、極めてプライベートなものである。
私は10時間労働のうちの貴重な1時間の平穏を、コンビニで買ったサラダとゆで卵を食すことに費やそうとしていた。
湿気た献立だ。でもどうだろう、もう既に6時間の労働を終えた今、それはとてつもないご馳走のように見える。
さあ、食べよう。
ゆっくり息をついていては、この平穏はみるみるうちに溶けてしまう。
私はてきぱきとサラダのパッケージを開け、ドレッ

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中根すあまの脳みその214

飲みすぎてしまった。
あたりはすっかり朝。嘘みたいな朝。
始発に乗るべくホームへ向かう足取りは鉛のように重く、雲のように軽やかな足取りで街をさまよっていた酔っぱらいの自分が心から憎くなる。
携帯の充電など無論なく、それはただただ真っ暗闇を映し出すだけの無意味な物体に成り下がっていた。
虚無。
いつの間にかホームについていた。
何かを考えることもなく、暫しそこに存在する。
二日酔いというのは決して体

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中根すあまの脳みその215

毎日のように使用する駅の、
改札を出てすぐのところにあるコンビニは、私の生活には欠かせない存在だ。
一日を過ごすために必要なペットボトルの水や、小腹を満たすおにぎりやお菓子、家に帰ってから飲むのを楽しみにスキップでレジに持っていく缶チューハイ、やけ食いをしたい日のカップラーメン、私は様々なものをそこで買う。
そのコンビニに頻繁に出入りするうちに、私はひとりの店員の存在が目に留まるようになる。
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中根すあまの脳みその213

階段を上ることを拒否した両足はエレベーターの前で立ち止まる。最寄り駅にエスカレーターなどという気の利いたものはない。
エレベーターが来るのを待つという人生で最も空虚な時間を虚空を見つめることでやりすごす。いや、やりすごせているのかは分からない。過ぎ去るのを待っているだけだ。
気だるげに開かれる鉄の扉。
負けじと気だるげに乗り込む。
ぞろぞろと続く足音。
誰かが"閉じる"のボタンを押す。
だが、ドア

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