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2023年7月の記事一覧
中根すあまの脳みその203
学校に行けなかった時期がある。
中学2年生の頃だ。
思えばそれが、私の人生においてはじめての挫折だったように思う。
学校に行けていないと、なんだか、自分だけ地面を歩けていないような気がした。
人と話すとき、常に嘘をついているような気がした。
好きだった音楽たちが、私の方を向いていないような気がした。
それが嫌で嫌で仕方がないので、今日こそは学校に行こうと誓う。
玄関のドアを触る。
そこで思い出すの
中根すあまの脳みその201
渋谷駅前。
ピッピッピッピっと規則的に響く交通整理の笛の音は、夏のプールの授業を彷彿とさせる。
目の前に広がる景色は殺伐としているのに、ふと、刺激的で懐かしい塩素の匂いが鼻先を掠めた気がした。プールから上がった後、授業中に襲われた抗い難い強烈な眠気までも、近くにあるようである。
私には中学1年生の妹がいる。
プールの授業が始まると言って、授業時間が短いだとか、授業時間が短すぎるからもうそれはプー
中根すあまの脳みその200
帰宅が遅れてしまった。
いくら足掻いても母親から落ちる雷から逃れることはできない。
今も尚、暗いリビングで彼女は、怒りという名の電気エネルギーを蓄え続けているはずなのである。
もう、少しくらい早く着いたって仕方がないのは分かっている。
まるで小さい子どもが嬉々として履く、間抜けな音の鳴るサンダルのように、踏み出す一歩一歩から、とぼとぼ、と音がしている気がした。
ちょっとどうかと思うくらいにボロボ