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Vol.2 BOPIS導入に際しての問題

第1回目は、最近日本でも少しずつ耳にするようになってきた「BOPIS」について紹介しましたが、今回は【BOPIS導入に際しての問題点】をテーマに紹介します。

BOPISはBuy-online-pickup-in-storeの略で、要はオンラインで注文して店舗で受け取るサービスを指します。小売業に従事されている方は、古くはclick-and-correctでも同じような構想があったのを覚えてらっしゃるかと思います。ユーザーの利用するデバイスがPCからスマートフォンに移行したことで、このトレンドは一層強くなりました。
 
BOPISは、既に欧米を中心に標準的な機能となっており、ユーザーが日常的に利用しています。一方、小売業によるデジタル技術の利活用が遅れた日本は、BOPISの市場調査が手薄でした。
今日は2021年9月にNECとマクロミルが実施した、「日本におけるBOPISの利用状況」を紹介します。 調査対象者は、全国の20歳以上 の男女、2,062人です。(*参照:Retail Innovations Vol.011 BOPIS利用状況と非利用者の消費特徴・調査レポート)

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1. BOPISを利用する理由はどの商品カテゴリーでも同じです。アンケートでは「買うものが決まっている」という項目が上に来ていますが、「買うものが決まってい」なければ、BOPISを利用できないので、実際は他の上位回答が消費者のメリットになります。 そのほぼ全てが手間や時間の節約です。


2. 都市部在住者はBOPIS利用時に追加購入が多い
米国の調査でも、BOPIS利用者は85%が店頭での追加購入を行うことが分わかっています。日本でも都市部で追加購入が多い傾向が判明しています。特に日用品やヘアケア、コスメなどの少額商品に多い傾向があります。


3. ライフスタイル用品にBOPIS需要が集中
消費者の20.0%がBOPISの利用経験があり、更に28.9%が今後BOPISを利用していきたいと考えています。BOPIS需要はフード(マクドナルドやスターバックス)のテイクアウトを想起される方が多いかもしれません。確かにフードはカテゴリーでは、23.8%のユーザーが利用を希望しており、全体の2位につけています。では、1位は何かというと、46.8%のユーザーが希望しているファッションになります。また、「日用品、ヘアケア」「コスメティクス」でも利用意欲が強く出ています。このことから国内での先行事例も、ユニクロや無印良品、ワークマンといった衣料品に集中しています。


4. お客様はアプリが複数に分かれているのにストレスを感じている。
BOPISを利用してるユーザーの不満点は、「会員登録」と「商品変更・キャンセル」です。中でも「会員登録」は煩雑です。日本では、各小売企業がばらばらにアプリを通じて、ユーザーにBOPISを提供するケースが多く、ユーザーはダウンロードから会員登録を各企業ごとに行うことにストレスを感じます。また、BOPISを提供する小売企業視点でも、個社別のBOPISアプリは開発・運営、ユーザー獲得、オペレーション、決済、物流など含めると、1トランザクションあたり500-1500円ほど損失になることが分かっています。

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伝統的な小売業とECの関係では、ユーザーにとって不便なことが前提になっていました。例えば、ECでは遠方にある大型の集中倉庫を利用し、商品在庫を数日かけて都市部の消費者の手元まで運んでいます。また、店舗の出店計画も多くは不動産開発に依存しており、店舗間でのカニバリや、不動産賃料の高騰に負けがちです。FACYに代表される消費者との「新しい関係」においては、店舗をフルフィルメント/コミュニケーションセンターとして位置づけることにより、最適な商圏が構築可能になります。

次号はESGとBOPISについてご紹介します。

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