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「社会課題の現場に足を運ぶこと」生徒・保護者・他の先生に納得してもらうためには!?

今回は、中学生から目的思考を身につける教育を行う、山手学院中学校・小原先生へのインタビューの後編です。

前編では、「将来解決したい課題から逆算して自分のキャリアを考えられる生徒を育てたい」という小原先生の思いと、実際のカリキュラムについてお伺いしました。

後編では、カリキュラムを導入する際に周囲をどう説得したのか?に迫ります。

▼前編 課題解決に関心のない中学生がワクワクする!3年間のカリキュラムの工夫とは? はこちら



こんな先生におすすめ

✔︎探究学習やキャリア教育の担当になっている先生
✔︎学校内で新しい取り組みを実践してみたいが保護者や周囲の先生の同意を得ることに苦労している先生

山手学院中学校について

・神奈川県の中高一貫校
・”「未来への夢をはぐくみ、その夢の実現をたくましくになっていく人」すなわち「世界を舞台に活躍でき、世界に信頼される人間」を育成する。” を建学の精神として掲げる
・国際的な教育に力を入れ、中3でのオーストラリアホームステイや高2での北米研修プログラムなど、多種・多様なプログラムを展開する

山手学院中学校・高等学校ホームページ



前例のない希望者制のスタディツアーをどう説明する?

ーー他の学校の先生方の参考にもなるかと思うので、ここからは実際の準備についてお伺いできればと思います。希望者制のスタディツアーをこの学年で行うのは初めてでしたが、どのような順で準備を進めましたか。


前年度中に学年の先生方の同意を得て実施決定、4月に保護者向けの説明会を開催、その後参加する生徒を募集し約60人が集まり、7月に実施しました。


スタディツアー当日の様子


保護者の方に対しては、スタディツアーの趣旨や概要を記した文書1枚とメールでの周知を事前に行った上で説明会を行いました。

本校では、3年間かけて課題解決に関する学習を行っているという積み重ねもあったため、「おもしろそうなことやるね」というポジティブな反応が多く、「なんでこんなことやるの?」というネガティブな意見は特にありませんでした。


ーー学年の約1/3の生徒さんが参加してくださって、高い参加率だと感じました。生徒さんに対してはどのように説明されましたか。

私は100人くらいは参加すると思っていました(笑)
日程が夏の大会前だったので、運動部の生徒たちが参加できなかったことが残念でした

説明は、学年全体を集めた時に私から行いました。「今までソーシャルビジネスに関わる方々を学校に呼んできたけど、今度はその方々の現場に行くんだよ」と話しました。

「依存症の課題に取り組んでいる方や、障害者の雇用の課題に取り組んでいる方のところ、行ってみたいでしょ」と問いかけるなどもしましたね。

コロナ禍で校外学習ができず外に行くことに飢えていたことも後押しして、生徒たちはおもしろがって話を聞いてくれました。

自分たちで電車に乗って、かっこいい仕事をしている人に会いに行くんだということにワクワクしていましたね。



スタディツアー当日の様子


ーー急ピッチかつ新しい取り組みだったにも関わらず、スムーズに保護者の方の同意を得られていますよね。スムーズさの要因は何だったのでしょうか。

「そういうの大事ですよね、待ってました!」と思ってもらえる環境を作っておくことですかね。

保護者には、課題を見つけたり考えたりすることの難しさや、実際に行くことの大切さを中1の段階からお伝えしています。

今回のスタディツアーは希望制だったので参加にはお金が追加でかかるのですが、それでも「子どもの学びには必要だ」と思っていただけました。



スタディツアー当日の様子


ーー他の先生方にはどのように説明されましたか。

今回のスタディツアーはすんなり先生方の賛成を得られました。しかし、新しい取り組みは導入も実施も難しいものですよね。導入できても、他の先生方に価値がうまく伝わり切っておらず、生徒にもうまく価値が届かないことがあります。

私は以前成果指導部長をしており、中学全体のキャリア探究学習をデザインする立場でした。カリキュラムを作成するのはいいのですが、実際に生徒たちに教える先生方は教科活動で忙しいですし、先生によっては探究を学ぶ時間がなかなかとれません。

そのため先生方に対しては、”生徒と同じことをやってもらう“というのをよくやっていました。例えば、中2は自分史を書いてもらうのですが、中2の学年団の先生方にも同じことをやってもらいました。最初は恥ずかしいのですが、やり始めると先生方も一生懸命になりますし、意義や難しいポイントがわかります。そして、先生方が実感したものを生徒に共有します。


小原先生からのメッセージ

ーー探究学習では、モチベーションの低い生徒の意欲を掻き立てながら、モチベーションの高い生徒にはさらなる学びを提供することが肝要かつ難しいところですよね。今回の希望制のスタディツアーはモチベーションの高い生徒に提供する学びの一種としても、とても良い取り組みだと思いましたし、ぜひ他校でも広がってほしいと思います。

今回のような希望者向けの校外学習を検討する他校の先生方に、何かメッセージはありますか。

やはり大事なのは、時間をかけて「それ大事ですよね、待ってました!」と思ってもらう土壌づくりだと考えます。

他の先生方、保護者の方、生徒たち、みなさんに「待ってました!」と思ってもらうのは骨が折れます。しかし、希望者向けのスタディツアーは学年全員で行くのと比較したらハードルが低いです。また、意欲ある生徒のさらなる成長に繋がります。

難しさはありますが、ぜひ広がってほしいなと思います。

ーー力強いメッセージ、そしてインタビューのご協力、ありがとうございました!

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