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音楽①Music

「音楽の創造は変化と進歩の果てしないプロセスです。完璧な演奏に到達することは決してありませんが、それでもあらゆる瞬間に知識と洞察力が深まり、情熱が高まるのです。」byジャクリーヌ・デュ・プレ

”Music"の語源にあたる言葉は、古代ギリシャ神話まで遡ります。
神話には「ムーサ(ムーサイ)」と呼ばれる女神が登場します。英語、フランス語では「ミューズ」です。

9人姉妹の彼女たちは音楽、詩、演劇、舞踏、語りなどの文芸を司りました。神話には音楽の競技の審判として登場したり、セイレーン(ヨーロッパの人魚のような水の精)たちと歌比べをするお話が残っています。余談ですが、セイレーンは美しい歌声で船乗りたちを”死んでもかまわない”という気持ちにさせ、海に飛び込ませて溺れさせたりするのです。こちら、”セイレーン”は現代の”サイレン”の語源となっています。また、スターバックスコーヒーのロゴマークはセイレーンをモチーフにしています。

話を戻します。芸術の神アポロンと共に行動するミューズたちは、ヘリコン山やパルナッソス山に住み、人間に会うと芸術の才能を授けました。現在、ミューズといえば、女神という意味意外に、作家やアーティストにインスピレーションを与える存在のことを指します。

それら文芸は「ムーシケー」と呼ばれました。「ミュージック」の語源となったこの言葉は、神々の世界に通じ、音楽以外のいろいろな要素が相互に関連する「総合芸術」のような性格を持っています。

また、女神ムーサを祀る神殿はのちに文芸、学問を研究することにも使われるよになりました。その学堂を「ムセイオン」と言い、この名前から美術館、博物館の「ミュージアム」に派生しました。

現在の私たちの認識では、音楽は他の分野とは切り離して考えがちですが、中世ヨーロッパなどでは大学で学ぶ理数系の科目でした。しかも文芸とは切っても切り離せない関係。文系と理数系を結ぶ存在なのかもしれませんね。

自分の分野で新たな発展や発見を得るためにいろんなところを旅したり、一見関係のなさそうなことを学んで”あえて”迷子になってみると、偶然パルナッソス山に登って、「ミューズ」に出会えるかも。

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