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音楽と脳①音楽は認識のオーケストラ


「人生の惨めさから抜け出す慰めは二つある。音楽と猫だ。」 byアルベルト・シュヴァイツァー


皆さんは音楽とはどのように関わっていますか?リラックスした時間に気に入った曲を聴きますか?カラオケで歌ったり、楽器を演奏したりもしますか?音楽のクライマックスにゾクゾクっと鳥肌が立ったことはありますか?

そんな時、私たちの脳内では何が起こっているのでしょうか。音楽を処理する専用の回路があるんでしょうか。音楽と脳の働きについての研究は比較的新しい分野だそうですが、いろんなことがわかってきています。

音楽から経験する快感は、脳の情動中枢である大脳辺縁系自己報酬メカニズムが働いています。つまり、食事をして満たされた時や性的刺激を経験したり、コカインなどの麻薬を摂取した時と同じ反応なのです。

音の信号は、その情報が耳から聴覚神経を通して”脳幹”に伝わります。その後、4つの交換局を通過します。それぞれの交換局のフィルターにかけ、左右の耳がとらえた音の持続時間の差を計算して音源の方向を突き止めたり、仕分けたりします。

その後視床に達し、大脳皮質などへ向かいます。左右の脳に分かれた側頭葉の上部にある聴覚野につながって、終点となります。

でも、普段聞こえてくる音ではなく、こと”音楽”となると脳の複数異なる領域にまたがって処理され、さらに個人差があり、複雑極まることがわかっています。脳が音楽をどこでどのように処理するかは、過去の経験訓練によって大きく変わってくるのです。

かつては、論理的思考をつかさどる左脳言語を、情動空間的情報を扱う右脳音楽を処理する、という単純な説が紹介されていました。ところが近年になって、左右どちらの脳半球が傷ついても音楽的能力が損なわれることがわかりました。

音楽にはさまざまな要素が含まれていて、非常に複雑です。聴覚野だけではなく、普段は音とは関係のなさそうな数多くの脳の領域も関わっています。ピアノをほんの短時間練習しただけで、脳のパターンが大きく変わることだってあるのです。

次回以降、音楽と脳の関わりをもっと詳しくお伝えします。




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