ミツバチ②ミツバチの家族紹介
「ミツバチが他の生物より尊敬されるのは、勤勉だからじゃない。それは他者のために働いているから。」byアガサ・クリスティー
春になると、養蜂場に新しいミツバチの群れ(コロニー)を迎え入れます。一つの巣箱に一つのコロニー。一つのコロニーのミツバチの数は、夏までに数万匹に増えます。コロニーの中はどんな家族構成になっているのでしょうか。
私たち哺乳類や他の動物も含めて、一人一人を”個体”と呼びますよね。でも、ミツバチの場合、考え方が違います。コロニーには多数の”個体”が集まり、まるで”一の個体”のように振舞います。それを「超個体」と呼びます。それについてはまた改めて別のお話にします。
さて、そのコロニー中身を見てみると、①女王バチ、②働きバチ、③オスバチの3つの階層に分かれます。それぞれの詳しい魅力はまた別の回をもうけるとして、今回はざっくりと説明します。
①女王バチは、コロニーに1匹だけ存在します。1日に2千個も卵を産み、巣の中の全てのハチの母であります。女王バチと言うと、独裁者で、他のハチは女王の気まぐれに振り回されていると言うイメージかもしれませんが、実際のところ、女王だけがコロニーを仕切っているわけではなく、持ちつ持たれつの関係です。産卵のスピードが落ちたら女王の座を追い出されるのです。
②働きバチは、コロニーの大半を占めます。約一ヶ月の寿命(女王だけは数年の寿命!)の中で、日齢が進むにつれて仕事が移り変わります。羽化すると、まずは掃除の下働きから始まり、しばらくすると育児の仕事が待っています。その後、巣の建設やミツロウの製造など、巣を維持する仕事に就いたのち門番の仕事を経て、やっと外勤です。危険な仕事なので、最年長のハチの熟練が必要なのです。
③オスバチは、コロニーに数パーセントだけ。遠くからでも女王バチを見つけられるように、大きな目をしています。オスバチの仕事は交尾のみです。交尾は外で行われるので、巣の中では温度調整をするくらいで、他には仕事もせずにフラフラしています。でも、そもそも交尾がなければ女王バチは卵を産むことができず、コロニーは成り立たないのですから、大事な役割を担っています。
以上が、ミツバチ家族の簡単な紹介です。まだお伝えしたいことが山ほどありますが、次回以降に、より詳しくミツバチたちの凄さをご紹介します。今回のアガサ・クリスティーの言葉の「他者のために働いている」とはどういうことなのか、お分かりいただけると思います。乞うご期待!
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