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思春期、反抗期だよ、全員集合〜!

「啐啄同時」(そったくどうじ) from禅語

鳥のヒナが卵から生まれ出ようとする時、殻の内側から殻をつついて音をたてる。これを「啐」(そつ)という。すかさず親が殻を外からついばんでやぶることを「啄」(たく)という。早くても遅くてもいけない、絶妙なタイミングを指す。


最近では、思春期反抗期に関する正しい理解情報が広まってきているので、親の対処法心構えなどはもうご存知の方もたくさんいらっしゃると思います。でも、わかっているはずのことも、いざ体験すると個々違うものですし、戸惑いがあるかもしれませんね。

まず思春期というのは、子供から大人へ心も体も大きく成長する時期のことなので、大体誰でも訪れると思います。反抗期はいつもイライラして反抗的な態度をとる時期なので、必ずしも全員が通る道とは限りません。親子関係が良好だと反抗期もない場合があります。逆に精神的圧力が強くかかっていても訪れません。

私の反抗期は本当にひどいものでした。小学校4〜5年生ころでした。大人の言うことはまず聞かない、わざわざ禁止されていることをやるひどい口のきき方をする。母は泣いていましたし、両親とも学校に呼び出されました。教師は私と交換日記を始めるなど、周りが慌てふためいていました。

この時、私に何が起こっているのでしょう。そう、脳の大爆発期を迎えているんです。子供の脳内では、脳神経の間のシナプス(つながり)がすごい勢いで増えていて、いろんなことが学べるのはこのシナプスのおかげ。思春期はこのシナプスの再編成にとって大切な時期なんです。

大脳辺縁系”(だいのうへんえんけい)という脳の感じる場所の一部に”扁桃体”(へんとうたい)と呼ばれる部位があります。ここは、本能的な行動攻撃性危険を伴う行為強い感情を作り出します。思春期には大人以上にこの扁桃体を情報処理のために使うので、極端な感情に走りやすくなるのです。

そして、理性的に思考し、自分をおさえたり、先のことを計画したりする”前頭前野”(ぜんとうぜんや)の成熟は一番最後。ここが最初に発達してしまったら、私たちの祖先は新しいすみかや狩場を見つけに冒険に出ることができなかったでしょうね。ひたすらトライ•アンド・エラーを繰り返せるのは、思春期の特権なのです。

この時期は本当に考えて考えて考えます私はだれ?なぜと考え方が違うのか?大人はなぜ私に圧力をかける?‥‥答えのない問いに押しつぶされそうにながらも、うまく表現したり発散できない。自分が嫌いになりそうにもなります。

でも、このような時期は自分にとって非常に大切だったと思います。自分が何に価値を置いているのかわかり、苦境を乗り越えることで自分の反発力回復力(レジリエンス)自信がついて、強くなれるんです。失敗によって学ぶこともできます。

当時は大人たちにもあまり研究や知識が浸透していないこともあり、時間をかけて子供と話し合うことなどありませんでしたが、やはり大人も子供も人と話すことで考えが整理できたり、自分が何を感じているのか気付くきっかけになります。

私も、として、またとして私の子供たちにこんな時期が訪れるのを夢見ています。卵の殻をつつき外の世界へ解き放つタイミングが来るのを待ち構えているのですが、未だそんな気配は見せません。本人たちからも「うちには反抗期ないから」と言われちゃったりしてます。ま、いいか。飛び出せ、若人よ!




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