第十三話 ETFとは何か知りたい
「リスクをもたらすのは自分の行動を理解していないことだ」 byウォーレン・バフェット
株式投資のお話が続いて、しかも少し難しく細かい説明が続いていますが、もう少しだけお付き合いください。今回は、第十二話に出てきた”ETF"について触れておきます。知っておいて損はないはずです。
①ETFとは
Exchange Traded Fund 上場投資信託といって、投資信託が上場したものです。「投資信託」は以前お話ししましたね。銘柄の詰め合わせパックの運用をプロにおまかせする投資商品のことでした。ETF も投資信託と同じように詰め合わせパックなのですが、こちらは株式市場に上場しているので、個別銘柄と同じように自分で証券会社を通じて売買します。
②投資信託との違い
投資信託の値段の決まり方は、「純資産総額」を「口数」で割って「基準価額」を算出するんでしたね。それは1日一回公表されます。一方ETFの場合はリアルタイムで価格がつき、一分一秒、常に上下します。それを自分で値段を指定(指値)したり、いくらでもいいから買いたい(成行)と注文するのです。この株の取引についての詳しいお話はまたいずれしたいと思います。
私の過去の記事を読んで来られた方はもうお分かりになると思いますが、人に任せないということは、手数料が低くなるということです。運用を任せる会社が不要になるので、そこに支払う手数料は無くなります。ただ、買付手数料と信託報酬はかかります。買付手数料は、証券会社によっては無料になります。楽天証券、SBI証券、マネックス証券です。信託報酬も米国ETFなどは安いものが多いのです。
ただ、投資信託の時にもお話ししましたが、投資信託も商品によっては信託報酬が非常に低いものが増えてきましたので、経費に関しては一概に比較できなくなりました。かつては投資信託はとても手数料が高かったので、ETFの方が有利でしたが、今はどのようなスタイルを取るかという好みの問題かもしれませんね。
また、SBI証券、マネックス証券など、一部の証券会社を除いては積立の自動買い付けができません。
③米国ETF
国内外、さまざまなETFがありますが、コストの面でも安全性の面でもリターン面でも米国ETFが人気です。投資が楽しくて趣味になっている人にとっては、投資の幅が広がる良い方法でしょう。その理由を説明します。
「ドルで買付をする」
米国の株式市場に上場しているものを購入するので、ドルで売買し、分配金を受け取ります。日本円との分散投資と考える人もいます。円で買付もできますが、往復2回分の為替手数料がかかってしまいます。その場合、為替手数料が少しでも安くなるように工夫する必要がありますね。SBI証券と住信SBIネット銀行を利用する方法が安いと言われていますが、説明は割愛します。
「税金の還付」
米国株の場合、利益に対して米国で10%課税された後、日本で約20%課税されます。米国に納めた外国税は本来支払わなくてもいいので、確定申告をして還付を受けることになります。ちょっと手間ですね。
「商品の選択肢が多い」
米国ETFにはとてもたくさんの商品があります。代表的なものをいくつかご紹介します。
[VTI] 全米株ファンド 大型株も小型株も、米国全体に投資するファンドです。
[VOO] 米国S&P500に連動するファンドです。
[QQQ] ナスダックという、新興企業向けの市場全体に連動するファンドです。
[SPYD] 米国の高配当株ファンドで、S&P500の中でも利回りの高い銘柄に絞って投資します。配当を受け取って、投資ライフを楽しみたい人にはうってつけです。
ほんの一部だけご紹介しましたが、実にたくさんのETFが存在します。注意しなければいけないのは、”テーマ型”の商品。長く運用が続いているものではなく、流行に乗ったテーマが売りのものがたくさんあります。たとえば、メタバースをテーマにしたETF、若い世代の価値観を支持する企業に投資するETF、共和党・民主党議員が購入した株を買うETFなんていうものまであります(笑)
こういったものは、ブームがそのうちに去ってしまいますし、良いパフォーマンスは長続きしません。9月のニュースで、”今年(2023年)これまでに閉鎖されたETFのファンドは過去最高ベースの929本”と報じられました。せっかく投資したのに閉鎖されたのでは残念です。
ここまで、ETFについてお話ししましたが、面倒くさがり屋さんは投資信託を選んだ方が良さそうです。でもより深くお金のことが勉強できて、個別株投資よりはずっと分散が効くETFは、とっても魅力的は投資だとも思います。
ここで、今までに何度も登場している「S&P500」指数について、補足説明したいと思います。
④S&P500
Standard &Poor's 500 Stock Index スタンダード アンド プアーズ500種指数は、S&Pダウ ジョーンズ インデックスが算出しているアメリカの代表的な株価指数です。
アメリカにヘンリー・ヴァーナム・プアーさんという弁護士がいました。お兄さんと一緒に弁護士事務所を立ち上げ、投資の分野にも関わりました。ヘンリーは、アメリカのあらゆる鉄道会社の経営状況をまとめ、出版しました。のちに息子と一緒に”プアー”出版を創業し、亡くなった後に”スタンダード社”と合併。”スタンダード&プアーズ”(S&P)となりました。S&Pグローバルという会社自体、S&P500に入っています。
500社の株が採用されていて、構成TOPにはアップル、マイクロソフト、アマゾンドットコム、アルファベット(グーグル)、テスラ、ジョンソン&ジョンソンなど、よく知られた大企業が名を連ねています。今はITやヘルスケアの会社が主力なようですが、必要に応じて銘柄も入れ替わります。でも上位はそんなにしょっちゅう変わるようなものではないですけどね。
採用基準は、米国企業で、一定の時価総額であったり、黒字であるなど。もし基準を満たさなくなってしまえば入れ替えが行われます、インデックス全体に投資をしているなら経営があやしい企業を自力で見つけなくても自動的にやってくれ、楽で安心ですね。
それから、以前にもお話しした「時価総額加重平均型」といって、時価総額が大きい会社ほどその指数に占める比重が大きいので、そういった会社にたくさん投資することになります。S&P500に投資するということは、主に先ほど挙げた上位企業に投資をしていることにもなります。
いかがでしたか?なんだかワクワクしませんか?これからも色々なお話をしていきたいと思います。
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