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第十四話 国民年金


「貯蓄は貯蓄、保険は保険、投資は投資、混ぜるな危険!」 by両リベ大学長


さて、入ったばかりのニュースです。投資信託購入の際の、クレジットカード積立の上限が10万円に増額されると発表がありました!現行では5万円までのクレカ積立、来年からのNISAつみたて枠10万円に合わせて、月10万円まで利用できることになります。カードのポイントと合わせた利用をしている方には朗報かと思います。たとえば楽天証券と楽天カード、SBI証券と三井住友カードの組み合わせでそれが可能になりますよ。

株のお話がしばらく続いてしまったので、話題を変えて、社会保険のことを何回かに分けてお話ししましょう。日本は「国民皆保険」の国。国民全員が「国民健康保険」「国民年金」に加入することが法律で定められています。前にもお話ししましたが、日本の社会保険制度は本当によくできた、世界に誇れる制度なんですよ。

①国民年金とは

今回は社会保険の中でも国民年金についてお話しします。国民年金は老後の生活費のためのものというイメージがあると思いますが、それだけではなく、障害死亡のリスクにも備える優良な保険商品なのです。

ただし仕組みや意味をきちんと知らなければ、「少子高齢化が進んで私たちの頃には年金はもらえなくなる」「公的年金は破綻するからそんなものには払いたくない」「個人年金保険に入っておけば大丈夫」などと考える方も出てきてしまいます。

国民年金は破綻などしません。その理由を説明します。
まず、国民年金の財源は以下の三つ。
「現役世代が負担する保険料」 公的年金は”仕送り方式”です。今支払っている保険料は将来自分がもらうために積立をしているのではなく、今現在受給する人たちに支払われています。法律で強制加入が義務付けられているので、税金同様、支払わないと財産差押さえになります。
「税金」 普段支払っている消費税などの税金も年金に投入されています。税金を払って国民年金をもらわない手はないですよ。
「積立金」 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、年金積立金を上手に投資運用しています。現役世代の人口減少はもちろん早くから心配されていて、その影響を軽減して年金制度の運営を安定させるためです。

②保険料の支払い

国民年金保険料は、20歳から59歳の40年間支払います。20歳になれば、学生だろうが支払い義務が発生します。
月1万7千円✖️12ヶ月✖️40年=約800万円
2024年に財務省が検証して2025年に実施される「年金改正」でもし支払いが64歳まで延長されれば、その5年間を加えて918万円ほど支払うことになります。

国民年金の被保険者は、3つに分けられます。
第一号被保険者 自営業者、学生、無職などの人
第二号被保険者 会社員や公務員(厚生年金に加入している人)
第三号被保険者 第二号被保険者に扶養されている配偶者

滞納をすると、年金受給の段階で減額されてしまったり、合計10年以上の支払いがないと全く受け取れなくなりますので注意しましょう。会社員ならお給料から天引きされているので、支払い漏れはありませんね。

会社員の方は厚生年金に加入していますが、その中に国民年金も含まれています。
国民年金と厚生年金の二階建てになっているイメージです。保険料は会社のお給料から天引きされていますが、保険料の半分は会社が負担します。さらに、会社員の奥様は保険料がかかりません。0円!但し、こちらも”扶養の壁”がなくなる改正を段階的に実施中で、いずれは全員が加入しなくてはいけなくなることが予想されます。

フリーランスなど、収入が不安定な人は免除手続きをすることで、保険料を軽くしたり免除される制度があります。但し、年金受給額に影響があるので、支払えるようになったら”追納”をしたり、加入義務が過ぎても追加で支払える”任意加入”をすることができます。できるだけ満額受け取りたいものです。

また、第一号被保険者と任意加入被保険者に限られますが、通常の保険料に月400円上乗せする”付加年金”というものもあります。将来受け取る年金額に、月200円✖️付加保険料を納めた月数が追加されます。

確定申告をしている方ならよくお分かりだと思いますが、社会保険料控除と言って、公的年金なら納めた保険料の全額が所得控除の対象になります。民間の保険は月に4万円までなので、国民年金は税制的にも優遇されます。

③年金の受給

気になるのは、”いくらもらえるのか?”ですよね?
老齢年金」 第一号被保険者で年80万円くらい。月6.4万円だとして、夫婦で12.8万円かあ。子供の教育費や住宅など、大きな出費は終わっていたといてもプラスアルファで資産形成していないとちょっとキツいかな。ただ、それを65歳から終身受け取ることができるので、単純計算で10年で元がとれます。受け取り始める時期を遅らせる”繰り下げ受給”の手続きで受給額を増やすこともできます。

そして、第二号の方は二階建てですから、厚生年金9万円+国民年金6.4万円=15.4万円、第三号の奥様の国民年金と合わせて月22万円。これなら生活できそうですね。先述の年金改正でこれらの金額は変わる可能性もあります。いずれにしろ、終身年金ですから、長生きしてお得な保険ということになりますね。

「障害年金」 病気や怪我によって、生活や仕事などが制限されるようになってしまった人に支払われます。つまり、現役世代の人が受け取る年金です。こちらは障害の程度や扶養家族の数などで受給額も変わりますが、老齢年金と同じで基礎年金80万円を終身受け取ることができます。二階建てのサラリーマンならその倍くらいです。初診日から1年6ヶ月経っても働けない状態にある場合など、細かい要件がたくさんあります。

もしこんなことが起こってしまった場合、第一号の、自営業者やフリーランス(厚生年金がない人)はちょっと大変。公的年金だけではとてもカバーできません。雇用保険の制度もありません。民間の就業不能保険を考えた方がいいかもしれません。但し、障害年金受給者の多くは”うつ病”などの精神障害ですが、民間の保険には精神障害は保証しないこともあります。

「遺族年金」 一家の大黒柱が亡くなった時に残された遺族に支払われる年金です。こちらは基礎年金額+子の数による加算になります。子供が成人するまでの受給です。これもやはり二階建ての厚生年金がある人とない人では差があります。民間の生命保険に入る方も多いかと思います。

ちょっと話がそれますが、私が大好きな生命保険に”団体信用保険”というのがあります。よく”団信”(だんしん)と呼ばれています。これは、住宅ローンの債務者が万が一の時、保険会社が残りのローンを肩代わりしてくれるもので、ローンの契約者が死亡、高度障害状態になった時に保障されます。住宅ローン残高がゼロになるのです。しかも、保険料は金利に含まれています。すなわち、銀行が負担してくれているのです。団信に入りたいがために住宅ローンを借りたいくらいです。

国民年金に話を戻します。年金受け取りも所得とみなされて税金がかかることを聞いたことがあるかもしれませんが、それも”公的年金等控除”の対象となります。国民年金だけなら課税0円です。

以上ざっくりと国民年金について見てきましたが、保険商品としてみても優れていることがわかります。まずは満額にすること。そして不足分をその他の方法で資産形成したいですね。次回も社会保障のお話を続けます。



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