ミツバチ12. ハチに刺されたら
「芸術家は自分の芸術の犠牲にならなければいけない。ミツバチが自分の針に命をかけるように、芸術家もそうでなければならない。」 byラルフ・ワルド・エマーソン
私たちが普段道を歩いていてミツバチに刺されることは、それほど多くはありません。それは、ミツバチが刺すときは巣の危機を感じたときだからです。ですから養蜂家は作業のために巣をいじるので、よく刺されます。
ミツバチにも天気や匂いなど、他の原因でご機嫌ななめになることもあり、刺しやすいシチュエイションがあります。養蜂家でなくても刺されることはありますので、ミツバチが刺すことについてと、刺されたときの対処についてお話しします。
ミツバチには、巣の入り口に門番をする役割のハチがいます。巣の近くに警戒すべき何者かが近づいた時には警戒のフェロモンを出したり、警戒音(ブーンという結構大きな羽音)を立てながら牽制(けんせい)します。
それが敵だと判断した時、ミツバチは”刺す”という行動に出ます。ミツバチの針は、産卵管が変化したものなので、メスの働きバチしか刺すことは出来ません。オスはそもそも針を持っていませんし、女王バチは針を持っていますが、敵を刺すことは女王の仕事ではありません。他の女王バチ候補と女王の座を争うときに、相手を殺すために刺すのです。
働きバチの針は、体内で毒腺と毒のうにつながっています。針には逆棘(かえり)がついており、刺した相手の体から抜けにくくなっています。無理やり抜こうとしてハチの内臓ごと体から破れてしまい、ハチは死んでしまいます。
そして相手の体には針と毒のう残り、ハチから離れてもなお毒を送り続けるのです。ちなみに、スズメバチやアシナガバチの針にはかえりがついておらず、何回でも刺すことが出来ます。
ミツバチに刺されるとまずは”チクーン!”と痛みが走ります。蚊に刺されてもいつの間にか刺されていて気が付かないこともありますが、ハチの場合は絶対にわかります。この時、絶対に慌ててその場で着ているものを脱いだり、追い払おうと暴れたりしてはいけません。刺したはちが出したフェロモンが、他のハチにも続いて刺すように促すからです。
まずはその場を静かに離れ、ハチが追ってこないところまで行きましょう。次に患部に残っている針を抜きます。毒のうを潰してさらに毒が広がらないように、クレジットカードなどを使って取るのが良いらしいのですが、その場にない場合はピンセットや、指でも抜くことは可能です。
もし水道があれば、患部を洗い流します。そして抗ヒスタミン剤の軟膏などがあれば塗り、冷湿布をすればかゆみと痛みを少し抑えられます。でも、多くの場合は患部は赤く腫れ、最初は痛み、次にかゆみが数日間続きます。
私は指、ひじ、など何ヶ所か刺されましたが、一番ひどかったのは、太ももに刺された時です。足が変形するほど腫れ上がり、かゆみは1週間以上続きました。氷などで冷やすことはしないほうが良いとのことなのですが、私はずっと保冷剤を当て続けました。でも、すごく熱を持っていて、保冷剤もすぐに暖かくなってしまいました。
しかし、そういった局所反応よりも、もっと警戒しなくてはいけないものがあります。一部の人にある虫刺されに対するアレルギー反応です。さらにその中の一部の人には全身反応という危険な反応が起こることがあります。アナフィラキシーという言葉を聞いたことがある方も多いかと思います。
刺されて最初の処置をしたら、静かに座って体の反応を観察します。10分〜15分たっても全身に発疹が現れたり、呼吸困難になっていなければひとまず大丈夫です。過去にアレルギー反応が全くなかった人でも、次に刺された時にアレルギー反応を示すことがあります。
もし異変を感じたら、すぐに病院に行ってください。アレルギーの治療で症状が治ります。でも、一度アレルギー反応が現れた人は、次も出ることが多いので、なるべくハチに近づかないようにした方が良いでしょう。アレルギーでなくても、局所反応が重い場合は、ためらわずに病院で受診してくださいね。
以上がミツバチに刺された時のお話でした。巣を守るために迷いなく命を捨てるミツバチたちのことを思うと、刺されても逆に「こんなことをさせてごめんなさい」と謝ってしまいました。合掌。
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