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ミツバチ13.養蜂

「暇にあかせて書いた晩年の最大著作がこれだ。”実用養蜂便覧 付・女王バチの分蜂に関する諸観察”独力でやったのだ。その昔ロンドンで悪人社会を監視したのと同じに、働きバチの群れを観察したりして、昼は忙しく働き、夜は夜で深く考えたりした結果がこれなんだ。」 byシャーロック・ホームズ


イギリスの作家コナン・ドイルの推理小説の登場人物、名探偵シャーロック・ホームズは、架空の人物ですが、49歳で探偵業を引退し、養蜂をしながらミツバチの研究をしたことになっています。どれだけの観察眼で研究したのか、著作を読んでみたい!

それはさておき、ミツバチは受粉の仕事をしたり、ハチミツなどの生産物によって人類社会に貢献をする動物で、家畜扱いになっています。日本では江戸時代から養蜂が行われてきました。今回は養蜂はどのように行われるかお話しします。

まずは服装です。一番良いのは、通気性がよく、明るい色の天然素材でできた
”つなぎ”です。黒っぽい服装は、ハチたちが熊が襲ってきたと勘違いして刺されてしまうので避けた方が良いのです。くまのプーさんは黄色でよかったですね。

また、ポリエステルのような合成繊維は静電気をおびやすく、ハチたちを怒らせてしまいます。そで口とズボンのすそもカバーしないと、中にハチが入ってしまうことがあります。また、面布というネット付きの帽子をかぶります。そして、分厚い皮の手袋をはめます。

「内検」といって、巣箱の中を点検します。いきなり巣箱の中を乱暴に引っ掻き回したのでは、ハチが怒ってしまいます。まずは、”燻煙器”(くんえんき)で煙を焚き、巣箱の中に煙を送り込みます。そうすると、門番バチ(働きバチの回を参照してください)が出す、警戒フェロモンが煙の匂いで撹乱して、ハチたちがおとなしくなるのです。

燻煙器

巣箱の中の巣板を一枚一枚そっと取り出して、見ていきます。女王バチはいるか、を産んでいるか、幼虫はいるか、蛹(さなぎ)はあるか。時期によって、ハチの数が増えたりあまり増えなかったり違いがあるので、状況に応じて人工的に分蜂させたり、(分蜂の回参照)巣板の数を調節、巣の合同などを人の手で行います。

内検

また、内検ではミツや花粉の集まり具合も見ます。ハチたちが生活に困らないように食料を巣に残しつつ、たくさん集まっているようなら、「採蜜」(さいみつ)をしてミツをハチたちに分けてもらいます。

ミツのたっぷり詰まった巣板は、とっても重くなります。繊細な見た目にも関わらず、六角形のハニカム構造とハチたちのプロポリスなどの補強のおかげで、そんな重さにも耐えられる丈夫な巣が出来上がっているのです(巣の建築の回参照)。

採蜜の方法です。まずはハチが良い濃度になったミツにロウで蓋をした”蜜蓋”を、温めた”蜜刀”という道具を使ってはがします。その巣板ごと”遠心分離機”に入れます。ハンドルを回してミツを板から落とします。不純物が混ざらないように濾して(こして)びんに詰めます。

採蜜

その他、ロイヤルゼリープロポリスを採取したり、蜜蝋(ミツロウ)を溶かしてロウを精製する仕事もあります。大きな養蜂場では受粉の仕事をミツバチたちにさせるために、ハチをレンタルするのも養蜂家の仕事になっています。

世界中でミツバチが減っている中、養蜂家としてやっていくことは大変でしょう。でもミツバチを絶やさないように考え、貢献できるのも一番近くにいる養蜂家だと思います。みんなで力を合わせてミツバチパラダイスを作りましょう!


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