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音楽家に必要な条件とは何かと問う人へ

「いかに多くの素晴らしい声に恵まれた生徒が、勤勉、忍耐、音楽性、強固な神経等に欠けているために成功できなかったことか。」 byロッシーニ(作曲家)


結論から言ってしまえば、”前提条件などはない” のですが、とは言っても同じ時間や労力を費やしても、その実力には差が出てしまうのも事実です。ロッシーニもこの言葉に加えて、優れた歌手の条件は「一に、二に、三に!」とも言っています。

人間の能力というのは、①生まれ、遺伝子によるものと、②育ち、環境によるものの大きく二つあります。その二つが絶えず影響を及ぼしあいながら人間は成長していきますが、最後には③経験、努力、訓練が大きく物を言うようになります。

生まれ、遺伝子による影響は本当に複雑で、環境によって遺伝の影響が色濃く出る場合と、現れづらくなる場合があります。似ていることもあるし、似ていないこともある。同じ親から生まれてもヴァリエーションがあります。

育ち、環境は、初めのうちは確かに能力の向上に大きく影響します。質の高い教育を施すことで知力、能力は一時的に上昇します。あなたの目的がただ”能力を示すこと”なら、この①と②でその目的を果たすことができるでしょう。

例えば、良い声を持っていて、ある程度音楽が好き。専門的な教育を受けた。でもこれだけでは音楽家の条件を満たしているとは言えません。これをベースに、どれだけ音楽が生きる喜びになっているのか。それが③経験、努力、訓練を生かすことができる原動力となります。平たく言えば、どれだけ好きなのかと言うことです。

ピアノや歌を習いにくる生徒たちをみていると、その傾向がある子供、あとあと出てくる子供、あったのになくなってしまう子供、表にはわかりにくくても確実に育まれている子供、と、本当にさまざま。①②③が複雑に絡み合っていると推測されます。大人に関しても同じことが言えます。

間違った指導法などによってその人の喜びが失われてまう、と思うと、指導者の責任は重大です。ただ、ベースになるものを育成するほんの少しの手助けしかできないことも事実。あとは本人次第なのです。

自分の能力は努力や経験によって伸ばすことができると信じることが、うまくいかない時こそ粘り強く試練を乗り越える力となるのです。没頭できること自体に価値を置くのです。そうすると、あなたの遺伝的素質が本領を発揮し始めるかもしれないのです。

失敗した、と思うこともあるでしょう。でもそれを受け止め、そこから学んで行動するのです。音楽を生み出す前向きの力だと考えます。それができることが、音楽家の条件だと思います。音楽自体が生きる喜びなのかどうか。






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