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紙ちぎり ひとつ。

すたじおぽっちでは年に3回「ぽっちの花だより」という広報誌を発行している。パートのKさん・Yさんが、編集長&編集部員となって構成を考える。

今回、特集したのは「こだわり」。なかでも多くの方がなぜかしている「紙ちぎり」について。この「紙ちぎり」、障害福祉分野の方なら見聞きしたことがある、言わば“あるある”ではないだろうか。

紙ちぎりをするメンバーを改めて見つめてみる。
チラシを細かくちぎってペットボトルに詰める人、ボールペンで書きなぐった紙(スタッフはこれを作品とよんでいる)をちぎってはまた描く人。ちぎり方のバリエーションが多い人(様々な形にちぎる)。トイレットペーパーをちぎって団子状に丸める人(スタッフはこれを“テイッッシュボール”と呼んでいる)。ちぎった紙をかき混ぜてヒラヒラと舞う様子を見つめる人。もう何年も変わらず続ける人もいれば、ブームが移り変わる人もいる。ひとえに「紙ちぎり」と言ってもその楽しみ方は様々。

いつからどのように始まった行為か?探ってみると、「初めはハサミを使っていたが、危ないので管理したところ手でちぎるようになった。」「チラシにある好きなものをちぎっていたが、その内、ちぎることにハマっていった」「紙の質感や色にも好みがある。」とかなんとか。

そしてやっぱり「他にすることがなかったから」。きっとこれ、あるだろうと思っていた。

編集長は記事をこんなふうにまとめている。
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『―○○が好き、○○があると落ち着く…といった感覚は、誰もが大なり小なり持っているのではないでしょうか。― 紙は文字や文書を書いたり絵を描いたりするツールであると同時に、“ちぎる”ことで私たちの感覚に刺激を与えてくれるものでもあるのです。チラシ・新聞などは身近にあってすぐ手に入る紙。そんな紙に出会って、それぞれ自分の好きに出会って、その「安心」や「心地よさ」から心の落ち着きを得ている人 ―生きにくい世の中で見つけた自分の生き方― ここにも「ぽっちの花」があります。大切に見守っていきたい“花”です。P.S.あなたはどんな「紙」が好きですか?』

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障害特性を語るときに使われがちな「こだわり」という言葉。その行為が”一般的でない(その人にしかわからない・多くが思う常識の範疇にはおさまらない)“ほど特異なものとして扱われることがある。「こだわり」という言葉にはネガティブなイメージが伴うこともある。でも、誰しも、”○○が好き“・“○○があると落ち着く”そんな何かを持っているのではないか。理解をすることは難しくても、大事なもの(行為)として寄りそうことを大切にしていきたい。

たかが「紙ちぎり」、されど「紙ちぎり」。紙ひとつでどこまでも夢中になれる。置かれた環境で自分なりの楽しみを見出していく。紙をちぎるそれぞれの姿を見ると、とても人間的な創造力を感じる。物であふれる今、「ほら、すでにもうあるじゃないか。」「私たちは自分で自分を満たす力を持っている。」そんなことを言われている気がしている。

編集部のお二人、記事にご協力いただいたスタッフ•ご家族の皆様、ありがとうございました。

室本

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