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小説版『アヤカシバナシ』

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恐怖・不条理・理不尽…もしかするとそれは、アヤカシの仕業かもしれません。漫画『アヤカシバナシ』の小説版:怪談奇談短編集
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記事一覧

小説版『アヤカシバナシ』方向音痴

服屋さんだった頃、出張で大きな街へ行く事に。 我が町でもさっぱりわからない極度の方向音痴の私は、会社でもそれは有名で、駅のすぐそばにホテルを取ってくれた。 親切な庶務課の女性がホテルまでの地図、ホテルから会議場所への地図を書いてくれた。 無事ホテルで目覚めた私は早めに行動開始。 地図を見ると目印は煙突!と書いているので、駅から出て周囲を見渡すと煙突が見えた。 絵に描かれているのとそっくりだったのでそっちへ向かった。 やや暫く歩くとなんか山っぽい。 いあ、街の雰囲

小説版『アヤカシバナシ』階段

気づいた時と言いますか、記憶にあるのは保育園の時から。 住んでいた家は決して裕福ではなかったので、一階がよそ様の家、その横に玄関があり、二階が我が家。 つまり二階建てだけれど玄関別で他人と分け合って住んでいる、二世帯住宅をそれぞれ他人が住んでいるイメージですね。 玄関を開けると目の前が急で長い階段。 アパートの外にある二階に行くための階段が、玄関開けたらそこにあるイメージ。 勿論ガラガラ戸を引くと、小さな玄関と呼ぶスペース。 そこで靴を脱いで階段を上がるのだ。

再生

チャンネル愛×アヤカシバナシ『武士と先輩』

アヤカシバナシらしいオチをうまく表現してくれて有難いなぁ。

小説版『アヤカシバナシ』ワタナベさん

私がサービス付き高齢者向け住宅で働いていた時のお話です。 以前より体調を崩していたワタナベさん。 寝たり起きたりを繰り返し、起きていても虚ろで生気が無い感じだった。 話しかけても擦れた声で何を言っているか聴き取れない。 ここ数か月でこんな事になったと言う。 年齢も91歳なので、当然と言えば当然なのかもしれないが、寂しいと言えば寂しいことである。 そんなワタナベさんが昨夜から微熱が続いているとの報告を受けた。 早朝の検温でも37.6度、本人の意識はしっかりしている

小説版『アヤカシバナシ』リネン室

医療関係の仕事をしていた頃の話ですが、リネン交換をする日がありまして、その日その日で担当が違った。 いわゆるシフト制というもので、毎週土曜日誰かが担当になる。 まぁ時間や仕事次第では日曜にもなったのだが。 その日は私が担当だった。 リネン室は薄暗い真っ直ぐ伸びた通路を10m程進んだ右手。 以前話した『赤いカド』を横切ってのリネン室なので、気持ち悪さもまぁまぁあった。 リネン交換をする夕方の時間帯は人も歩かず、シンとしている。 カラカラと音を立て、使用済みリネンを

小説版『アヤカシバナシ』黒猫のミイラ

服屋さんで働いていた頃の話なのですが・・・ 当時の私はダンスが大好きで、 よなよなクラブへ通い、閉店後に路上でダンス練習。 なので毎晩朝の4時頃の帰宅となっていた。 しかし出社は午前9:45分からだったので、約4時間は寝られる、そんな生活が普通だった日々。 その日も朝帰りして眠りについたが、真夏だったので部屋が蒸し暑くて目が覚めた。 着替えて準備を終え、出社しようと車に向かう。 家の反対側、玄関とは真裏に位置する駐車場だ。 真っ赤な軽四だったのですが、ボンネッ

小説版『アヤカシバナシ』右半分

医療関係の仕事に就いた時の話なのですが・・・。 2日間缶詰になって1日8時間、介護を中心に医療関係に携わる為の講習会に参加することになりました。 教科書を開いて睡魔と戦う説明からの説明、そして説明。 休憩挟んで実技、移乗介助の方法、入浴介助、ベッド移乗、など、その他介護に関わる動き、捌きなどを学ぶ。関節の使い方や体重移動など、学んでみると格闘技に通じるものがあり、格闘技好きとしては個人的にはとても面白く、自分で言うのもなんですが、格闘技経験者と言う事もアリ、覚えも上達も

小説版『アヤカシバナシ』箪笥

大型デパート内の服屋に勤めていた私は、手先が割と器用な方だったため、手伝いとして家具の組み立てもしていた。 服屋は3階で各コーナーは7階。 店長の鶴の一声なので逆らうことは出来ず、服屋でシフトを組み、私が家具の組み立てを行えるよう、上司が調整してくれていた。 そんな日々が続き、組み立てるだけではなく空き時間には家具を拭くのも仕事の一つとして磨いていた時、1つの箪笥の前に、スナックの包みの破れた一部が落ちていた。 その箪笥はとても大きくがっしりしており、売れないのを見越

小説版『アヤカシバナシ』地下駐車場

ずっと前の話しになるのですが、駐車場が地下にあり、そのまま誰に見られることもなく館内に入り、自宅へ行けると言うマンションに住んでいました。 地下は地下なのですが正確に言えば1階。 道路に面している正面が1階でコンビニで、その後ろが急な坂道になっており、駐車場がある。 つまり駐車場から見れば駐車場は1階でコンビニから見れば地下。 いつものように駐車場へ行き、車が温まるまでアイドリングをしていました。 曲を聴くのが好きなので、音は高めにかけていました。 何気なくブレー

小説版『アヤカシバナシ』ケアン

雑誌編集の仕事をしていた時の話です。 ラフやカンプを担当しているので、本人が欲しい画像を写してもらう方が早い・・・を、理由に同行することが多かった。 この日はカメラマンと記事担当、そして編集である私の3人で、とある山へと向かった。 まぁよくあるディスカバリー系の特集なので、ロケーション重視の撮影となった。 登山と言う程でもないけれど、1から徒歩ならなかなかキツい登山道。 中腹までは車で行けて、そこから徒歩となった。 まぁまぁ急な角度なので短距離でも無言になるほどし

小説版『アヤカシバナシ』天上

都市伝説で『ベッドの下に人が居た』なんて話しがありますよね、それに似た話が知り合いの経験談にありましたのでご紹介。 関東某所で暮らすことになった知人A子。 不動産屋さんに紹介してもらったアパートは4軒入った、割と大きめの物件。1階の2軒は住んでおり、2階の向かって右は大家さんが住んでいると言う、A子にとっても、聞いた私にとっても聞いたことが無いパターン。 不動産屋さんが言うには『逆に隣が大家なんていい事ですよ、直ぐに何かあっても対応してくれますから、とても良いかたですヨ

小説版『アヤカシバナシ』向かって右

小学校高学年くらいだったと思います・・・ 地元に大きな百貨店と言うのかデパートと言うのか、そんな施設が完成しました。 そう言うモノが無いような小さな街ではありませんが、新しく大きな施設ができると言うのは子供ながらに胸が躍った。 暫くするとそのデパートにまつわる噂をいくつか耳にする。 ①建設前はお寺で、お寺と墓は移動したが土自体はそのままなので、結果的には建物の下に死者が居る。 ②エレベーターに幽霊が出る。 ③夜、建物の周りに火の玉が飛び回る。 ④雨の日、デパート

小説版『アヤカシバナシ』助手席

私の体験談の中では最恐のお話しをしようと思います。 私は18歳で即車の免許を取得しに自動車学校へ通いました。 それまで車は悪戯でも触ったことが無かったので、それが逆効果となり、全て一発で取得できました。 バイトもしていたので車は直ぐに購入する事となり、無理のないレベルで返済が可能な車を父親の知り合いのディーラーに依頼することになった。 それから数日、掘り出し物が手に入ったとディーラーから連絡があり、休みの日に見に行くと、白い四角っぽい軽四でした。 飾りっ気のない事務

小説版『アヤカシバナシ』放課後

小学生の頃の不思議な話なのだけれど。 高学年になり、放課後に居残りして遊ぶのが楽しかった。 先生は見回りに来ず仕事が終われば帰る。 定期的に用務員さんが回るだけだったので、居残りは比較的容易だった。 まぁ居残りしても何をするわけでもなし、5人居たのでかくれんぼをしよう!と言う事になった。 特に鍵がかわれた教室もないので私と友人とで図工室に入ると、女の子が一人いた。 『わ!びっくりした!』と私が驚くと、その女子は 『ご、ごおめんなさい驚かせて・・・』と言った。