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私的2023春アニメ3選

群雄割拠の春アニメ…

話題作が目白押しだったが、最新情報に疎い私は「これが楽しみ~!」というものは正直無く、ゴールデンカムイ4期再開されるのかぁ…よかったなぁ…くらいのモチベーションで4月のシーズンインを迎えた。

さて4月半ばの22時過ぎ、年の離れたアニオタ友達M氏から突然のメール。
「覇権アニメ『推しの子』ご覧になりましたか…第一話の衝撃度が激しく、吐血中です…進撃の第一話以上かも…ゴホォ…ネタバレが蔓延しないうちにご覧いただければ…ゴホ…」
還暦を過ぎて吐血ネタはいかがなものかと突っ込みたいが、普段は極めて勤勉・親切なビジネスパートナーである。M氏がそこまで言うなら、と私は約1時間半もある『推しの子』第1話をメール受信の2分後に観始めた。(お前も暇なのか。)

こうして始まった、私の2023春シーズンを振り返る。

 ①感情ジェットコースター!『【推しの子】』

春季の話題作『【推しの子】』はオープニング主題歌「アイドル」(YOASOBI)、エンディング「メフィスト」(女王蜂)が傑作であることもあいまって、きわめて完成度の高い作品だった。
地方都市のアイドルオタク産婦人科医の元へ、推しのアイドルが患者として現れ、2人の出会いからトンデモストーリーが展開していく。

作画の美しさ・可愛さからは想像も出来ないような、芸能界・アイドル業界のエグみ、「推し活」という言葉でマスキングされたファンのエゴ、偶像であり生身の人間であるアイドルの苦悩、がギュギュっと詰まっていて、目が離せない。
どのキャラクターにも感情移入してしまう部分があり、いつも視点と感情がぐるぐる動いてしまうジェットコースターのような魅力があった。
(2~6話あたりは、中だるみというのか、物足りなさも感じたが。)

20代の頃、「推し活」という言葉もまだないような時代に、アイドルにハマっていた私からすると、正直見ていてツラいことも多かった。
彼はまさしく私にとって「一番星の生まれ変わり」だった。
推しの活動を追うことが生活に活力を与えてくれる。ライブやイベントの日を楽しみに生きられる。
そして、返しきれないような喜びとともに、ファンとしての無力感も一生分味わった。

キラキラ・ドロドロごちゃ混ぜの『【推しの子】』がどんなエンディングを迎えるのか、続きを待ちたい。


②  自分を探す、ムリゲー旅『地獄楽』

オープニング主題歌の豪華さでは負けていない「W●RK」(millenium parade×椎名林檎)で始まる『地獄楽』は少年漫画らしい強引さで、極彩色の異境へ視聴者を導いてくれた。

江戸末期を舞台に、極悪の死罪人10名が幕府のお目付け役とバディを組み、「不老不死の仙薬」を探すために極楽浄土と噂される島へと送られる。「不老不死の仙薬」を持ち帰った者のみ与えられる無罪放免の特権を求めて、罪人たちは島の環境や敵と闘っていくことになる。
作品に登場する、氣(タオ)、丹田、中道、陰陽論などは、ヨガにおけるプラーナ(生命エネルギー)、チャクラ、呼吸法と深く結びつく部分があり、バトルを通してヨガ的な世界観を感覚的に理解するのにも有益で、興味深い。

バトルアニメとして楽しんでいたが、観るうちにこれは各キャラクターが「自分を探す旅」なのだと気づいた。生死を賭けた極限の状況下で、死罪人もお目付け役も、平時には見ることのない「ほんとうの自分」に気づく。
自分は何に憧れ、何を好み、何を求めるのか。

ネタバレ:とりあえず、5話で好きになったキャラが8話で死ぬとかやめてくれませんか。


③  理解できないのに中毒になる『天国大魔境』

13話まで観ても状況がまったく理解できないという問題作。
(私の理解力が及ばない、という問題もあるが。)
未曽有の大災害で世界が崩壊した後の、廃墟となった日本を描く一方で、閉鎖された美しい学園で暮らす子供たちの様子が描かれる。ユートピアとディストピアのような対比が不気味で、徐々に絡み合っていく2つの世界に視聴者は引き込まれる。
最後まで理解できなかったが、2期はあるのか…
それでも夢中になるのは原作の魅力は勿論、Production I.Gの卓越した技術とセンスによるものでもあると思う。
謎レビューですみません。


盛りだくさんの春アニメ…今回の3選はすべて「濃い」ので、目を休ませたくなったときはぜひとも「スキップとローファー」をどうぞ。↓

しかし『【推しの子】』の有馬かなちゃんのパワーワードには驚いた。
「おしっこ漏れちゃうくらい売れなかったんだから。」
私も自分の仕事で失敗したときには、言ってみようかしら。
 

【作品情報】
・【推しの子】
原作:赤坂アカ×横槍メンゴ(集英社、週刊ヤングジャンプ)
アニメーション制作:動画工房
 
・地獄楽
原作:賀来ゆうじ(集英社・少年ジャンプ+)
アニメーション制作:MAPPA
 
・天国大魔境
原作:石黒正数(講談社・アフタヌーンKC)
アニメーション制作:Production I.G




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