見出し画像

私的2024冬アニメ3選

2024冬シーズンの振り返り

秋アニメが私得すぎたのだ。
続く冬アニメに関してはあたらしく観るものが無く、何様だと自分でも思うが、消化試合のようなテンションで『葬送のフリーレン』『薬屋のひとりごと』の続きを観ていた。
待ちわびて喜怒哀楽のすべてをアニメに注ぎ込むようなシーズンは勿論楽しいが、たまのヒットだからこそ喜びも大きいのであって、惰性のダラ見で過ごすシーズンも悪くない。

こういう盛り上がらないシーズンというのは、作品サイドのものでなく、視聴者個人の問題である、と自覚している。
好み(ストーリー、ジャンル、作画)によるところも大きいし、その時の気分によって感応するものも変わる。リサーチ不足のことも多い。
諸々の理由で、私は大御所といえど『鬼滅の刃』も『スパイファミリー』にも巷でぶりんばんばんしている『マッシュル-MASHLE-』にも食指が動かなかった。
視聴者や読者というものはいつだって、気まま我がまま・偉そうである。

さて、しずしずと過ごした冬アニメを振り返ろう。

①葬送のフリーレン

秋アニメから引き続き全28話、半年に渡って放送された『フリーレン』は安定の面白さ。OP・ED主題歌が途中で切り替わるのは2クールものの醍醐味だが、後半のオープニング主題歌(ヨルシカ『晴る』)は美しくて切なくて、作品の世界観にぴったりだった。

旧友ヒンメルや師匠フランメの言葉を反芻しながら人間との交流を深めるフリーレンは、回を追うごとに人間の感情や感性に寄り添うようになっていくものの、けして「人間らしく」はならない。
どうしようもなく別の生き物だからこそ、大切にできるものがあるのだろう、としみじみと感じられた。

味わい深い旅をしていた前半から、後半の「一級魔法使い選抜試験」パートは、どのキャラも彩り豊かで、バトルシーンも神作画と評されたが、騒がし
い・忙しい感じが否めなかった。
私は前半パートのほうが好みだが……2期に期待。


②薬屋のひとりごと

こちらも秋アニメに引き続き全24話、2クールに渡って放送された。
舞台はとある大国の後宮。
薬学の知識豊富な主人公・猫猫(マオマオ)と、その才能を見出して問題解決を依頼する美貌の宦官・壬氏(ジンシ)さまの繰り広げる謎解きエンターテインメント。
物語の構成、テンポのよさ、作画の美しさ、と文句のつけようもないのだが、私は秋アニメ3選に『薬屋』を加えなかった。

理由はシンプル、主要キャラの「ものわかりがよすぎる」のだ。

その賢さ・ものわかりのよさがストーリーをもたつかせずに進めているのだが、どうにも「推し」をつくりたい私はハマれなかった。
なんかこうもっとさぁ…人間味とか…葛藤とか…。

ところがどっこい(死語)後半パート、
謎の天才軍師・羅漢(ラカン)が登場してからはグンと面白くなった。
分かちがたい絆、才能への嫉妬、「嫌いであっても恨んではいない」という本音、猫猫のバックグラウンドや人間性に深みが増し、ただ面白かっただけの物語が熱や奥行きをもつようになった。

ちなみに、ファンの多い壬氏さまにはスンとも惹かれない。
出生もややこしそうだし素材は悪くないのだが、ツンデレ男子が好きではないのか、興味がわかない。
初期はツンデレだったが、24話頃にはデレツンデレデレくらいの配合になっていた彼は、今後どう成長するのか…。
猫猫をオトしたいなら、もっと頑張っていただきたい。


③キングダム 5期

これほど「膂力(りょりょく)」という言葉が相応しい作品もない。
「何も観たくないけど何か観たい」という贅沢な気分のときに見始めたのがコチラ。原作漫画は読んでいたが、アニメは初めて。
そんな中途半端ファンでも虜にする膂力が『キングダム』という作品には常にある。

原作既刊71巻、アニメもシーズン5を迎えるという大作であれば、視聴者は途中参加を躊躇いそうなものだ。
しかし初めから読んでも、途中から読んでも、遡って読んでも、キングダムは面白い。
ねじふせる力がある。
アニメも然り、であった。

主人公級の魅力溢れるキャラクターが勢ぞろいの『キングダム』だが、今回の人気№1は桓騎だろう。(那貴もいいよね。)
記憶に新しい『呪術廻戦』のフィジギフおじさん然り、みんな強くて悪いヤツが大好きなのだ。

シーズン5を観たものは、
『キングダム』って桓騎が主人公だったのかよ…

と呟くこと請け合いである。


励まされて、春。

レッスンに来てくださるヨガ&アニメフレンズMさんは、仕事でつらくなった時期を『葬送のフリーレン』の登場人物·リヒターの名言を何度も噛みしめて乗り切ったらしい。

デンケン。お前は知らないだろうが、
どんな最悪な気分でも、
人は食っていくために働かなければならん。

アニメ『葬送のフリーレン』27話

Mさんよろしく、首もげるくらい頷く人も多かろう。

アニメは、エンターテイメントだ。
趣味だ。娯楽だ。コンテンツだ。
1話にして24分30秒。

そこから明日への活力を得て、
今日も私たちは生きている。

【作品情報】
・葬送のフリーレン
原作:山田鐘人・アベツカサ(小学館・週刊少年サンデー)
アニメーション制作:マッドハウス

・薬屋のひとりごと
原作:日向夏(イマジカインフォス・ヒーロー文庫)
アニメーション制作:TOHO animation STUDIO、OLM

・キングダム
原作:原泰久(集英社、週刊ヤングジャンプ)
アニメーション制作:ぴえろ、スタジオサインポスト



この記事が参加している募集

アニメ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?