見出し画像

【STRACT×メディアジーン】対談企画🚀〜『PLUG Wishlist』実証実験の裏側、メディアの課題と未来〜

STRACTでは、2023年12月20日に株式会社メディアジーンとの実証実験について、共同プレスリリースを出しました!

▼STRACT、メディアジーンとEコマース×ファーストパーティーデータの活用による、「読者とのタッチポイント」を創出する実証実験で、1万ユーザーを突破

▼メディアジーン、STRACTとEコマース×ファーストパーティーデータの活用による、「読者とのタッチポイント」を創出する実証実験で、1万ユーザーを突破

STRACTは、メディアやコマースサービスを運営する株式会社メディアジーンとともに「メディア×Eコマース」の新たな取り組みとして、メディアジーン運営メディアに『PLUG Wishlist*』を組み込んで実証実験を行なっており、ユーザー登録数1万人を突破したタイミングで発表を行いました。

*『PLUG Wishlist』とは
『PLUG Wishlist』は、気になる商品の値下げ通知・最安値情報を自動で受け取ることができるサービスです。商品紹介記事内で欲しいアイテムを見つけた際に、記事内のボタンを押してアイテムを登録することで、価格が値下がりしたタイミングでメールを配信、また、登録したアイテムの一覧を閲覧・編集ができます。

現在は、メディアジーンが運営するメディア「ギズモード・ジャパン」「Business Insider Japan」「ライフハッカー・ジャパン」「ROOMIE」にて利用可能です。

今回、STRACTの公式noteでは特別企画として、株式会社メディアジーンのコマース部門執行役員・手島湖太郎氏と、弊社代表・伊藤の対談をお届けします!
このたびの実証実験の詳細、メディアにおけるさまざまな課題、コマースにおけるデータの重要性、PLUGの優位性についてなどを深掘りしてまいります🚀


左より株式会社メディアジーン コマース部門執行役員・手島湖太郎氏、STRACT代表・伊藤

ーー まずはじめに、メディアジーン様の4つの媒体で『PLUG Wishlist』を入れるという実証実験を行うことになった経緯を教えてください。

手島様(以下:手島):経緯は、まずメディアジーンとして、また個人としても非常に注目している企業でしたので、何か一緒にできることはないかと伊藤さんにお声がけさせていただきました。会話を重ねる中で、お互いにとって良いグロースの方法がないか探ろうというディスカッションを行ったのがはじめですかね。

伊藤:そうですね。STRACTはPLUGでの連携を通じた相当数の商品データを持っているので、そのディスカッションの中でデータを活かして何か一緒にできることはないかと考えていきました。コマースという側面だと、メディアジーンさんが運営するメディアの記事にはすでに商品が載っていて、読者による購買もされているので、じゃあそこをうまく手助けできないかな、という出発点から『PLUG Wishlist』の素案をひねり出したんです。

手島:メディアの課題として、広告やアフィリエイトなどのビジネスのチャンネルがある中で、それら以外の方法論でのマネタイズというのはずっと模索中だったんです。今回の実証実験は、その方法論の一つにもなりうるんじゃないかとも考えました。
メディアは読者にコンテンツを楽しんで頂き、サードパーティーやファーストパーティーの形でデータを頂くこともあるけど、それを読者にとって価値のあるビジネスとして提供できていないという課題がありました。そして、それらをSTRACTの持っている技術や仕組みを使って、メディアの新しいビジネスを考えられるのか、という会話もありましたね。

伊藤:そうですね。メディアは訪問する人の母数が多いのでビジネスとしては成り立つと思うのですが、来ていただいた読者が離脱してしまったあとも追っていける、ちゃんとそこにアプローチして接点を持ち続けるというのは、取り組みとしてなかなか難易度が高いと思うんです。
だけど、その取り組みの一つとして、読者の「欲しいもの」をフックにその情報を後から届ける方法は、感覚として「割といい線行きそうだ」と共感もしましたね。

『PLUG Wishlist』の仕組み

ーー つまり、『PLUG Wishlist』の発想自体は、どちらかが元々持っていたわけではなく、話し合って創り出されたということですね。

伊藤:手島さんはコマース部門の執行役員でいらっしゃるので、「いかにメディアを用いてモノを売るか」というのは命題としてあるはずで、だからこそお互い似たような考えを持っていると感じます。PLUGはユーザー側のツールなので、ユーザーのブラウザに埋め込んでもらうものですが、そうではなく媒体やECサイトそのものに埋め込んでいくというやり方で、何かできないかなっていうのを僕自身ずっと考えていました。

手島:メディアには「機能」がないんですよね。機能を何と捉えるかにもよりますが、「コンテンツ」で人に情報を届け接点を持つことはできるものの、その先でユーザーにとっての課題解決となるベネフィットを提供する「機能」が足りないんですよ。なので継続的なユーザーとのコミュニケーションは難易度が高いんです。
例えば、「今」テレビが欲しい人や、「今」諸外国の報道を見たい人がメディアに来てくれるけど、そこで関係性が落ちてしまう。なので「機能」がずっと欲しかったんですよ。

手島:これはコマースに限らず、メディアはユーザーと継続的に何らかの接点を持つための機能やサービスの要素を強めていかなくちゃいけないと考えています。そう考えた時に、僕らの技術やリソースだけではそういった機能をなかなかつけられないので、STRACTには機能やサービスとしての期待感はありましたね。いかにメディアに機能をつけるか、サービス化していけるかという観点で、伊藤さんたちSTRACTのチームとは長期的に何かできるんじゃないかな、っていう思惑がなんとなくあったという感じです。

伊藤:僕らは自身を「テクノロジーカンパニー」であると言っている通り、ソフトウェアサービスをつくる会社なんですね。なので、コンテンツというよりはソフトウェアサービス、仕組みをつくる会社だからこそ、メディアジーンさんとの相性は結構良いんじゃないかと、今回の実証実験の結果からも強く感じていますね。

ーー 手島さんは現在コマース部門の執行役員をされていますが、2021年にはマーケティング部門にいらっしゃったかと存じます。
そこで、「グロースマーケティング」という言葉を取り上げると、必ずデータの重要性といった話が出てきますよね。STRACTならびにPLUGの一つの強みとして、購買データなどを多く持っているというところがありますが、手島さんはデータについてどうお考えですか。

手島:実はデータについては7、8年ぐらいずっと色々なことをやってみてはうまくいかず、というのを繰り返しています。というのは、さっきも言った通りデータは取れる。例えば、「ギズモード」からメルマガを送ってここを登録してね、みたいなことはできる。ただ、そのデータってユニーク性は高くないんですよね。メディアに信頼を寄せてくれている何かしらの証ではあるんですが、じゃあそれを利用して何か販売しようかといっても、価値が出にくい。
それで、CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)を作ってみたり、色々試してみたことはあるんですが、僕らにしか取れないデータや接点を創出して、そのタイミングのデータをスタンプしないと価値がないよね、というふうに捉えています。

伊藤:コンテンツを提供している人たちが自ら取るデータというのは、自分たちの世界で閉じてしまいがちですよね。

手島:そうですね、データを広告で利用する事例はいくつかあるんですけどね。例えば、「ギズモードでiPhoneの記事を見ている」というデータは多分
ユニークなんですけど、そのデータだけで価値があるのかというと、微妙なんですよ。これはメディアに貼っている広告タグ経由で大手プラットフォームや広告会社も持ち得るデータで、広告市場などではコモディティとなってしまう。
しかし機能的な価値を提供しているチケット業界だと、「このアーティストのチケットを買った」というデータは彼らしか取得し得ないので、すごくユニークで価値があるんですよね。

我々はそのユニークさをなかなか作れなかったんですよ。
なので、どこにデータのユニークさを持っていくかということをずっと考えていました。その中でコマースをやり始めて、毎年、流通額は大きく成長しているのですが、プラットフォームの手前のタイミングでちゃんとデータを拾得できると、コマースに強い我々にしかないユニークなデータとなるのではないかと考えています。

例えば、『PLUG Wishlist』でiPhoneのケースを登録している人は、きっとiPhoneを持っていると仮定できる。
その人が「ギズモード」上でAndroidの記事を見ていたら、多分リクエストチャンス(Androidへの乗り換えをレコメンドできるチャンス)があるよね、とか考えられます。この5年ぐらいやってきたコマースと、データを掛けた時に、僕らにしか取れないデータを作れる可能性が出てくるなというのが今考えていることですね。

ーー 『PLUG Wishlist』の登録者数は今どのぐらい増えましたか?

伊藤:実証実験の取り組みでデータベース上は現在(2024年1月時点)約2万人のメールアドレスをいただいています。この数は簡単には集められないと思います。メールで通知したときの開封率が高く、使い方によってはいい感じでワークしそうなので、そこからファーストパーティーデータを活用して、接点をもっと作っていくというのは考えられるかなと。

手島:そうですね。ユーザーが何か買おうと思った時に、メディアのサジェストはいい後押しにもなると思います。そのサジェストによる体験をずっと与え続けることができれば、もっと効果が出てくるかな、という希望的観測は持っています。

伊藤:多分Eコマースで商品を買うタイミングって、記事を見たタイミングだけじゃなくて、買うまで温まってはいないけれど記事に到達している人もたくさんいる。というかそっちの方が多いんじゃないかと。だからそういうユーザーにアプローチしていく、ちゃんとブックマークしてもらう、というのが今のソリューションで、これは結構うまくいってるなと思っています。

そして、そのユーザーが本当にその商品を買いたいなとか、買うきっかけになるぞっていうタイミングで、最後にタッチするというのが重要だと思うんですけど、常に寄り添っていけるというところが可能性として今回出てきたのがすごく面白いと感じています。少なくとも約2万人は今追っていける。そのユーザーの方々をサポートして、お知らせをしていって、今までになかったユーザー体験になればと思っています。

ーー 少し話は変わりますが、伊藤さんから手島さんに聞きたいことはありますか?

伊藤:手島さん個人のビジョンについて、メディアジーンでのビジョン、個人的なビジョンなど。こういうことをやっていきたい、これを目指している、会社をこう変えていく、など目標的なところを聞きたいです。

手島:会社としては、アメリカでのSPAC上場を控えています。目下、アメリカのチームと台湾の経営統合したチームと、組織、サービスのインテグレーションを進めています。
今後はアジア圏での広がりがポイントになってきます。成長市場であるアジアでのメディアを中心としたマーケティングの業務を行っていくことで、さらに会社を成長させていきます。そこを目掛けて、現段階で詳しくは話せませんが、新しい国でのメディアないしはそのような事業の展開をやっていくんだろうと思っています。

ビジョンみたいな話でいうと、僕個人の話では会社のビジョンとも重なるかもしれないんですが、私の父親が出版社の編集者なんですね。なのでメディアみたいなものに対して特別な思いがあって。
多分今メディアの仕組みってビジネスとしては崩れかかっているので、ユーザーからお金をもらって情報を買ってもらって、かつそこに広告主がついて、どちらからも収益性が高いみたいなことって、もう二度と起こらない状態だと思っているんです。
ただメディア的な「編集」のスキル、はより時代に求められているように感じてます。メディア的なビジネスを世の中に残し続けたいな、という思いを持っています。

伊藤:メディアのあり方も変わってきますもんね。考えていることが大きい…

手島:個人的に言うと他にもいっぱいやりたいことはあります。何よりグローバルでチャレンジできることに意義を感じてます。今、世界の中でもうまくいっているメディアは、極端な言い方になるかもしれませんが、ほとんどないんです。真似できるような成功事例がないということは、我々が先行した事例になれるかもしれないということです。グローバルで新しいメディアビジネスを作れるかもしれないな、っていう野望があります。

伊藤:ぜひやりましょう!メディアコマースとか、メディア×サービスとか、メディア×パーソナライズとか。その辺りはすごく面白いと思うんですよね。同じものを作って、みんなに見てもらうっていうのが今までだとすると、多分個人に合わせて、その個人の周辺の動きみたいなのをフォローアップしていくような、そういうものがあったら売れそうです。

手島:メディアでアウトプットされたコンテンツをデータとして捉えて、今までとは異なる形でパーソナライズしてアウトプットをするなど、今盛り上がっているAI領域の発展によりできることも増えてくるように思います。著者や編集者の頭の中で起こっていたことを、今までとは異なる形でユーザーに提供できるかもしれません。

伊藤:我々はテクノロジーで貢献したいですね。貢献というか、業務的につながるところがあればいいと思います。メディアジーンさんが持っているコンテンツは、うちの会社ではこれからも絶対に持たないコンテンツだと思いますし。コンテンツがないとユーザーが動かないっていうのは本当にあると思っているので、そこをうまく融合させることが重要かなと。
相反する事業モデルだけど、向かう先、目指していきたいところは重なるところがあるのかな。わくわくしております。

手島:ありがとうございます。貴社のユーザーデータの取り扱いや向き合い方に共感します。ユーザーに向き合ってオーセンティックにビジネスしていく姿勢はメディアジーンがもっと大事にしていることと通じます。
メディアジーンは無為にトラフィックを集めるようなコンテンツは作りません。ユーザーや世の中ににとって価値のあるオーセンティックな情報を発信するよう努めています。

伊藤:中学生からのユーザーとしては、本当に実感しています。意味や価値のある記事ばかりです。

ーー 最後に、今後一緒にさらに良いものをつくっていく中で、手島さんがSTRACTないしPLUGに期待することなど、メッセージを一言いただけたら嬉しいです。

手島:さっきの話とつながるんですが、どんどん情報がフラットになっていて、個人でも取りやすくなっていっている中で、ちゃんとユーザーに向き合って、いいアウトプットをし続けていってほしいですね。
僕らはコンテンツを中心にしかユーザーに貢献できないんですが、STRACT社とのコラボレーションにより相乗効果を作っていければと思います。

伊藤:ありがとうございます。STRACTは今アプリを作っている会社ではありますが、今回の実証実験ではコンテンツの会社とも何かできる可能性があることを一定証明できたとも捉えているので、これからどんどん仲間を増やして、世の中・ユーザーのためになるテクノロジーを作っていきたいと思います。

手島:いやー、真面目だよね(笑)。

伊藤:真面目ですよ(笑)。

手島:それはすごく今の時代大事なことじゃないかなと。みんな悪だくみするから(笑)。悪だくみしていない感じがします。

伊藤:悪だくみ(笑)。実はアプリの性質上よく言われるんです。それだけデータとかがあれば、あれもこれもやれるじゃん、と。最悪の話、ブラウザにバナー広告とか出せてしまうわけですよね。絶対やらないですけど。

手島:ユーザー価値を最大化するということに、すごくコミットしているんだろうなと。そういうところに共感するし、そういうプロダクトをずっと作ってほしいなと思います。

ーー 手島さん、この度は素敵な対談をありがとうございました!


STRACTでは現在仲間を募集中です!

現在、STRACTではソフトウェアエンジニアや事業開発をはじめ、多くのポジションで採用を行っています。
詳しい会社概要やチームメンバー、募集ポジションについては以下の採用ページをご覧ください👀✨

▼合わせて読む


この記事が参加している募集

おすすめアプリ

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?