的外れなMMD批判をするtottotoittoiee氏への反論記事

プロローグ

まず、最初にこの記事を書く動機を知るそうと思う。
tottotoittoiee氏の「MMDは日本の3DCGを破壊してしまった (2022年度版)」という記事が昨日からTLでバズり、異論反論がTwitterのタイムラインを埋め尽くしたが、きちんとした反論記事をブログメディア等に書いている人が見当たらなかった為、氏の的外れな主張が野放図に拡散され誰も反論していないという状況に違和感を覚え、では自分がきちんとした反論記事を書いてみようと思ったからである。

何が的外れなのか

まず、MMDの立ち位置について氏は漠然とCGツールと言っているがそうではない。
MMDは2008年に樋口氏が「3Dミクを躍らせるツールを自作してみた」という表題で発表し、配布を開始した。
この時点で、MMDとはニコニコ動画を視聴する一般人でも扱えるカジュアルなCGツールであることは自明である。
何故なら3Dミクを単に躍らせたいならわざわざ車輪の再発明をせずともblenderやLW、MAYAを使えば出来たからである。
にも関わらずこのMMDが生まれたのはPCスペックをそこまで要求せず、かつ分かりやすいUIと分かりやすい操作方法を兼ね揃えており、カジュアルに、手軽に、3DCGアニメーションを楽しめるというコンセプトに立脚していたからこそ普及したのである。
そう、MMDとはカジュアルに、分かりやすく、簡単にCGを楽しむ為のアプリケーションであり、ハイエンドCGを目指すアプリケーションとは目的が違うのだ。
氏のMMDを捨ててUE4やblenderに行けという趣旨の主張はハイエンドCGを目指すクリエイターに対してはともかく、カジュアルなCGを楽しみたい一般人には適用出来ない理論なのだ。
少なくとも私の観測範囲でblenderやUE4がMMDより難しいという意見は聞くがMMDより簡単だと言う意見は聞かない。
氏の主張は趣味でカジュアルにクレヨンや鉛筆で簡単なスケッチをする事を趣味としてる人達を捕まえて「おまえ達の絵はゴミクズで日本の絵画をダメにしているからコーチに付いて貰って本格的な油絵を描くべきだ」と説教するのと同じくらい的外れなのだ。
カジュアルに簡単にCGを楽しむのと、本格的にハイエンドCGを作るのではそもそも目的も土俵も違うのだ。
ハイエンドCGを作りたい人がblenderやUE4やMAYA、LWを使えば良いという話である。

日本にもハイエンドCGを作るクリエイターはいるという事実

そもそもMMDがあるから日本のCGは停滞し続けるという趣旨の主張は表題の通り間違っている。
観測範囲内ではMMDでは飽き足らずblenderやUE4、MAYA、LWにステップアップしていきハイエンドCG製作を追い求めるようになったクリエイターも居る。
更に言えば20年前から、まだMMDが出てくる前から大阪のCGAコンテスト等でLWやMAYAと言ったハイエンドCGアプリケーションでハイエンドCGを製作・発表するクリエイターは居たし、それは今でも変わらない。
大昔からCG雑誌ではCG用のハイエンドPC(グラフィックワークステーション)の広告やハイエンドCGアプリケーションの広告が並び、それを買い求めハイエンドCGを製作するクリエイターは大勢いたのだ(ここでは日本と中国・韓国のハイエンドCG人口の比率の違いについては触れないが)。
そればかりか、映画館に行けば今見られるCGはハイエンドCGアプリケーションを使いこなすプロによるハイエンドCGばかりだ。
そこにカジュアルなCGはない。
つまり、ハイエンドCGを作り上げるクリエイターもそれを求めるユーザーも日本にいるし、その一方でカジュアルで簡単なCGを作り上げるクリエイターもそれを視聴するユーザーもいる。
この二つの要素はどちらかを浸食すること無く共存し、住み分けているのだ。
この事から、MMDがあるから日本のCGが停滞、後退しているとは言えない。
ハイエンドCGアプリケーションでハイエンドCGを作り続けてるクリエイターは確かにいるからだ。
そこにカジュアルなCGを作る人が並んでもなんら不都合はないのだ。

まとめ

以上のことから、ハイエンドCGを作り続けてるクリエイターは日本で今日も増え続けている。
一方でカジュアルなCGのMMDは住み分けている。
それ故にMMDのせいで日本のCGが停滞・後退、まして破壊はされていない。
カジュアルに楽しみたい人にMMDを捨ててハイエンドCGアプリケーションに宗旨替えしろというのは的外れな主張であると言う事が証明出来たと言えよう。
これがtottotoittoiee氏への反論である。

最後にここまで駄文を読んで下さったCGファン、MMDファンに感謝を述べたい。
我々MMDer、MMDファンはハイエンドCGはハイエンドCG作家に任せてやりたいようにやれば良いだけの話なのだ。

最後の最後に私とスプリガン提督が共同製作したMMD長編アニメを置いておく事にする。
これをもしもハイエンドCGアプリケーションで作ろうとしたら工数は倍になり今年の公開は無かっただろう。
https://nico.ms/sm41075001


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