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マイナス5キロ日記7話理想の体より私の体の理想形

理想の体なんてごまんとある。
韓国アイドルの細くて長い手足には憧れるし、モデルのように真っ直ぐとした骨格になってみたいなとも思う。グラビア女優のような豊満な体も女性的で美しいし、海外女優の強くてグラマラスな体もいい。アスリートのように鍛錬された肉体も捨て難い。どれもそれぞれの美しさがあって思わず見入ってしまうけれど、そのどれもが他人の体だ。私の体じゃない。

ダイエットをはじめると自然と、こんな体になりたいという目標ができる。好きな女優でもいいし、アイドルでも、アスリートでもなんでもいい。ついつい理想的な体の画像を集めてそれをスマホのロック画面に設定したり、あとで見返せるようにスクショをした経験のある人は多いと思う。

私も例に漏れず、TWICEのミナの画像や、韓国女優の全身写真を集めては保存している。あんなかわいい子になりたい。あんなスタイルになりたい。筋トレをして少しずつだけど体が変わってきて(ほんとにすずめの涙くらい少しだけだけど)運動も習慣づいてきて、自分のダイエットが進めば進むほど、はたとあることに気づく。
「自分はこうはなれない。」
え…?
そう、理想と現実のギャップは大きい。そして現実は厳しい。たとえどれだけ痩せたとしても、どれだけシェイプアップしても私は私の体のままだ。

短い脚の長さは変えられないし、下半身はぶりんとしているし、太い脚は股擦れして痛いし、広い肩幅は華奢にはならないし、お尻だって小さくするには限界がある。どれだけ頑張っても、どれだけ痩せても、モデルのような骨格は手に入らないし、アイドルのような小顔にはなれない。みんなはあんなに可愛いのに、細いのに、素敵なのに、なのに自分は、自分はダメダメ。あんな風にはなれない。なのになんでこんなに頑張っているんだろう。なんで好きなものを我慢しているんだろう。自分でやり始めたことなのに、なんでこんなに辛くなってるんだろう。

じりじりと首を絞められたみたいに苦しくなって勝手に自分で落ち込んでしまう。今頑張っていることが馬鹿馬鹿しくなる。ダイエット中のメンタル低下。いっそお菓子のやけ食いでもしてやりたい。好きでもないジャンクフードを山ほど食べたい。こうなるとほんとに世界で一番くらい心の底から悲しくなれるから不思議だ。痩せればそれだけで幸せになれる訳じゃない。わかってはいるけど、心は割り切れない。私は何と闘っているんだろう。何と比べて落ち込んでいるんだろう。他人と比べれば、体の悩みなんて永遠に尽きないのに。あー、今すぐに痩せて楽になりたい。

でも、そんなことは無理だから。ひと息ついて、深呼吸。こんなに落ち込んでいるということは、きっと今は気持ちのアップデートをするときなのだ。ダイエットだけじゃなく気持ちの疲れが溜まっている。だから苦いホットコーヒーを飲みながら、これからのことを考える。

今苦しいのはすぐに結果が出ないこと。それから他人と自分を比べてしまうこと。そんなこと考えても無駄だと分かってはいても、いきなり人が変わったように自己肯定感マックスにはならない。
だったらいっそ他人の体を理想像にせず、自分の体の理想をいま一度確認してみようと思った。未完成で可愛くない、だけど大切でよく頑張ってくれている自分の体。まだ好きだなんて言えないけど、未熟な私の大事な相棒。

うん、これくらいならたいして落ち込まなくていいかもしれない。だって私の体だよ?万年ぽっちゃりのあの私の体なのだから、一年かけたって、どうせ大したことにはならない。今すぐに結果が出なくても安心だ。今の体はとりあえず棚上げしておいて、未来の体について考えよう。

脚が長く見せるためには、ヒップアップと内腿の肉が取れたらいいな。見えないところだけど腿裏のセルライトがなくなると嬉しい。二の腕が引き締まってすらっと長く見えたら、華奢な印象に変わりそう。お腹は下腹が減って欲しい。スキニーパンツは痩せても似合わないだろうから、短パンが似合う脚になりたい。今よりも下着姿をきれいに魅せる体になりたいな。あとはふわふわした、なめらかな曲線美のある体になりたい。

ざっと考えついたのがこんなもん。
今の自分がどう変わればもっと自分の体を好きになれるのか。これで少しだけ明確になった。今度はこれを灯台にしてゆっくりゆっくりダイエットを続けていくだけだ。誰と比較しなくてもいい。比べるなら今の自分。そう考えると肩の力がふっと抜けてダイエットが楽になってくる。(と言いつつ体を見ると落ち込みますけどね、太ってるんだからそれは仕方ない。もはや自然現象です。)
どうか明日には気分が浮上して、自分の体をもちょっとだけ好きになれますように。そんなことを願いながら、今日も少しだけダイエットした。

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