見出し画像

社会不適合者がサビ残をする

自分でも驚きなのですが、気づけば僕は休憩時間を返上して仕事をしたり、自ら率先してサビ残をしていたりする。無論、会社側がそれを求めているわけではない。平成生まれ・ゆとり世代である僕は、むしろ会社のために身を粉にしてモーレツに働く昭和的価値観に異を唱えていた。「休憩はキッチリ1時間もらう!」「定時になったら上がる!」「残業代は1分単位でいただく!」SNSなんかを見ていると、過酷な労働環境や労基法を無視した職場への”仕返し”みたいなエピソードがもてはやされている印象を受けます。本当かどうか知りませんが、労基法を盾に会社側と闘ったとか、上司をぎゃふんと言わせたというスカッと系の話とか。僕もコンビニアルバイトをしていた頃、そうした復讐劇に感化されて有給休暇を取得したことがある。「労基法によりますと、アルバイトにも有給休暇を取得する権利があります」としたり顔で店長に告げ、半ば強引に有休を得た。当時は勝ち誇ったような気持ちになりましたが、ネットのそういう風潮に流されるのはあまりよろしくない。

今でこそ老若男女、出身地や職業問わずいろんな人がネットを使っていますが、「飲み会なんか全部断っていい」「嫌だったら会社なんて辞めればいい」「一匹狼を極めよ」なんて極論で盛り上がっているのは、おそらく社会にうまく適応できていない層でしょう。僕もその界隈の住人だったのでわかります。いや、何を「今は違いますけどね」風な物言いをしているんだ。今だって十分社会不適合側の人間であることを忘れてはいけない。で、当然ですが社会に馴染めない人たちが傷を舐め合うために交わしている言葉を真に受けるのは危険です。少なくともまっとうに社会生活を送ろうとしているのであれば、耳を傾けてはいけない。まあ、100%間違いってこともないんですけどね。自分を犠牲にして、心や身体を壊してまで会社に奉仕をする必要はないはずです。収入は下がったとしても、自分が今の環境よりストレスを感じずに働ける職場を探すのも一つの手です。そういった前後の文脈を無視して「嫌だったら会社なんて辞めればいい」の部分だけを切り取るから、おかしなことになる。

やはり、社会でもなんでも複数の人間が所属するコミュニティ内で大事なのは「和を乱さないこと」なんですね。自分にとっても周りの人間にとっても、それがまず第一なんじゃないかと感じています。そのためであれば、多少の自己犠牲は止むを得ない。僕が休憩時間の返上やサビ残をしているのも「和を乱さないため」という理由が6割くらい。残り4割は「評価されたいから」です。逆にいえば、やったらやった分それなりに評価してもらえる環境ということでもあるのですが、とはいえ当然のようにサビ残をしているのは褒められた状況ではありませんね。会社内の和と自己犠牲のバランスが崩れてきたなと感じた時が、退職を申し出るタイミングなのだろうと思います。身体を壊さぬ程度に、ぼちぼち頑張っていきましょう。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?