水について考えよう 〜 下水処理場 〜
今回からは日常生活から気をつけてほしいことについて書かせていただきます。
最初のテーマは、「水」についてです。
皆さんが、台所・お風呂・トイレで使っている水は、下水道や浄化槽を通りますよね。
その時に、流れてしまうものによって、環境へ悪影響になってしまうことがあります。
「どんな問題が起こってしまうのか」をお伝えする前に、まずは「下水処理場」の役割を知っておく必要があります。
ここを理解していただくことで、「なぜ水について、さらに言えば、排水について考えなければいけないのか」見えてくると思います。
ちなみに、工場などから排出される水を「産業排水」、家庭から排出される水を「生活排水」と言います。
下水処理場での歴史・流れを簡単にまとめたのでご一読いただけたら幸いです。
下水道の歴史
下水道は、現在、全国で約80%の普及率です。
昔からあったものではなく、全国的に普及したのは、戦後の高度経済成長期頃です。(1955年〜1973年)
都市部への人口が集中すると、交通網の発展や建設物の増加により、水の捌け口(はけぐち)がなくなっていきます。
そんな中で大雨が降ると、家が水に浸かったり、溜まったままの汚水が原因で伝染病が流行してしまいます。
このような背景から、下水道は整備されていきました。
また、産業の発展により、有害な産業排水が海や川に流れ、問題にもなりました。
そのことから、現在では、公共用水域の水質保全という面でも重要な役割を担ってくれています。
下水処理場での流れ
下水道を通ってきた水は、下水処理場にいきます。
下水処理場で行っている流れを簡単に書くと、
①沈砂池(大きいもの)を沈める
②最初沈殿池(重いものを沈める)
③反応槽(微生物によって分解させる)
④最終沈殿池(重くなったものを再度沈める)
⑤消毒
という感じです。
排水を綺麗にするのに、最も大切な役割を担ってくれているのが「反応槽」です。
「反応槽」は、分解者と言われている微生物を大量に投入し、有機物を無機物(二酸化炭素や水)に変えてくれる場所です。
全ての微生物が分解者という訳ではないです、、、
同時に、分解に必要な「酸素」も大量に投入しています。
ちなみに、有機物とは、炭素を骨格をする化合物のことです。ただし、一酸化炭素や二酸化炭素は除かれます。(有機物の説明は本当に難しい、、、)
基本的に、燃やすと二酸化炭素を排出するものと捉えてください。
木や紙、死骸、食べ物だって有機物です。あまり知られていませんが、プラスチックも有機物です。
こういったものを無機物に変えてくれるのが、分解者であり、本当に凄い生物なのです。
ですが、「プラスチックゴミがもたらす影響」の記事でも、書かせていただきましたが、微生物だって生物の一つなので、我々と同じように、食べるものに対して好き嫌いをします。
有機物であっても、分解者が嫌いなものは、長い時間かけて少しずつ分解するしかありません。
分解のしづらいプラスチックは、なんと400年もかかってしまいます。
分解者が分解しやすいものは、「自然界で作られているもの」「人間も食べられるもの」です。
分解者の力によって、水は綺麗になっていくのです。
下水処理場は、水を綺麗にしてくれる素晴らしいものですが、行っていることは「土の中で行っていること」と似たようなことをしています。
人間が作ったもの
「分解者が分解のしづらいもの=人間が作ったもの」を下水道を通して、流してしまった場合どうなるでしょう。
反応槽の中で綺麗にすることができる時間は、場所にもよりますが、およそ10時間です。
この10時間で分解できないものは、海や川に流れてしまいます。
特にプラスチックは、反応槽の間で分解することは不可能です。
また、プラスチックは軽いので、最初沈殿池などで沈殿することもできません。
下水道を通って流れたプラスチックは、海や川に流れてしまいます。
他にも、人間が手を加えたものに関しては、分解できません。
海洋生物の気持ちになって考えてみてください。
自分たちの住んでいる世界に、食べられないものが大量に流されてくる。
そして汚していく。
こんなことが許される訳がないのです。
次回は、排水する上での注意点についてもう少し詳しくお伝えできればと思います。
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