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【大人】ITの得意な事と人間らしさ

中学生のハローワークも今回で4回目。7月はゲストにITコンサルタントの久保恒さんをお迎えしました。

ITコンサルタントって何をする人?

ところで、ITコンサルタントって何をする人でしょう? システムエンジニアやプログラマーとはどう違うんでしょう? わかるような、わからないような…。そんなレベルの私たちが、最先端の現場で、日々いろんな企業のお客様の課題を解決しておられる久保さんのお話を理解できるでしょうか?

そんな心配は、一瞬で吹き飛びました。実際の久保さんのオシゴトを紹介したプレゼン資料を見ながら、ソフトな語り口でお話してくださいます。聞けばこの資料はこの日のために作ってくださったとのこと。ご自分のオシゴトについて、わかりやすい言葉で愛をこめて語ってくださいます。

ちなみにITコンサルタントとは、お客様の真のニーズを一緒に探して解決していく仕事、だそうです。例えて言うなら、コーヒーメーカーを買いに来た人にコーヒーメーカーを売るのではなく、いろんな話をする中で「本当は大事な人にゆっくりして欲しいのでは?」と気づき、「それならばコーヒーメーカーよりホームヘルパーさんを試してみては?」と提案できる人、というイメージです。

ITのいろんな役割をオーケストラにたとえてみると、コンサルタントは作曲して楽譜を作る人。プロジェクトを管理する人が指揮者。システムエンジニアは弦楽パートとか金管パートなど各パートをまとめる人。そして一人ひとりのプログラマーは、最良の音で各自の楽器を演奏する人、みたいなイメージでしょうか。

画像認識の技術がこんな身近に!

実際に久保さんが取り組んでこられた具体的な仕事の話を聞くと、「え、そんな身近なところで?」という驚きの連続です。

お店に並ぶ豆腐がどれひとつとして欠けてないこと、漁師さんが引き上げた網の中の魚の種類や数って誰が数えてるの? そんなことはこれまで疑問に思ったこともないのですが、考えてみたら不思議です。このような課題を解決するために、画像認識の技術を使ったシステムを作って運用している、という事例を聞きました。

お豆腐屋さんや漁師さんが困っていることを、ITシステムで解決していく話をしながらも、お客様であるお豆腐屋さんや漁師さんたちが社会の中で果たす役割や、そこで働く人の思いも含めて話が進みます。さすが、技術だけではなく人を相手にしているITコンサルタント。

プログラムを書くのは翻訳家と同じ?!

一通り、お仕事の話を伺った後、次から次へ出て来るいろんな質問に答えていただきました。

Q:「ITの仕事に向いているのはどんな人ですか?」
A:「文系の人は向いてないと思われがちですが、そんなことはありません。コンサルは相手の話を聞いて本人も気づいていないニーズを引き出す必要がありますし、プログラムを書くのも翻訳家の仕事と似てるんです。理論的に破綻しない物語を書ける人なら大丈夫です」

Q:「こんなところにもITが使われています、っていう例はありますか?」
A:「もはや、ITが入っていないものはないんじゃないですか? 炊飯器でも車でも、空調でも、スピーカーでも…という世界です」

Q:「若い人しかできないほどキツイ仕事っていうイメージがありますが?」
A:「体力的にキツイというよりは、技術がどんどん進んで行くので勉強し続ける必要はありますね。実際、私も今まで10個くらいのプログラム言語を勉強してきました。日々勉強ですが、好きなら楽しいですよ」

そんなことをサラッと言われて、一同驚愕! そして話はAIに。

Q:「時代がどんどん進んで行くと、AIに仕事を取られるという話がありますが?」
A:「機械に任せるところはどんどん任せて、人間にしかできない仕事をしていきましょうよ!」

じゃあ「人にしか出来ないこと」って何?

ITの話をしているうちに、話は「人にしか出来ないことって?」という大きなテーマに移っていきます。ところで、「人にしか出来ないこと」って、何でしょう? いろんな年代や経歴の人が集まった大人クラスで考えてみると、様々な意見が出てきました。

「人と会話を楽しむこと」「芸術的なこと。美しさとか神秘的とか…“真善美”の世界は人間ならではのはず」「大切な人の気持ちに寄り添って喜んだり悲しんだりできる」「病気の診断やリハビリ器具など、臓器や骨や筋肉はITが得意だけど、心や精神は人にしかケアできない」「損得や便利を越えて、もっと大きな意味で自分が欲しいものを自覚できる」「ゲームに勝てる時でも、わざと負けて子どもを喜ばせる」「相手を思いやって嘘をつく」などなど、いろんな「人間ならでは」が出ました。

他にも、いろいろありそうです。あなたが考える「人間らしさ」とは、どんな姿ですか? あなた自身の人間らしさはいつどんな時に現れますか? と言われて「私の場合…? なんだろな~?」と、「答えのない本質的な問いに迷うこと」も、人間らしさのひとつなんでしょうね。

自分の興味で自由に動いていく力、人の心に寄り添う力、状況判断力、創造力…。こういう、人間にしかできないことを生かせば生かすほど、技術は人間に寄り添ってくれる気がします。そこは、専門家じゃなくてすべての人間の課題かもしれません。

久保さん、ありがとうございました。

次回予告(21年8月1日)

次回は、久しぶりの教室開催。ゲストは『じきしん いのちの物語』の小川さんです。夏は、光や水や森や動物や…万物の命が輝く季節です。そんな夏に、命について共に考える。そんな豊かな時間をご一緒しませんか。
参加申し込みはこちらまで。

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▼オキツ 神戸シュタイナーハウス代表 大人クラス担当
書く人、聴く人、考える人、作る人、遊ぶ人、働く人。小さな勉強会や仕事、普段の暮らしの中で、ちょっと立ち止まって考え、言葉にし、行動してみる。少しずつ、みんなで幸せになっていけたらいいな。
ブログ毎日更新中。「自由の哲学を読む」~日々の暮らしから~
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