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難しいスルメ本を前に

2022年3月、4月、神戸シュタイナーハウスの「認識の小道(大人クラス)」が開催されました(月1回不定期開催、オンライン。次回予定はウェブサイト参照)。hasutamaさんの案内で『死について』の「思考の変容」を読みながら、人間と思考の関係について学んでみようというシリーズです。

案内を引き受けてくださるhasutamaさんは、みんなで一緒に考えるための関連資料も用意してくださいました。自分の「暮らし実感」をフックに考え始めたい(というか空中戦が苦手な)私には、「ヘーゲル」とか「カント」とかいう名前が出てきた瞬間、急に腰が引けます。「うわ、絶対難しいヤツやん」パタン(←本を閉じる音)。

そんな忍耐力のない私とは対照的に、探求心旺盛なhasutamaさんは「どうして『死について』に“思考の変容”が収録されてるの?」「この講演の原題は何だったんだろう?」というような自分なりの疑問から、少しずつテキストをひも解いていくそうです。

手ごわいテキストを見て「これは難しい」と閉じるのは簡単ですが、スルメみたいに、カミカミする作業をして、柔らかくしておいしく飲み込むこともできます。いや~、でも手ごわすぎるものは、かみ砕き方もわかんないな~。

hasutamaさんに聞いてみると、自分の「なんで?」を解くべく、手持ちの本の中からアタリを付けて読んだり、ネットで検索して縦横無尽に調べたりして、コレはアレのことか? アレはソレと同じか? 昔読んだアレとも関係が? …と、いろんな方向からアプローチして相互に結び付け、自分なりの理解につなげていくのだそうです。

「どうせみなさん、ちゃんと読んでないんでしょ?」から始まるクラスも珍しい。いや申し訳ないです。目は通したんですが…てへへ。あちこち脱線しつつも、そこから飛び出すお話のおもしろいこと深いこと!

「すごい探求心!!!」「真似できないな」って他人事のように尊敬していたら、4月の頭、教科書購入日に高校から帰ってきた子どもが机の上に並べた教科書と副教材がズラリ36冊!! うっそ~~~。めっちゃ多い! とりあえずいい匂い…じゃなくてすごい量やん(もはや数じゃなくて“量”)。

1年間でこんなにいっぱい学ぶのね?? すっごいなぁ~。これを表面だけでも全部小刻みに消化して、覚えたかどうかテストされちゃうのね。うわ~大変だ~。

この教科書の山を見ているうちに、「自分たちは高校生と違って、学びたいことを学ぶわけだし、急いで覚えてテストで序列をつけられるわけでもないし、自分の生き方を左右する大切なことだし、ホントに贅沢な学びをしてるんだな~~!」と思えてきました。改めてね。

このアントロポゾフィの学び、学生が受験直前に見せるような本気の熱量で取り組んだら、どんなに深い所から私を支えてくれることでしょう。育ち盛りの子どもの隣で、意図せず励まされた瞬間でした。

これまで働いてお金を稼ぐのが真っ当だったように、精神的な糧を稼ぐために自分で働くのは、とても真っ当なこと。金銭的・物質的な豊かさは雇用条件や時給など外の状況に左右されていたけど、精神的な豊かさは、内面の状況次第でいくらでも増やせるもんね。そして一度得た精神的な豊かさは、人に使っても減らないのが大きな違い。

「認識の小道」クラスは月1回不定期開催、オンライン。次回の日程はウェブサイトをご参照ください。。参加費は500円~任意(通信費&運営協力)です。ご参加、お待ちしています。

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▼オキツ 神戸シュタイナーハウス代表 大人クラス担当
書く人、聴く人、考える人、作る人、遊ぶ人。小さな勉強会や仕事、普段の暮らしの中で、ちょっと立ち止まって考え、言葉にし、行動してみる。少しずつ、みんなで幸せになっていけたらいいな。
ブログ毎日更新中。「自由の哲学を読む」~日々の暮らしから~
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