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【NBA】データで振り返る、渡邊雄太の軌跡

by 黒澤 敏文(Stats Performデータ編集者)

NBAは狭き門だと言われている。各チームのロースターは基本15人。掛ける30球団だと、選手登録枠は450。ここにアメリカ人をメインに、世界中の選りすぐりが集結する。大型契約を手にした選手は手厚い扱いを受ける反面、それ以外の選手は入れ替わりが非常に激しい。この中でデビューを果たした2018-19シーズンから、6季連続プレーし続けた一人が、渡邊雄太だ。

同選手の1年目となる2018-19から今シーズンまで、NBAでプレーした総選手数は1084人。これが、この期間の全6季でプレーした選手となると191人までに絞られる。減少率にすると82.4%。100人単位だと18人弱しか残れない計算になる。このうち、アメリカ以外の出身者は45人。

入団経緯の視点から見ると、その過酷さは際立つ。上記191人のうちドラフト1巡目指名選手は122人(全体の63.9%)。2巡目指名は41人(21.5%)。契約が何も保証されていないドラフト外は28人(14.6%)。渡邊は2018-19のサマーリーグ(シーズン前のトライアル)に参加して、NBAデビューを果たしたドラフト外の選手だ。2018-19シーズンにデビューしたドラフト外の選手で、今季までの全6季プレーしたのは、渡邊を含めて4人しかいない。

NBA歴代のアジア出身選手と比較しても、この功績は薄れない。アジア人で過去に6シーズン連続プレーを果たした選手は、ロニー・サイカリー(レバノン:1988-99まで11季)と、殿堂入りしているヤオ・ミン(中国:2002-09までの7季)だけだが、この2人はともにドラフト1巡目指名の選手だった(R. サイカリー:1988年全体9位、Y. ミン:2002年全体1位)。アジア人のドラフト外選手で6季連続出場を果たしているのは渡邊雄太だけである。

たとえ即戦力として期待されるドラフト1巡目指名でなくても、体格的に劣ると言われるアジア人でも、主力としての待遇で迎え入れられなくても、バイプレーヤーとしてNBAで着実に軌跡を残せることを世界中に証明した功績が薄れることはないだろう。


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