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Opta Visionで実現 「プレッシャー強度」の数値化

Stats Performが昨年発表した、『Opta Vision』というイベントデータとトラッキングデータを融合したモデルでは、「パス予測」、「チームシェープ分析」、「ラインブレイキングパス」といった、さまざまな指標が利用できます。

今回は、その中のひとつ、「プレッシャー強度」について解説します。

相手ディフェンダーのプレッシャー強度は、ボール保持者のパス技術の高さや、チームの戦術などを理解する上で、非常に役立つ情報です。

Opta Visionでは、トラッキングデータを活用し、ディフェンダーがボール奪取のため、または、パスコースを限定するために、ボール保持者に接近したときに、自動でプレッシャー強度が算出されます。ボールから最も近い相手の3選手を対象に分析し、全てのオープンプレーでのパスに記録されます。

プレッシャーの強度は、ボールからの距離に応じて、High、Midium、Low(強、中、弱)に分けて記録されます。

プレッシャー強度を算出するモデルには、ディフェンダーの走行する方向やスピード、ボールまでの距離などが加味されています。

この場合、全体のプレッシャー強度は、「強」になる。

これにより、プロの分析ではもちろん、各メディア媒体やクラブの公式SNSなどでも、これまでは不可能だった数値を使って情報を発信することができます。

例えば、下記の図は、2022年FIFAワールドカップ(カタールW杯)決勝で、アレクシス・マクアリスター(アルゼンチン)が記録したパス成功率です。棒グラフのうち、一番左は、すべてのパスに対する成功率、真ん中はプレッシャーがないとき、右は強度の高いプレッシャー(ハイプレッシャー)を受けている状況での成功率を表してます。

全体に比べて、ハイプレッシャーの場面では成功率が下がっている。

また、この指標は選手に対してのみでなく、チーム全体に対しても活用することができます。下図は、カタールW杯での、相手の1プレーあたりのハイプレッシャーの割合(ハイプレッシャー/相手のプレー数)を、チームごとのランキングで並べたものです。

日本が対戦したスペインとドイツは、どちらも強いプレッシャーを与えるチームだったことがわかる。

各チームの試合ごとのパフォーマンスを分析することもできます。下の図は、カタールW杯において、フランスが相手に与えたハイプレッシャーの数(紺色)と、ボール奪取につながったハイプレッシャーの数(桃色)を示しています(どちらも90分平均)。上段が決勝でアルゼンチンを相手に記録した数で、下段が大会を通した平均です。

フランスは、決勝でアルゼンチンに効率的に強度の高いプレッシャーをかけていたことがわかる。

このように、プレッシャー強度を活用することで、選手個人やチーム間の比較から、チームパフォーマンスの分析まで、幅広い形で、従来では得られなかった洞察が得られるようになります。

▼ビデオ:Opta Vision プレッシャー強度とは?(英語)

Opta Visionや、その他のサービスに興味を持ってくださった方は、下記よりご連絡ください。



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