「THE SECOND」決勝:熟練の漫才と公正な審査が光った大会

今更ながら、5月に行われた、芸歴15年以上の芸人さんたちが競う新たな賞レース「THE SECOND」の決勝について。

いや、これ、ほんとう素晴らしかったです。

熟練した猛者揃いで、安心して見られた決勝

お笑いの賞レースが始まると、お笑いファンとして楽しみである一方、ちょっと警戒もします。

なぜなら、始まったばかりの賞レースはいろいろとやらかしもするので。

今でこそ栄えあるプライズになったM-1やキングオブコントにしても、黒歴史がまったくないわけじゃない。いずれも初期の頃はどっちらけになった場面を何度か目にしてきた。始まったばかりの賞レースは作り手側も手探りだから、仕方ないとこもあるとはいえ、だ。

しかし、「THE SECOND」決勝は、そんなファンの警戒心を軽く吹き飛ばしてしまう、非常に楽しく見ごたえがあるものだった。

まず、ファイナリストたちがみんな漫才がうまかった。15年以上やってるから、そりゃそうだろといわれればそうなんだけど。

M-1決勝のようなよくいえば初々しさや疾走感のある、しかし悪くいうなら余裕がなかったり未熟さも目立つ漫才とは違う、しっかりと熟練した実力のある猛者揃いの決勝。出てくる人出てくる人みんな面白くて楽しかった。

しっかりジャッジしてくれた審査員の方々に感謝したい

大会の審査、観覧者投票ではあったけれど、非常に妥当なジャッジだったと思う。

観覧者の投票で勝敗決めるというのは、正直不安材料の一つではありました。(お笑い好きは、M-1第1回のおぎやはぎを決して忘れはしない)

でも、そのあたりでも、おそらく作り手の方たちが細心の注意を払ったんじゃないかと思う。

一番なってほしくなかった展開=偏ったファン投票のジャッジには全然なっていなかったと思うし、審査後にコメントしていたお客さんも至極しっかりとお話されていて、安心して見ていられました。

通常、賞レース見た後って、各組のネタとかジャッジについていろいろと突っ込んだり語りたくなるんだけど、この「THE SECOND」決勝については、あれこれ言うのは野暮な気がしている。ジャッジが近年稀に見るほど妥当だった気がするので、あれに対して「自分ならこう審査する」みたいなのを言うのは違う気がするのだ。

むしろ、しっかりジャッジしてくれた審査員の一人ひとりにお礼がいいたいくらいである。

賞レースの価値を決めるのはジャッジだといってもいい。正当なジャッジがなされた大会は芸人さんたちの自信と希望になる。一方ずさんなジャッジは大会の品位を落とすし、何より芸人たちをも傷つける。

「THE SECOND」は、きちんと審査してくれた審査員の方々のおかげで、芸人さんも大会としての意義も守られた。ありがとうございます。

ギャロップVSマシンガンズの決戦は最高の世界線

「THE SECOND」の決勝、特に好きだった漫才はスピードワゴン。

小沢さんらしい季節の素敵な物語を語るロマンあふれるネタがよかった。なにより、「漫才大好き!」なスピードワゴン健在なのが嬉しかったです。

あと、巷でなんか色々起きてるのでいうわけじゃないんですが、アンバサダーとして松本人志さんが出てくれたのもよかったと個人的には感じました。

決勝での松本さんは、あくまでアンバサダー。審査を誘導するような発言はしていなかったと思う。あの立ち位置で出てくれたことは、「THE MANZAI」で顧問をつとめたたけしさんのそれとちょっと似ている気がした。

もしかしたら松本さんは絶対的に必要な存在ではないかもしれない。でも、あの決勝で松本さんにネタを見てもらってなんか言ってもらえることは、芸人さんたちの希望になりえたに違いないのだから。

やると聞いたときはいろいろどうなんだろ?とも思ったけど、結局のとこ非常に見応えある大会だった「THE SECOND」。

初回からここまで面白いって相当すごいことだと思うし、また開催されるなら、ぜひ応援したいし楽しみにしています。

最後の最後に…優勝したギャロップ、本当におめでとうございます。
実力があるのは前から知ってた。むしろ大きい賞とってないのが不思議でもあった。ついに晴れの舞台にたてて素晴らしいことこのうえない。

何より、ギャロップVSマシンガンズの最終決戦。あの世界線が見られたのが本当最高だった!ありがとう。



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