見出し画像

地方公務員がガイアックスで働いてみた話(7~9か月目)

東京都 スタートアップ・国際金融都市戦略室から株式会社ガイアックス スタートアップスタジオ事業部に出向して約9か月が経ちました。

「スタートアップって何?」の状態で4月から出向先での仕事が始まり、「本当にやり切れるのか…」と不安を感じることは多々ありましたが、起業ゼミの講師、インキュベーション共創事業のプロジェクトマネージャーとして仕事をしていく中で、スタートアップ・ビジネスに関する知識・経験が身についてきたと実感する時も増えてきました。

1年の振り返りとして、改めてどんなことをやってきたのかを作業ベースで可能な限り具体的に紹介するとともに、どんな力が身についてきたのかを言語化しておきたいと思います。
同時に、「こういう経験を20代のうちにしておくと、将来のキャリアにとても役に立つのではないか」と思うところがあったので、そのことについても書き記しておきます。


①1年の振り返り~具体的な仕事内容~

▼起業家育成

  • 起業ゼミ講師

これまでに何度も紹介してきた起業ゼミですが、現在も全国の様々な学校で起業ゼミの講師として、起業アイデアの種の見つけ方や課題検証の方法、解決策の考え方、マネタイズの方法、ピッチの方法等を学生に対してレクチャーしております。起業ゼミを通して、学生の皆さんが起業に対して興味を持ってもらえていることがアンケート結果から分かるので、とてもやりがいを感じられます。

また、自分自身が知識・経験を身に付ける上でも、やはり「人に対して教える」は最も効果的だなと実感しています。

  • 「北海道スタートアップスタジオ」BASICプログラム~起業家育成塾~

北海道庁主催のスタートアップ創出プロジェクト「北海道スタートアップスタジオ」の1つ目のプログラム。学生及び若手社会人向けにオンラインで起業の一連の流れを体験してもらうプログラムですが、10月に最終ピッチを実施し、無事終了しました。

プログラムを実施するにあたって、集客するためにチラシを作成して北海道内の大学や専門学校を行脚したり、Meta広告やGoogle広告を回したり、当日のコンテンツや流れを考えたり、当日の進行を務めたりと、大量のタスクに追われる日々でしたが、参加者の熱量・満足度は非常に高く、実際に事業検証・開発に進む参加者も輩出できたので、非常にやりがいを感じられました。


▼事業アイデア創出支援

北海道スタートアップスタジオの2つ目のプログラムであるIDEAプログラム~アイデア創出支援~を実施し、リーンキャンバスを用いて道内の起業希望者(主に社会人向け)の事業アイデア創出を支援しました。

道内4か所(旭川、函館、小樽、釧路)で開催するため、チラシを持って各地域の創業支援施設等を行脚するなど、集客をひたすら頑張りました。札幌以外の地域は起業候補者が比較的少ないので、広告を回す際も、「どんな広告にすれば訴求できるのか…」等を夜な夜な考えながらバナーやKVを作成した記憶があります。

メンタリング・壁打ちができるメンターもたくさん呼ぶ必要があったので、Facebook等から候補者を探してひたすらメッセージを送って、協力をお願いしていました(これを通して起業・スタートアップ界隈のたくさんの方々との繋がりができたのは本当に良かったです)。自分自身でも参加者からの壁打ちを行ったのも良い経験になったと思います。

こちらも10月中に4か所での開催が無事終了し、そのまま事業検証・開発に進める事業アイデアを持った参加者を輩出することができました。丸一日かかるイベントだったのですが、お子さんの世話をしながらプログラムに参加してくださった方や他県から参加してくださった方もおり、こういったプログラムの参加者の方々のバイタリティには本当に驚かされます…


▼事業検証・開発伴走支援

北海道スタートアップスタジオの3つ目のプログラムであるADVANCEDプログラム~事業開発支援~が11月から始動し、現在6組の方々の事業検証・開発を伴走支援しています。3月には東京でデモデイを実施し、投資家の前でピッチを行っていただく予定です。

11月に参加者を募集し、67件ほどの申し込みから一次審査(書類審査・面談審査)と二次審査(現地メンタリング審査)を実施して、最終的に6組の起業家候補を選抜しました。

この審査の設計や、現地メンタリング審査のコンテンツ作成や会場準備、伴走支援の具体的な方法、デモデイの内容等を、社内メンバーや道庁さん、コンソーシアムを組んでいるノーステック財団さんとディスカッションしながら決めていきました。

「伴走支援って具体的に何をするの?」と聞かれることがよくありますが、端的に言うと「参加者の事業をCOOになったつもりで一緒に進めていく」ことが伴走支援だと思っています。現在(2023年12月時点)は、デモデイまでに具体的にどんなスケジュールで検証を進めていけばいいのか、検証するにあたって具体的に何をしなければならないのかを参加者・メンターと一緒に考え、事業検証・開発を進めています。

②1年の振り返り~PMを通して身につくもの~

まだプロジェクト進行中ではありますが、今までPMをやってきて、身に付いてきている、あるいは身に付きそうだなと実感しているものをいくつか挙げておきたいと思います。

▼やり抜く力(GRIT)

つまるところ、ビジネスマンとして一番大切な力はこれだろうなと思っています。逃げないでやり切る力。

プロジェクトを進めていくと、どうやって打破していけばいいのか分からない問題や、自分一人では解決できない課題に多々ぶち当たります。そして、PMが最終的には自分で何とかしないといけない立場にあります。非常にきついので何度も逃げたくなるのですが、他のメンバーに相談したり、外部の人材に協力を仰いだりしながら、なんとか進めています。

その代わり、やり切った後の達成感は大きいと思います。まだ3つ目のプログラムが残っていますが、1つ目、2つ目のプログラムをやり切った後の達成感・やりがいは本当に大きかったです。

▼人脈・巻き込み力

自分ができないことでも、できる人を探して協力を仰ぎ、巻き込む、というのも大事な能力だと感じています。必ずしも全てを自分でできるようにする必要はないですが、自分では解決できないことがあると分かったら、それを解決できる人を社内外から探してその人にお願いし、期限までに質を担保してクライアントに納品する、というのがPMの仕事になります。

こういった仕事をしていると、必然的に社内外のたくさんの人との繋がりが増え、人脈が広がり、次の仕事に繋がったりします。

▼"ホンモノ"の責任感

今までも任された仕事は責任感を持ってしっかりこなしていたと思っていましたが、「自分に任された業務が終わればそれでいい」では済まない立場になり、本当に責任感を持って仕事をするということがどういうことなのか、少し分かったような気がします。

洗い出したタスクが一旦完了したとしても、プロジェクトを進めるに当たって「まだ漏れているタスクはないか」「プロジェクトをさらに良いものにするためには何が必要なのか」といったことを常に考え、全体を俯瞰して仕事をする癖がついてきたように思いますし、今後立場が変わっても、この感覚は忘れないでおきたいです。

▼リーダーシップ

年上の人達や自分よりも経験豊富な人達しかいない中で自分がリーダーシップを持ってプロジェクトを推進したり、ファシリテーションしていく度胸と能力は、少しずつですが、着々と身についてきているなと実感しています。同期や先輩・後輩など、年齢が近いメンバーで構成されるチームを束ねるよりもプレッシャーが大きく、求められるレベルも高いので、負荷はかかりますが、非常に良い経験になるかと思います💪

③まとめ~20代のうちに経験しておきたいこと~

「1つのプロジェクト・事業を自分が責任を持って主体的に進めていく経験」は、なるべく早いうちに経験しておいた方が良いと感じました。プロジェクト・事業を進める上で必要なスキルセットが身につくだけでなく、上記のような社会人として大切なマインドセットが身につけられるのではないかと思います。必ずしも大きな規模のプロジェクトである必要はなく、小さなものでいいと思います。大企業などの大きな組織でも、こういった経験ができるチャンスが増えると、若手もやりがいを感じられるようになるのではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?