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コールセンターの40代半ばのSV先輩

コールセンターで働いていた頃に少しだけ親しくしていた先輩が、現在もコールセンターで働いていてアルバイトや派遣社員への研修講師をしている夢を見た。

だが、私がコールセンターを辞めてから、その先輩とは一切連絡をとっていない。

夢で見たように、いまもその先輩がコールセンターで働いているかどうかもわからないし、働いていたとしても研修講師をしているかもわからない。

私が働いていたコールセンターは損害保険関係のところであったが、このコロナの影響で問い合わせが増えていたかもしれないし、人の入れ替わりが激しく常に人手不足のコールセンターであるから、残されたスタッフは業務に追われていただろう。

その先輩は、アルバイトとしてSV(スーパーバイザー)をしていた。年齢は40代半ばと聞いてびっくりしたが、様々な職についた挙句にこのコールセンターに流れ着いてはや6年ぐらい過ぎたところだと伺った。

SVとは、早くいえばお客様と電話対応するオペレーターを直接的に指導したり管理する人である。

オペレーターが電話中にわからないことがあったら手を挙げてSVを呼んで指示を仰いだり、オペレーターが電話対応に困っている時にはSVがお客様に聞こえない範囲で直接指示することがある。

それにお客様が「おまえじゃ話にならんから上の者を呼んでこい」と言われたら、SVが電話を代わって対応することがある。これをこの業界ではエスカレーション(略して「エスカレ」)と呼び、困っているオペレーターを助けてくれて頼もしく感じる。

ただ、SVによってはエスカレを嫌がり、電話を交代せずオペレーターだけで何とか対応させようと横から指示を出すばかりで、無駄に電話の時間が長引いていることもあった。

長引いた電話の時間はオペレーターの成績に反映され、電話の時間が長引けば長引くほど成績が下がる。

そういうSVに当たれば電話終了後の説教も長い。「なぜお客様から苦情を言われたか」「オペレーターの電話対応のどこが悪かった」など、ネチネチと細かいミスを指摘してくる。

「あんたのよくわからん説教を聞くために私は仕事してるわけではない」と思いながら、いやいや聞いていた気がする。一度この説教が就業時間終了後にも続いたことがあったが、あまりにも馬鹿らしいので説教された時間も残業時間としてタイムカードに記録しておいた。

SVとしての例の先輩はそこまで仕事ができるタイプではなかったものの、どんな時に質問しても優しく教えてくれるし、お客様から苦情を言われてオペレーターだけでは対応が難しい場合にはすぐにエスカレをしてくれた。

それに私が退職する日には、ボーナスが出たからと言って普段は行かないようなちょっとリッチなカフェに連れていってくれ、ランチを奢ってもらった。

仕事はそこまでできないかもしれないが、相手を思いやる気持ちのある優しい先輩だったと記憶している。

その真面目で優しい性格が功を奏したのか、途中でコールセンターのアルバイトから社員に昇格し私が所属していた部署に配属されたのだが、諸事情(コロナは関係ないらしい)で今年の3月末に部署は解散することが決まった。

先輩もきっと他部署への異動が決まっただろう。もしくは退職しているか。

でも、いろんな職場を経験したけれどやっぱり今の職場が居心地がいいと言っていたから、退職せずに会社に残っているだろうが、、

社員になられてからアルバイトの頃よりも仕事量が増えて、アルバイトの頃の精神的な余裕は見られなくなり、いつも目の前の仕事で手一杯なような印象を受けていた。

忙しさで頭が回らなかったのか、オペレーターに間違ったことを指示して苦情が出てしまったこともあった。だが、社員だからということで上司から注意を受けた程度で特にペナルティを課されることはなく、逆にオペレーター側が厳重注意を受けることになったらしい(この辺りの話は詳細は不明だが、どうも黒いものを感じる…)

会社の社員としてオペレーターに指導しないといけない場面であっても、もともと持ち合わせている優しさがなかなか抜けきれず、中途半端でなよなよしい指導になっていることも多々あった。

私はコールセンターに出戻りする気もない。

いずれにせよ、こちらから連絡を取らない限りは二度と会うことのない人であろうが、お元気でいらっしゃることを心より祈っている。




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