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小話〜派遣先のコールセンターの風景と派遣社員同士の人間関係に思うこと

派遣社員が30人ほど働いていた職場。
保険会社のコールセンターは特に女性が多いと思う。男性もいたものの、本当に数えるくらいしかいないかった。


契約更新時期を機に、自分の知らない間に1人2人と次々と辞めていき、
入社して半年後には30人いた派遣社員は20人に減っていた。
人手不足のはずなのに、辞めさせられた人もいたらしい。
どんなに仕事ができない奴でも、なかなか人1人を辞めさせるのはコンプライアンス云々やらで難しいと聞いたことがあるが、派遣社員となるとこうもいとも簡単に辞めさせられるとは。
正社員のなかには派遣社員よりも仕事ができなくて、正社員なのに使えない人間も少なからずいるが「正社員」という切符は強い。

会社の経営が危なくなった時、人員整理とかで真っ先に目をつけられるのが派遣社員だった。仕事ができるできないに関わらず派遣社員がリストラされ、正社員は他部署へ異動させられるかして会社を去るようなことにはならなかった。


"派遣社員はあくまでも外部の人間で、派遣先の企業が派遣社員に情をもつことはない。
あくまでも労働力の1つで、要らなくなればゴミのように捨てられるのが運命。"


長年、派遣社員として働いていた人がそのように言っていたが、この職場の様子にも当てはまっている。


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全然知り合いでもないのに、どんなに年代の異なる人であっても仕事仲間とは本当に不思議な存在で、職場の愚痴や噂話などを無性に話したくなることがある。


近づきたい気持ちもあるけれど近づきすぎるのもよくない。
「近いようで遠い存在」とは職場の人々との関係をいうのだろうか。
一緒にいる時間は長くても、心の距離が縮まるとは限らないもの。
家庭環境や経済的状況、それぞれ抱えている事情が違うからか、こちらは意識してなくても少しデリカシーに欠けることを言ったらすぐに壊れてしまう。まるでガラスのような関係。

だからこそ、私に関してはどんなところにいても職場の人は友人になり得ずして一定の距離感を置くことが多い。

女性が多い職場の場合、昨日の味方は明日の敵となり得ることが大いにある。
何か自分の身の上話や職場の人の悪口でも話せば「誰にも言わないでね」と念を押しても、時間差で誰かを経由してそこら中の職場の人たちに漏れ伝わっているなんてこともある。

何かをいったら最後。自分で自分の首をしめるような展開が待っている。

やっぱり職場の人と近づきすぎるのはよくない。
仲違いしたら仕事にも支障がでてくる場合もあるし、あまり踏み込み過ぎるとめんどくさいことに巻き込まれて私生活に支障がが出てくることだってある。

派遣社員でその職場にいた頃、基本的に昼休憩を一人で過ごしていた。
時々、誰かに誘われたら一緒に昼ごはんを食べて過ごすこともあったが、自分の身の上話もほとんどしないし、プライベートでの関わりもしないようにしていた。

やっぱり他人に流されることなく、自分の意思を大切にすることが大事だと気づく。
この職場には思っていたよりも、不平不満を言うわりに何も行動を起こさない向上心のカケラもないネガティブな人が多く、私もそんな人達と接する中で周りに流されそうになり、もともと備わっているはずの向上心を削がれそうになったことがあった。

何とかしてでもこの環境から抜け出さないと私も同じようになると思い、陰ながら転職活動を行い、現在はいちおう正社員の事務員として働いている。正社員として働いて時間は経ったが、まだまだ私の将来は安泰ではない。

AIの出現にともない。将来的に「事務員」という職業すら無くなる可能性も高いと言われているら。生きていくにあたって、常に様々な道を模索していく必要性がある。


派遣先の会社を退職後、事務員として毎日慣れない仕事に奮闘していたころ、派遣先の会社の元同僚から突然目を疑う報せが入った。

私たち派遣社員がいた部署が来年3月末をもって完全に解体されてなくなると。

私は、沈没船から脱出したネズミのような心境になった。



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