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コールセンターのお客様①

*声からすると50代後半の男性。
*保険代理店の社員。


「おじさんはじめ男性と電話口で話す時は、
少し高めの可愛らしい声を出していれば、電話で男性側から理不尽なクレームを言われたり、キツいあたりをされたりすることは、ほぼない」と、先輩が言っていた。

最初はこの先輩の教えに半信半疑だったが、
この先輩の教えが後々に正しかったと気づくことになり、コールセンターで働いていた頃に私を襲ってきた数々の災難から守ってくれることにもなった。

たしかに客観的に考えてみたら、
相手が少し低めの声であると少し威圧感を感じるような気がする。
自分の電話対応にミスがないか気になるし、
なぜか相手に馬鹿にされていないか余計なことばかり気になってしまうが、
相手が少し高めの女性の声で優しい口調で電話対応をしてもらったら、電話を受けている側の気分もラクになって話しやすくなった経験がある。


もともと自分の話し声はそこまで高い声ではないが、電話になると緊張のスイッチが入るせいか少し声が高くなる。

いつものように業務中も電話口で少し高めの可愛いらしい声を意識して私がヘッドセットのマイクに向かって話していたところ、
保険代理店社員のお客様(男性)は、物腰やわらかそうな調子で事故内容を話してくれた。

だが、このお客様は外部の人間にはやさしいが、内部の人間には厳しいタイプだったようで。
火災保険事故内容や顧客の保険情報を聞こうとしたところ、
「ちょっとお待ち下さい」と物腰やわらかそうな感じで言った後に、電話から少し離れ、
電話口の近くにいるであろう社員の誰かに、
「おい、はよ証券番号だせや!」とパワハラじみた罵声が響く。

人って色んな側面があるよなあとしみじみ思った…。
私にその罵声は聞こえていないと思ったのかわからないけど、
電話口のお客様は電話口に戻ると、
「もしもし〜」と気持ち悪いぐらいに媚びた口調に戻った。

人の二面性というのは怖い。
外には優しく内には恐怖。

部下の立場であれば、この上司を怒らせるとあれこれややこしいから、仕事をやるにも上司の機嫌を損ねないようにしないといけないだろう。
上司の機嫌にコロコロ振り回されることになるだろうと思うと、仮に入社しても仕事を覚える前に逃げるように退職する人もいるのかなあと思った。

それに、前々から思うが、
相手によって態度をコロコロ変える人こそ、どの側面がその人自身かわからなくなってくる。
まあどの側面であっても、その人自身ってことには変わりないだろうけど。
そんな人と接する機会が多いと、どれが仮の姿か本当の姿かわからなくなってくるし、ちょっと信用できないなと思うところがある。

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