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実録。コールセンターの中の人々。

声の向こう側にいた人達を思い出してみる。
どんな人が働いていたか。

電話で話す内容のマニュアルを覚えてしまえば、ある程度は何とかできてしまう。

コールセンターで働く前は、電話対応する人がどんな人なんだろうか全く考えたことがなかった。

実際にコールセンターの内部で働いてみて、今まで知らなかった新しい世界を見たような気がした。

何らかの事情があって離婚した女性。

元旦那のDVから逃れてきた女性。

お金を稼ぐ必要ができたからといって、とりあえず働くことになった女性。

起業や副業を考える夢見る若者。

元バンドマン。派遣社員だった頃はバンドマンだったが、バンドを辞めて会社の正社員になった人もいた。

派手髪で耳にいくつものピアスを開け、派手なネイルで奇抜な服装をしている若者。

お笑い芸人を目指す芸人の卵。


本当にいろんな人がいるように思ったが、
私がコールセンターで出会った人々は全体の数パーセントぐらいにしか過ぎず、実際にはもっと多種多様な人がいただろう。


コールセンターで働くことになったキッカケを、コールセンター勤務経験者から聞いてみたいなと興味本位で思うなあと…。。


正社員になれなくて派遣社員になった人。

仕事以外で自由な時間がほしくて、あえて派遣社員を選んだ人もいる。
普通の会社にはいなさそうな年齢不詳の人が多いかもしれない。

それと、共同で使っているロッカーの端の方で歌っている人がいたし、どこか病んでいるのか独り言が激しい人もいた。

副業で怪しげなビジネスを勧めてくる人がいたが、胡散臭さと危険な匂いを感じていたので、あまりその人とは同じ空間にいないように心がけていた。

気持ちの浮き沈みが激しい人もいたし、連日の忙しさでひろうがたまったのか、しょっちゅう病気で休んでいる人もいた。


果てしない多様性。
人々の多様性を受け入れているコールセンターであったからか、私にとってはそこまで居心地悪く感じない会社と思っていた。
正社員からパワハラも受けたことはなかったし。
だが、勤続2年目になる頃になると突如として派遣切りをする傾向があると噂されていた。
だからか、派遣されて2年目近くになってくると切られる前にこっちから転職してやろうと転職に励む人もチラホラいた。
転職先としては、損害保険会社からクレジットカードの督促へといった感じで、業種の違うコールセンターが多かったか。あとは派遣の営業事務など。派遣から派遣への転職が多く、派遣から正社員への道を進む人は少ない印象を受けた。

とにかく離職率も高かった。研修中にいつのまにかいなくなっている人もいたが、研修中に自主的に退職する人もいれば会社から契約打ち切りを言われた人もいたらしい。

この業界は総じて人の流れが激流のようにとてつもなく早く、先日までいた人が1ヶ月後には見なくなるということなんてザラにあった。

そして、これは風の噂で聞いたが、かつて私が所属していた部署も会社都合で解体することになったらしい。

かつての仲間たちはもうどこにもいない。

夢を追いながらコールセンターで働いている人もいたが、いったい何人の人が夢を叶えていったのだろうか。
いつのまにか姿を見なくなっていた人もいたし、彼ら彼女らの連絡先も知らないし噂も全くこないし、よく分からない。

コールセンターで出会った同僚とは連絡を取り合ったりご飯を食べに行ったりする仲の人もいるが、
新型コロナウイルスの影響があってからはまったく連絡を取り合っていない。

みなさん元気にされてるだろうか…。

おそらくこのまま疎遠になっていく人もいるだろうが、その時はその時だろう。



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