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暗い過去持ちの、クズ男に惹かれる理由。

こんばんは、雲州鳩です。これを書いている5月6日の東京は天気予報通り、昼過ぎまで少し晴れ間が見えましたが、夕方にゲリラ豪雨のような降りが。明日も曇天で金曜日には晴れるみたい。


カップリング絵ですみません〜、大好きなんです晴博!


「陰陽師」における、安倍晴明という男。


この二週間「陰陽師」原作版のBL二次創作にて、安倍晴明×源博雅の小説を読み漁っていたんですが、何故「親友だけを想って、ひたすら尽くす優しい晴明」よりも、「博雅は地球上で唯一、大切な相手。でも誘われればどんな男女をも抱き、飽きたら速攻で捨てる」という晴明が魅力に感じられるんでしょうねえ〜(笑)

ハッピーな二人のブロマンスBLも美味しくモグモグ頂いてるんですけど、ある二次小説書き手さんが綴る「究極のプラトニック、愛し過ぎて博雅を抱けないので、迫ってきた美青年を代わりにしている晴明シリーズ」を2019年に大量に書かれていて。

ここの晴明は、「都も帝も日本も、いつ滅びても関係ない。おれには博雅がいてくれたら、それだけで満足」という非常にエゴイスティックかつ冷淡な人物に描かれています。大河ドラマ「光る君へ」のユースケ・サンタマリア版に近いイメージ。

その身代わりの貴族青年が、六条御息所みたいに博雅を嫉妬し憎悪するあまり、生き霊になってしまい。彼が愛する博雅に手出ししないように、タチとして身体の相手をし続けているという、まさに愛憎劇泥沼作品をこの二週間読み続けておりました。

一見、本当に晴明がクズ男なんだけど(笑)博雅相手になると手も握れず、ひたすら親友を神格化して奉る。自分の法力を全て込めた呪符を持たせて、博雅が風邪を引くと寝室にネズミの式神を送り込んできて、二人だけの濃密な会話をする。晴明の身分が低過ぎて恋愛関係が表に出ちゃうと、帝に追放されちゃうから。
彼は別にそれでも良いんだけど、追放されると博雅に会えなくなってしまうので、バレるのは避けたいとうワケ。

またこの方が描く源博雅も、親に決められた形だけの奥さんとの間に後継ぎを作りつつ、晴明の生涯一度の深く真摯な愛に応えてしまうんですね。あんまりにも長く友人だったから、肉体関係を持っても「大切な親友」としか想えないし、また晴明も「おれ達はおれ達。二人だけの親密な関係に名前なんぞいらん」と自信満々。

ブロマンスBLとしてはかなり特殊な、それでいて魅力的な関係でした。

博雅においては、酒呑童子鬼と交換した伝説の笛「葉二つ」の音だけで神々を降臨させて、安倍晴明をも畏怖させる音楽の申し子にも関わらず、「おれは身重の妻よりも、おまえがずっと大切な最低な男なのだ」とか言っちゃって。晴明がそんな言葉に撃ち抜かれてしまい、原作レベルに博雅にメロメロ。

結局、生き霊になった公達は博雅を狙って生命の怒りを買い、魂ごと消滅させられる一話。重くて痛いんだけど、それだけに非常に心揺さぶられる二次創作でした。

楽しいだけの物語やキャラクターより、こういう生々しさがある方が読み応えあるのは、不思議。どんどん引き込まれつつ読み漁ってしまった!

62歳で亡くなる博雅が、京都一の陰陽師として上級貴族になり妻子を持ってからも、病気になった「友」を日々見舞って、手を握り励まして形見の笛を泣きながら譲り受け。博雅の死後は彼が愛用していた瑠璃の茶碗や香具を全て割ってしまうシーンも衝撃的。

そして最期に、81歳で天寿を全うした最強の陰陽師は後継の息子達に見送られながら、迎えに来てくれた源博雅に「やっと来てくれたのか」と幸せに召されるといラスト。切なくて寂しくて、でも晴明が幸せでとても良かったなあ。

おそらくですけど、親にネグレクトされ幼い頃から虐めぬかれ、その美貌のみに執着されて。「おれは、何の為に生まれてきたのかわからない」と社会に絶望していた安倍晴明が、唯一の友として無心に心配してくれて、親の代わりに無償の愛を与えてくれる存在として、大切にしていたのが源博雅だったんじゃないかな。



天地ほどに開いていた、二人の身分差。


夢枕獏版の小説だと、安倍晴明は「透けるような白い肌に、紅を刺したような唇。狐の子と忌み嫌われるほどの美貌と知略、天才的な陰陽法力に秀でる」とあります。

また、陰陽師という職業は貧困層の若者が唯一「公務員」として人間的に扱われる救済であり、就職に固執し続けて四十路を越える予備校生も多かったようです。故郷に妻子を置いて、京の都で修行を続けていたり結構茨の道。

一人前の陰陽師として成人するだけでも大変なのに、少年期から天才的な能力に特出した晴明は、先輩達から様々な嫌がらせや虐めを受けていたという描写が。

厄介払いで親に捨てられ、そのうえ思春期に過酷な環境に置かれて。映画でもあるように、無感情的の冷淡な青年になってしまっても、全く不思議ではない。かつ、貴族の尻拭いのような裏稼業としてたくさんの闇を見てしまう「地下人」と呼ばれる「穢れ仕事」の扱いだったようです。

貴族男性の局部にまで、呪文を筆で描きこむという作業もしてたようです。大変だな、陰陽師。


対して、源博雅は醍醐天皇の孫でかつての「博雅王」、皇位継承から外されて源氏になったとはいえ、大納言中務省のトップ貴族で今上天皇の甥っ子かつただ一人のお気に入り。座る場所も晴明とはるかに離れているし、お互いの姿を祭事でも見ることができないほど。

何度か、暗殺されかけてるんですよ、博雅って。藤原道兼には特に権力を奪われるのではと、恐れられていたようですね。本人に皇位を継ぐ気は全くないのに。

「陰陽師」小説中で博雅は天皇の御簾のすぐ隣の畳に腰を下ろし、陰陽師である晴明は玉砂利の上に平伏して直接座ります。それくらい二人は身分差があっても、親友として深い絆で繋がれていたんですね。

ちなみに、殿上人である博雅から宮中では声をかけない限り、晴明は会話を許されることもない。だからこそ晴明の土御門屋敷は、二人にとって最高の秘密の楽園だったわけです。


山崎賢人くん、慣れてくると描きやすい〜。とても優しいお顔なんですよね。


「陰陽師」における、晴明の出生の謎。


私はまだ原作を完全読破していないんですが、映画「陰陽師ゼロ」では「安倍晴明の両親は陰謀により殺されていた」「母親は臨月で、弟か妹が生まれるはずだった」という設定とは違い、「生まれた直後から、あまりにも息子が巨大な法力を持っていて、恐怖のあまり父親が賀茂家に捨てた」が本筋らしいんですね。

すっかり人間不信になって誰にも心を開かなかった安倍晴明が、唯一自然体で「親友」として深く交友していたのが、醍醐天皇を祖父に持つ「雅楽の神の子」と謳われる源博雅。

史実では二人には接点はないらしいんですが、「陰陽師」はこの全く家庭環境も何より大き過ぎる身分差が開く二人が、名コンビとして数々の妖事件を解決していきます。

30年前に「野村萬斎版、映画陰陽師」を観た時には、まさかこんなにどハマりするとは思わなかったんですが、原作の中で安倍晴明が源博雅に「お前が生きているのが、この晴明の生きる理由なのだ」とまで断言するくらい、二人の関係は強固で、絶対的な絆で結ばれている。



初描き、源博雅!


「楽聖」源博雅と、平安貴族の身分社会。


源博雅という人物は実際に平安京の帝孫として存在した人で、雅楽の始祖として活躍したようです。千年経過してもいまだに、彼が作曲した作品が世に流れているって凄い。

62歳で亡くなっていて、81歳まで長生きした晴明と結構寿命が違います。これは憶測なんですけど、現在放送されている「光る君へ」の藤原道長もその兄の道隆も、酒好きで有名。当時のお酒はまるでジャムのような甘さで、糖分が多く二人のように糖尿病疾患者が多かった。

作中、晴明と博雅がとにかくよくお酒を飲む場面が頻繁にあるので、私は「博雅は糖尿病で死んだんじゃないかな〜」と。昔はインシュリンも無かったし、辛かっただろうなあ。

本格的に平安史と和歌日本文学に詳しい人が書いてる二次創作小説の中に博雅の史実があります。藤原実資が「小右記」にて「源博雅は楽の天才だが、政についてはボンクラ」と書いてるらしく(笑)あ〜、実物はそうなんだろなと。



色々な二次創作を深く読み込むまで知らなかったのは、とにかく二人の身分の差はそれこそ天と地ほど離れていたこと。私はてっきり、陰陽師は一応、最低クラスとはいえ貴族だから、インドのカースト「クシャトリア」くらいのポジションかと想像していました。

でも実際は、先ほども書いた通り「穢れ仕事人」として差別されていたようで、安倍晴明とその師匠、賀茂忠行と兄弟子である賀茂保徳が少しだけ扱いが特殊だった。二人は優秀で、特に貴族公達に贔屓されていたみたい。

後に日本の陰陽道は晴明が「土御門流」を、賀茂保憲が「賀茂流」を残していくことになります。陰陽にも流派があるんですね。


2024年5月の、映画売り上げランキング。


やはり、コナンとハイキュー!は凄い!!
ブルーロックも、なかなかに食いついて来てます。
う〜ん、微妙な位置。


ところで映画「陰陽師ゼロ」ですけど、満員御礼舞台挨拶が木曜平日の夜のせいなのか、空席が多々目立っていたそうで。山崎賢人くんファンのTwitter Xが悲しみに沈んでいました。私は落選しちゃったけど、当日ギリギリまで「お譲りします」のポストが結構あったらしいです。

熱烈な賢人くんファンは、お仕事を休むなり早退していたらしいんですけど、そうでもない人は放置してしまったと思われます。なかなか面倒なんですよね、¥2600くらいのチケットを、誰か知らない他人に引き渡すのって……。

でもなあ〜、その日は原稿がノリまくっていたので、どのみち行かなかったろうな〜。




佐藤監督と公式X Twitterが必死で盛り上げようとしてるんだけど、山崎賢人くんファン以外、ほぼリポストしていなくて。もう「キングダム」の続編も公開になるし、ぶっちゃけ賢人くんも「陰陽師ゼロ」どころじゃないというのが本音なのではないかな〜?

大変言いづらいんですけど、私は山崎賢人晴明と染谷翔太博雅の対談は物凄く観て聞きたいけど、佐藤監督や岡野玲子さんの安倍晴明萌え語りには全く興味がなくって。

ポストを読んでも、佐藤監督ってかなり古いタイプの文芸ジャンル人で、きっと若い世代に大人気の「呪術廻戦」やFGOの安倍晴明なんて知らないと思います。

公開直後に更新されていた、高橋留美子さんや田島昭宇さんの晴明イラストも「これは、一体どの層をターゲットにしてるのか?」甚だ疑問でした。田島昭宇さんなんて、余程のコアなガンダムファンやfateFGOクラスタしかご存知ないのでは??

それはさておき、二枚目のムビチケを早めに使わないと! そろそろ「陰陽師ゼロ」も公開上映数が激減してきたので! ヒットしないと国内映画ってバンバン切られていくんですよ。



いつも「スキ」して下さる方々、ありがとうございます! そしてご新規さんや偶然立ち寄られたそちらのあなたも、是非にコメントやフォローよろしくお願い致します!



再び、300連続投稿を突破。今回は500超えを目指してみるかな!


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