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少女☆歌劇 レヴュースタァライト 劇中レヴュー日程及び勝敗の考察

ガン・グリーンマン
https://twitter.com/gunmk12


1.本研究の内容と目的

 本研究では、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』アニメ版(以降劇中〇話とする)におけるオーディションにおいて、何日目に誰が誰と対戦したか、そしてその勝敗について、劇中で明確になっている事実を整理する。その後、劇中の描写から導き出せる事実を演繹する。最後に、劇中では明らかになっていない対戦カード、およびその勝敗について考察し、オーディションの勝敗表を作成することを目的とする。

 本稿は『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(以降劇場版とする)で明らかになった内容も取り扱う。

2.劇中で明確になっている情報の整理

 まず、劇中において明確に対戦する描写があるレヴューを事実として整理する。

 表1は劇中全12話におけるオーディションの日程、話数、レヴュー名、対戦カード、そしてその他の主要な描写を整理した表である。勝者は太字で掲載している。

表1 劇中全12話における日数および話数の対応表
(以降、全ての表は筆者の資料をもとにあさだが作成)

 そして表2は、劇中全12話におけるレヴューの勝敗、およびレヴュー開催日について整理したものである。勝敗については上掛けが落ちた描写があるもののみを勝敗として記載する。

表2 劇中で明らかになっているレヴュー勝敗表

 なお「情熱のレヴュー」、および「運命のレヴュー」の対戦結果は明確(いずれも華恋・ひかりの勝利)であるが図の表現の都合上記載していない。

3.劇中における情報の整理

 本章では、劇中で明らかに描写されていないものの、他のシーンの描写などから導かれる対戦カード、およびお休みの日付を整理する。各登場人物ごとに整理を行っていくが、結論はすべて表3に集約している。レヴューの対戦ルールとして、本稿ではレヴューデュエット開催の8日目より前に同じ人と2度対戦することはない、と仮定する。ただし1日目の華恋は飛び入りによる例外のため、2日目も純那と対戦している。

表3 劇中の描写から導かれる対戦カード表

 まず、華恋の対戦結果に注目する。表2より、華恋の5日目の対戦相手が不明である。対戦相手候補は双葉、香子だが、この両名は5日目の「約束のレヴュー」で対戦中であるため、華恋は5日目にお休みで、双葉、香子と対戦無しであることが確定する。

 次に、香子の対戦結果に注目する。香子は劇中6話の描写から、4日目に純那と対戦して敗北しており、さらに5日目開始までに真矢、ひかりに敗北している。表1より、対戦相手候補の真矢は2日目(劇中2話)にクロディーヌ、3日目(劇中3話)に華恋、4日目(劇中5話)に双葉と対戦していることから、香子は真矢と1日目に対戦していることが導かれる。同様に、ひかりが3日目にお休みであることから、香子はひかりと2日目に対戦していることが分かる。

 ななの対戦相手に注目する。「嫉妬のレヴュー」でなな以外の8名がオーディションに参加していることから、ななは4日目がお休みである。また、劇中9話のなな自身の発言から純那とは7日目まで対戦しておらず、7日目に華恋と対戦して敗北したことで合格者争いから脱落するため、今回のオーディションでは純那と対戦していないことが導かれる。

 純那の対戦相手に注目する。表2より、純那は3日目と6日目の対戦相手が不明である。対戦相手候補は両日とも双葉もしくは真矢であるが、3日目は双葉はクロディーヌと、真矢は華恋と対戦しているため対戦相手がいない。よって3 日目がお休みである。また、6日目の対戦相手は現段階の議論では確定しない。

 ここで、3日目に「お休み」していると思しき人物が、ひかりと純那の2名いることに着目する。TV シリーズで描かれている限りでは、各日程1 人がお休みで、他8人で4戦実施されているような印象を受けるが、そうではない可能性が示唆されたということだ。「各日程のお休みが1人」という点にこだわると、純那は3日目に双葉か真矢と対戦していなければならず、矛盾が発生する。そこで、本稿では「お休みは1人とは限らない」という仮定を置いて、検討を進めていく。

 さらに劇場版を経て、新たに発覚した事実がある。TV シリーズ12話の間に、ひかりとまひるの対戦が無かった、というものだ。これは劇場版「競演のレヴュー」において、まひるがひかりと初めて同じ舞台に立ったことに何度か触れていることから推定できる。それを踏まえてひかりの対戦相手に注目すると、5日目に真矢と対戦しているか、お休みであることが導かれる。

 表3の対戦日に注目して、判明しているレヴューの組み合わせを整理したものが表4である。

表4 対戦日別対戦カード表

 ここまでが劇中12話まで、および劇場版での情報に基づく対戦結果である。次節ではこの対戦結果を基に、描かれていない対戦カードを考察する。

4.対戦カードの考察

 本章では、前章までの議論で明らかにならなかった劇中では描かれていない対戦カードを、劇中や劇場版でのレヴュー外の描写や実力差などを踏まえて考察する。また、考察の結果は表5および表6に示す。

 表4における1日目に注目する。1日目はすでに華恋・ひかり―純那、真矢―香子のカードが成立している。オーディションは8人で開幕しているので、1日目に限りお休みの人間は存在しない。よって、双葉、クロディーヌ、なな、まひるで対戦カードを組むことになる。ただし、双葉―クロディーヌは3日目に対戦しているため、双葉―なな、双葉―まひる、クロディーヌ―なな、クロディーヌ―まひる、なな―まひるが対戦カード候補である。

 劇中でのオーディションはななの再演の中の出来事である。通常の再演であれば結果は明らかであるため、キリンが適当に組む可能性は考えられるが、この再演はひかりが参戦しているため、結果は未知数である。この点を踏まえると、実力が上位と予想されるクロディーヌとななをいきなり初日に戦わせることは考えにくい。よって、1日目はクロディーヌとななは、双葉もしくはまひると対戦していると考える。ここでクロディーヌは3日目に双葉と対戦していることから、1日目の対戦カードは双葉―なな、クロディーヌ―まひるである。

 2日目に注目する。2日目に対戦カードが決まっていないのは双葉、なな、まひるの3名である。双葉とななは1日目に対戦しているため、2日目に対戦しているのはななとまひるであると考えられ、双葉がお休みである。

 3日目に注目する。3日目に対戦カードが決まっていないのはひかり(お休み)、純那(お休み)、なな、香子、まひるである。検討すべき対戦カードはなな―香子、なな―まひる、香子―まひるである。筆者はこの対戦カードは香子―まひるの対戦カードであったと考察する。次節でその勝敗と併せて議論したい。

 4日目に注目する。4日目は嫉妬のレヴューによって誰と誰が対戦していたかが明確である。ななが3日目に続いてお休みであることが分かる。

 5日目に注目する。5日目は双葉―香子、クロディーヌ―純那のみ対戦カードが確定しており、華恋がお休みである。対戦カードが決まっていないのは真矢、まひる、なな、そしてひかりである。5日目の対戦カードの可能性で考えられるのは真矢―なな、真矢―まひる、真矢―ひかりである。

 1日目の考察と同様ではあるが、劇中7 話のななの回想、および劇中8話のひかりが過去にロンドンで参加したオーディションの描写から、オーディションはランキング表上位の人間かつ、最終日に勝った人間が合格者となっている。そのため、5日目にオーディション合格者の本命であるなな、対抗馬の真矢、そしてひかりがそれぞれ対戦するとは考えにくい。よって、真矢―まひるが対戦していると考えられ、ひかり、およびなながお休みであると考察する。

 また、もう一つ議論すべきポイントとして、約束のレヴューの中で真矢、純那、クロディーヌ、まひる、ひかり、華恋が映し出される描写がある。この描写に関して、筆者は動いている真矢、純那、クロディーヌについては5日目に対戦している状態を映し、止め絵であるひかり、華恋は当日の対戦ではないので動いていないのではないか、と考察した。この立場を採用すると、純那とクロディーヌは対戦しており、真矢の相手はまひるである。

 6日目に注目する。6日目に対戦カードが決まっていないのは双葉、まひる、そして香子である。双葉と香子は5日目で対戦しているため、6日目は双葉とまひるが対戦し、香子がお休みであると考えられる。

 7日目は真矢がお休みであり、残りの対戦カードもこれまでの議論で明確である。

 以上が対戦相手、および対戦日程の考察である。表5に対戦表と明らかになっている勝敗を、表6に7日分の対戦カードをまとめる。

表5 対戦表
表6 対戦日別対戦カード表

5.対戦結果の考察

 本章では劇中で描かれなかったカードを中心に、その勝敗について考察を行う。

 1日目は双葉―なな、クロディーヌ―まひるの勝敗が不明である。双葉―なな戦はななが、クロディーヌ―まひる戦はクロディーヌが、それぞれ持っている実力、そしてキラめき通りに勝利を手にしたと考えられる。

 2日目はまひるとななの勝敗が不明であるが、余程の番狂わせがない限りななが負けることは無いと考えられるだろう。クロディーヌ―真矢のカードは最後こそ真矢がスマートに上掛けを落としている(劇中3話)が、劇中2話Cパートの描写を見るに、相当に激しいレヴューだったと思われる。キラめきに呼応する舞台装置を早くも使いこなし、雨さえ降らす真矢の実力は流石主席といったところか。

 3日目は香子―まひるの勝敗が不明である。ここで注目したいのは劇中6話での

「うち、結構負けとる」

という香子の発言である。この場面の回想において、香子は純那、ひかり、真矢に敗北している。加えて、3日目に香子はななもしくはまひると対戦していると考えられる状況での「結構負けとる」という発言である。仮に3日目に香子がなな、もしくはまひるに敗北している場合、「全部負けとる」という発言になるだろう。よって3日目は香子が勝利していると考えられる。この点を踏まえると、真矢をも倒すなながこの時点で香子に敗北するとは考えにくい。勝つ可能性があるならまひるであろう。このことから、筆者は3日目の対戦カードは香子―まひるであり、香子が勝利していると考察した。

 4 日目は双葉―真矢とクロディーヌ―ひかりのカードの勝敗が不明である。双葉―真矢のカードは、華恋とまひるが乱入してきた際、真矢が劇中3話で召喚した大道具の階段で、高所から双葉を斬り付けていることから、真矢優勢でレヴューは進んでおり、華恋とまひる乱入の後仕切り直しても、真矢が押し切って勝利したと考える。クロディーヌ―ひかりのカードは華恋とまひるの乱入の結果ひかりが劣勢となったが、6日目の「孤独のレヴュー」におけるひかりのモノローグ

「参加者全員を倒さなければ、キラめきは......!」

は、これまでの全員を倒していなければ出てこない文脈のセリフであることから、ひかりはクロディーヌに勝っていると考察する。

 5日目はクロディーヌ―純那、真矢―まひるのカードの勝敗が不明である。クロディーヌ―純那は、クロディーヌが順当に実力を発揮し勝利しただろう。純那は「どんなに努力してもいつだって届かなかった(渇望のレヴュー)」というセリフのとおり、クロディーヌの壁を感じることとなるのではないだろうか。真矢―まひるだが、まひるは自身で放つキラめきに気づきこそすれ、この段階で真矢との圧倒的な実力差を埋めるこれ以上の要素がないため、真矢が順当に勝利したと考えられる。

 6日目は真矢―純那、双葉―まひるのカードの勝敗が不明である。真矢―純那のカードは、真矢が順当に勝利するだろう。純那はまたしても「前を走り続ける2人」に届かなかったこととなる。将来新国立第一歌劇団の同期となる双葉―まひるのカードは、両名に勝つ要素がある。双葉は5 日目で香子と高みを目指し始め、まひるは4日目で華恋(ひかり) への執着を断ち切り、自分のキラめきに気づいている。この勝敗だが、劇中5 話でまひるが自身のキラめきに気づき、スタァとして開花の兆しを見せた一方、双葉は劇中6話では双方の関係性の再定義に留まっており、未だスタァとして開花の兆しはないため、舞台でよりキラめくのはまひるではないかと考察する。よって、双葉―まひるのカードはまひるが勝利したと考える。

 7日目は双葉―ひかり、まひる―純那、香子―クロディーヌのカードの勝敗が不明である。双葉―ひかりのカードは今までの武器にワイヤーアクションが加わったひかりが勝利。元の地力に加え、ワイヤーアクションによる高低差不利に加え、リーチの有利が消滅することになる双葉は相当な苦戦を強いられたと考えられる。まひる―純那のカードは、本来の実力は拮抗していると思われるカードである。6日目に考察したが、まひるは自身の放つキラめきに気づき、自身のスタァ像を定め、役者として歩み始めている(そして新国立第一歌劇団の門を叩くまで成長する)一方、純那はまだ吸収、学びの段階であると考えると、まひるが勝利したと考えられる。香子―クロディーヌのカードについては、本稿の考察通りの結果だとすると、ここまでの両名の勝利数は2勝で並んでいる。劇中9話C パートの順位表でクロディーヌ(と華恋)が3位であることから、勝ったのはクロディーヌであることが考えられる。これ以上負けると真矢に追いつけないというクロディーヌの執着が最後の最後で合格者争いに踏みとどまらせたと考察する。

 以上が勝敗の考察である。結果を表7、および表8にまとめる。なお、表7、および表8中の◎は劇中での勝利が確定、×は劇中での敗北が確定、○は考察における勝利、そして●は考察における敗北である。

表7 勝敗の考察を反映した対戦表
表8 勝敗の考察を反映した対戦カード別対戦表

著者コメント(2022/10/10)

 ガン・グリーンマンと申します!今回劇場版公開に併せ、再度考察をする機会を賜りましてまことにありがとうございました。結果として、劇場版で考察が大きく変わったのはまひるちゃん周りという結果に・・・大きく書き換えることになり、当時の自身の考察の甘さが滲んでいましたね。スタァライトなんもわからん。
 最後に、本稿には大量の図表を挿入し、編集担当の主催者チームの皆様にはこれから(本コメントは編集作業前に記入しました)多大なご迷惑をお掛けします・・・無事に出版されていることを祈って・・・!

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