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参入と撤退が続くネットスーパー業界

三界無安(さんがいむあん)
→ この世に生きることは苦労が多くて、少しも心が休まることがないこと。

勢いのあるスタートアップは撤退のスピードもはやい。

一見、撤退となるとネガティブに捉えられがちなのだが、実際はそうでもなかったりする。

テクノロジーの進化により、オートメーション化される部分が増えた。

例えば、ショッピングをECサイトから行ったり、デリバリーをスマホアプリから行ったりといった具合いだ。

デリバリーの分野でいうと、飲食を一番に連想する人も増えただろうが、今回はネットスーパーに注目したい。

デリバリーサービスについて想うこと

上述したとおり、ファッションに関する商品をECサイトで購入したり、飲食のデリバリーを使ったことがあるという人は増えたと思う。

一方で、生活雑貨をネットで買ったことがあるという人はどれくらいいるものだろうか。

私個人的なところは、飲食系のデリバリーサービスを使うとクーポンがもらえるので、同じく飲食系のデリバリーアプリから生活雑貨を購入したことは何度かある。

とまあアーリーアダプターのように書いているが、生活雑貨系のクーポンばかりもらえるのだが、飲食店では使えないということもあり、なんて意味のないクーポンだと思っていた。

いくつも期限切れになったクーポンがあったし、もったいないとは思いつつも生活雑貨など買うこともないしと思っていた。

ただ、とあるときにコンビニで使えることに気がついた。

そんなコンビニの中には生活雑貨はもちろんだが、お弁当、おにぎり、パン、サラダ、デザートといったものも含まれているのだ。

また、コストコなどの生活雑貨が買えるショップの中には、箱買いできるお得な飲料があることにも気がついた。

今まで全然使わなかったクーポンが本当にもったいないのだが、これを知ってからはクーポンありきにはなるが、生活雑貨のデリバリーもするようになったのである。

生活雑貨というカテゴリについては、個人的にはこんな接し方だが、私は比較的デリバリーサービスを使っている方だと思う。

とりわけ、飲食とタクシーの2つのサービスについては、ヘビーユーザという自負があり、周りも比較的使っている人は多い印象だ。

未だに電話でタクシーを呼んでいる人を見かけることがあるが、正直、まだそんな感じなんだと思ってしまう。

やはり、自動化できるところ、無駄を省けるところはどんどん省いていくべきだという考え方だ。

試行錯誤が続くネットスーパー事業

ということで、生活雑貨を含めた身近な商品のデリバリーが、もっと身近になって欲しいと思っている。

いわゆるネットスーパーと呼ばれる分野なのだが、どうやら上手くいっていないところも多いようだ。

以前にも紹介したと思うが、2022年7月にフードデリバリーサービスを展開している、Wolt(ウォルト)がネットスーパー事業から撤退した。

2022年7月3日にネットスーパーのWolt Marketの国内8拠点を全て閉店し、2021年12月の参入から約半年での撤退というニュースが話題となった。

Wolt Japanが展開していたネットスーパーサービスのWolt Marketは、ダークストア型と呼ばれる新しい業態のネットスーパーだ。

ダークストアとは、配達専用スーパーのことをいい、実際のスーパーマーケットと同様に店舗の棚に商品を陳列するものの、その役割はあくまで配送拠点だという点が特徴だ。

その仕組は、ECサイトやスマートフォンアプリで商品を販売し、Woltと契約する配達員が顧客の自宅に届けるという、まさにフードデリバリーのスーパー版だ。

2021年12月、Wolt Japanは食料品や日用品など、約2,000品目の商品を注文から約30分で届ける即時配達のダークストア型ネットスーパーWolt Marketを札幌の2拠点から開始した。

注文方法は一般的なECサイトと同様で、商品一覧から商品を選び、購入点数などを設定してカートに入れて決済する。

スーパーマーケットと同様に生鮮食品なども充実させており、2022年1月に函館、2022年2月に広島に2拠点をオープンするなど、順調に事業を拡大していた。

ところが、約半年後の2022年7月に全拠点を撤退した。

その理由は、日本国内では高い需要は見込みにくいというものだった。

勘違いしてはいけないのが、Woltに加盟する小売業者の売り上げは非常に好調だという点だ。

自社の拠点は完全に撤退したのだが、スーパー、コンビニエンスストア、百貨店、ドラッグストアなど、小売業者との提携は拡大しているのだ。

つまり、Woltの日本国内におけるリテールビジネスは小売企業とのパートナーシップに集約し、自社運営によるWolt Marketの事業を終了するという決断に至ったわけである。

クラシルのネットスーパー撤退

2022年10月28日、Zホールディングス傘下でレシピ動画サービスのクラシルを展開するdely(デリー)は、ネットスーパー事業クラシルマートを終了した。

2022年7月のサービス開始から、わずか3ヶ月での撤退となるわけだが、最大の要因は利益率だという。

仕入れ値が下げられない一方、他社との競争から安価に販売したため、低利益率の構造に陥った。

投資した費用を回収するのに時間がかかると考えて早期撤退を決めたと発表されている。

クラシルマートは、2022年7月21日に1号店を五反田にオープンした。

スーパーマーケット並みの充実した品ぞろえを手頃な価格で提供し、最低注文金額2,000円(税込)で注文から1時間以内に自宅に届けるサービスを謳っていた。

Wolt(ウォルト)と同様にダークストア型ネットスーパーに参入したわけだが、2021年12月から展開していたスーパーの配送代行サービスのクラシルデリバリーがベースになっていた。

専用アプリから注文が入ると、配達員が加盟するスーパーの店舗から商品を集め、注文者の自宅へと配送するというサービスだ。

ただ、上述したとおり、最大の誤算が商品仕入れのところだった。

1店舗しかない新興スーパーのため、まとめて仕入れることで仕入れ価格を下げるボリュームディスカウントができず、原価が高止まりしたのである。

そして、結果的に商品の粗利率が低い状態が続いた。

この状況を打破するためには、店舗数を一気に拡大し、大規模なマーケティングによる顧客の獲得が必要だった。

ところが、規模を拡大したとしても利益率が高い事業ではないため、投資コストの回収に時間がかかるという判断から、わずか3ヶ月での撤退を決めたのである。

ネットスーパー事業に参入したサービス

ダークストア型のネットスーパーは参入が相次ぎ競争が激化している。

まずは、いちはやく参入した、OniGO(オニゴー)。

それから、ドイツ発のフードデリバリーサービスのfoodpanda(フードパンダ)上で展開されていたダークストア型ネットスーパーをリブランディングした、AMo(アモ)。

このあたりのサービスは成長を続けているという発表がある。

また、日本国内の2021年のネットスーパー市場は前年比で15.4%増の2,470億円となった。

2022年も引き続き堅調で、12.1%増の2,770億円に規模が拡大すると見込まれている。

このあたりのサービスの現状についても、引き続き注目していこうと思う。

まとめ

テクノロジーの進化が顕著に現れているのが、デリバリーの分野だと思っている。

ショッピング、フード、タクシーといったあたりは、スマホの普及によって誰もが簡単に使えるようになったこともあり、ユーザはどんどん抵抗がなくなっているからだろう。

なによりも、一度使ってしまうと、その便利さからリピートする確率が高いということが重要なのである。

生活の一部に自然となっていくというか、今までの慣習を変えるのに重要な要素が、この便利さを痛感させることなのである。

テクノロジーは常に進化していくので、そういう意味では常にどこかのなにかの過渡期だという見方もできる。

となると、新しいサービスにはとりあえず手を出してみるというノリの良さを持ち続けた方が時代の流れに身を任せることができることは理解できるだろう。

便利な日常と不便な日常のどちらがいいか、選択の余地はないだろう。


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植田 振一郎 Twitter

株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。