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スタコネ Start-up's Voice|テクノワ|平岡代表へインタビュー

『スタコネ』は、「スタートアップ」と「スタートアップを支援するサポーター」をつなぐマッチングプラットフォームです。
2023年8月にローンチし、たくさんの方にサービスに興味を寄せていただいております。日々『スタコネ』をご案内させていただく中で、「どんなスタートアップ企業が登録されているのか知りたい!」という声を頂戴することが多いので、『スタコネ』に掲載し、サポーターとマッチングされた企業様について、代表者様へのインタビュー形式でご紹介したいと思います。

Start-up's Voice vol.5 | テクノワ
株式会社テクノワ 代表取締役 平岡 稔康様
1993 年2月3日生。20歳までに起業することを志し、2013 年19歳の時に個人事業としてプラント建設工事業を開業、2015 年総新工業株式会社を設立。2019年、堀江貴文さんの冠番組「北海道独立宣言」への出演をきっかけに北海道大樹町で飲食店「蝦夷マルシェ」を開業、株式会社蝦夷マルシェを設立。フランチャイズ化やオンラインサロンの立ち上げ等により軌道に乗せるが、本業のプラント事業に専念するため事業譲渡。10年に亘りプラント工事の現場に携わる中で、業界の古い慣習を変え、希望ある業界へアップデートしていくことに強い使命感を抱き「テクノワ」を立ち上げる。

◆事業フェーズ(2024年4月時点)
シード  プレバリュエーション 2億円
累計調達額4,500万円

◆『テクノワ』サービス概要
プラント業界の“発注企業”と“受注企業・一人親方”をつなぐ、国内初プラント工事特化マッチングアプリ。全国のプラント工事案件を集約し、発注企業の「職人不足」、受注企業の「案件需要」をマッチング。多重下請構造による中間マージンを削減するとともに、紹介や元受け企業の囲い込みに依存しない安定的な案件供給に貢献する。アプリ内で簡単に入構書類のやりとりを完結できる機能を搭載、IT化が進みにくい業界において、職人の受注機会損失を防ぎ、PC作業、事務負担から解放する。
https://teqnowa.com/


プラント工事の「職人不足」と「案件需要」をダイレクトにマッチング。アプリで入構書類を完結

1.『テクノワ』ってどんなサービス? 

『テクノワ』は、プラント業界の“発注企業”と“受注企業・一人親方”をつなぐ、国内初プラント工事特化のマッチングアプリです。全国のプラント工事を集約し、発注企業の「職人需要」と受注企業の「案件需要」をダイレクトにマッチングします。工事現場に入構する際には、必ず安全管理のために身分証明証、資格証等、所定の書類を提出する必要があるのですが、『テクノワ』はアプリ内に書類のPDF化、送受信、保存する機能が備わっており、IT操作の苦手な方にも利用していただきやすい仕様になっています。

2023年10月にローンチし、約半年経過しました。私自身がSNSを活用しユーザーを募っており、プロモーションコストはかけておりませんが、受注企業の登録は既に約70社、『テクノワ』を通じた、職人の雇用創出日数は、予定案件含め1,000日にのぼります。現時点で、見込みGMVは1億円を超えている状況です。

2.『テクノワ』をはじめたきっかけ

10代から建設業界、製造業界に従事してきて、現在もプラント工事会社を経営しています。10年以上この業界に携わり、業界の課題を肌で感じてきたので、自分がこの業界の新しい未来を創っていきたいという思いがありました。もっとフェアに仕事と報酬が分配され、関係者が手軽に安全に利用できるサービスを作り、古い業界構造をアップデートしたかった。長年現場の実情と向き合ってきたリアルな視点で、必要な仕組み、機能を具現化したのが『テクノワ』です。

既に建設業界を対象とした職人のマッチングサービスはあり、自分もユーザーとして使ったことはありましたが、職人の立場から機能面に不足を感じることが多かったんですね。常に、自分ならこうするな、という目線でサービスを検証しつつ『テクノワ』の構想を固めていきました。「建設業」と「プラント業」って同じように捉えている方もいらっしゃるかもしれませんが、違うんですよ。みなさんが馴染みのある「建設業」は街中でよく見る住宅、ビル、マンションなどの工事かと思いますが、「プラント業」は建設業の一部の業種で、主に電気・ガス・薬品・製鉄などを作る工場の設備工事をプラント工事と言います。例えば原子力発電所や火力発電所などの発電施設の特殊な工事になります。プラント業界の方がマッチングアプリに適しているんじゃないかという感覚はありましたし、自分が一番解像度の高い領域ということもありプラント工事特化のサービスを立ち上げました。

3. プラント業界の課題と『テクノワ』のソリューション

建設業/プラント業界では、発注側は過去取引実績のある、信頼できる会社、職人にしか発注しないという風習があるんですよね。人のつながりでしか仕事がとりにくいんです。一方で、人手不足の問題は深刻化している。マッチングアプリは様々な業界に普及し、建設業界でも徐々に浸透しつつあります。まず第一の解消ポイントとして、プラント業界でも、知り合いの紹介に依存せざるを得ない状況や元請け企業の囲い込みを解消し、アプリで安心して受発注先を選定できるような世界を推進できればと考えています。

また、業界として多重下請け構造であり、中間業者の介在により末端の職人に適切に利益が配分されない、といった業界課題があります。では中間業者はただ中抜きしているのかというとそうとは限らず、末端の小規模企業や個人事業主は元請企業が取引先に求める会社としての体制、例えば要求されている書類を適切に揃えるなど、取引要件を満たすという機能を果たしていたりするわけです。ですから、この構造を全て一気に崩すのが正解というわけではなく、構造変化の過程でそれぞれの立場のバランスをとることは必要だと思っています。

現場に入る際は都度「入構書類」を作成する必要があるのですが、PDF化した書類が用意できないために仕事がとれなかった、という声が実際多くありました。『テクノワ』は、アプリから書類の作成、送受信、保存まで完結する機能を備えています。これは、受注機会の損失を防ぐことはもちろん、発注者側も事務負担を減らし省力化できるというメリットがあります。年齢層の高い方にも登録いただいているので、抵抗なく使える分かりやすいUIになっていると思います。

マッチングサービスで懸念されることは、取引相手が信頼できるのかという点だと思います。『テクノワ』では登録企業の審査を行っており、最低限の常識が無い企業はお断りしています。現に誰でもOKにしてしまっている建設業マッチングはその点もネックになっているように思いますし、それではサービスを維持することは難しくなると思うんです。『テクノワ』は登録後も稼働評価、実務履歴のデータを蓄積していきます。現場で働いてみて欠勤が多い、技術不足で途中で帰らされるといったケースもありますから、受注企業からは毎月出勤簿を共有いただき、発注企業からも受注企業に対するフィードバックを受ける形で評価指標となるログを蓄積します。将来的にはアプリ上で双方のレイティングを蓄積、表示し双方の品質レベルを保つ仕組みを導入する予定です。

スタコネ面談を通じて『テクノワ』事業の意義を再認識。支援者のバックアップを得て事業を加速

4.『スタコネ』を利用したきっかけ、期待したことは?

自分は『テクノワ』を立ち上げるまで、いわゆるスタートアップ企業としてイメージされるようなIT業界に携わった経験もなく、建設業界、飲食店でのキャリアでしたから、出資をしてもらうという概念もなかったんです。初めて、『テクノワ』の事業拡大にあたり経営戦略を支えてくれるような支援者との出会いや資金調達を考えなくてはならない局面にさしかかり、悩んでいたんです。どうやって事業の支援者と出会えばいいんだろう、当初は実績もなかったので創業支援も受けづらい、という状況。そんなときに『スタコネ』を知り登録したところ、様々なサポーターのみなさまとマッチングし、結果として1,300万円の出資を決定いただくことができました。

※スタコネはスタートアップの企業情報を提供するのみであり、投資の勧誘・媒介を行うものではありません。

5.『スタコネ』を利用した印象は?

事業家のサポーターの方々にピッチを行い、様々な知見を共有いただき、とても貴重な学びの機会になりました。みなさま事業経験が豊富で視野が広く、また共通して感じたことは、とても楽しそうにピッチを聞いてくださるということ。私のバックグラウンド、経験・スキルを理解して、助言をしてくださり、自分の人間性も認めて応援してくださるスタンスが非常にうれしかったです。事業のあら捜しではなく、親身になって助言してくださる方が多く、今後もよい関係性でお付き合いさせていただけそうという印象です。

6.『スタコネ』を利用して得られた成果

徐々にマッチング数が増えてきており、リアルな事業進捗がお伝えできる、という説得材料も加わり、1対1でのピッチを重ねるにつれ、『テクノワ』の事業の意義が伝わる実感を得ることができました。経営者としての自信、成長にもつながったと思います。

プラント業界に絞っていることもあり、テクノワユーザーとなるコネクションを持たれている方は少なかったですが、今回サポーターの方々に『テクノワ』を認知いただけたので、みなさまの人脈の中で今後は事業面でご支援いただける機会もでてくるのではと思っています。


多重下請け構造からの脱却、体験価値の波及に商機。業界特性を踏まえたSNS相乗効果により早期拡大、プラント業界での独占的シェアを獲得

7.『テクノワ』今後の展望

3年後、ユーザー数12万人を目標においています。『テクノワ』は、建設・製造業界の中でもプラント工事業に特化しているので、12万人がアクティブであれば一定のプレゼンスを示せる数字だと思います。2023年10月にローンチし、プロモーション費用はほぼゼロ、TikTokやインスタグラムなどSNSの活用から想定どおり効果が上がっています。つい先日もSNS経由で、大型・長期案件のマッチングに成功。受注企業数は早くも70社まで増えてきています。ユーザー拡大の観点で、SNS戦略はかなり成功していると言えますが、他にも算段はあり、プラント従事者のネットワークは限定的で、横の結びつきが強いんですよね。出張現場で再会することも多いんです。そのため、『テクノワ』を便利に使っていただいた方からの口コミや評価でサービスが広まりユーザー数を伸ばしていきやすいと思っています。受注側は、『テクノワ』を使ったほうが単価が高い、となればみなさん使ってくれると思いますし、発注側企業も企業間での関係性が強いのでサービスを評価いただければ紹介していただきやすい。現に発注企業の満足度も高く、例えば、「出張工事は費用がかさむため地元の企業様に発注したい」といった要望に応じたマッチングが実現できておりサービスに対する手応えを感じています。

また、プラント工事はひとつの現場が決まると、工期も長くLTVが大きいんです。工期2年~3年という案件も珍しくない。つまり1度契約すると長期的な売り上げが作りやすいという特性があり、実際に1年先までの売上見込が立てられています。直近でも10名の職人の10か月長期案件マッチングが決まったところです。

早い段階で実績がついてきており、勢いを上げて、プラント業界の独占的シェア獲得を目指します。ただのマッチングアプリではなく、利用者の満足度を上げ、そして業界全体のレベルアップを図るために入構書類のDX化も進化させていきたい。グリーンサイトや建設キャリアアップシステムという、現場に入るごとに登録が必要な業界標準サービスがあるのですが、『テクノワ』が連携できたら、サービスレベルは飛躍的に上がると思っています。

海外展開先として、フィリピン、ベトナム等、東南アジアへの展開を視野に入れていますし、プラント業を軌道に乗せた後は、このソリューションを使って造船工事マーケットへの進出を考えています。

(2024.4.18インタビュー)

▼テクノワサービス概要

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