アイドル彼女は素っ気なくて甘くて 第15話
お互いの話をしていたら、
すでに夜遅くになっていた。
◯◯:じゃあ、明日土曜日だけど、夜遅いしお風呂入って寝よっか。
蓮加:うん。
◯◯:明日の朝ごはん、どうする?
蓮加:む、もう忘れたの?…私、作るよ!
ちょっと唇を尖らせる
岩本さん。
◯◯:そっか、じゃあ楽しみにしてる。
蓮加:ありがと、お風呂入ってくるね。
◯◯:うん。
岩本さんはお風呂に向かった。
ーーーーーー
岩本さんが出てきた後、
俺も風呂に入り
寝る時間になった。
◯◯:よし、じゃあ、おやすみなさい。
俺がいつも通り
ソファで寝ようとすると、
蓮加:一緒に寝たらいいじゃん…
◯◯:ふぉ!?
驚きのあまり、咄嗟に出た声は
ヘンテコなものだった。
蓮加:腰痛そうだし、ソファに寝かせるのも悪いよ…
確かにここ数週間
慣れないソファで寝る日々で、
少し腰をやっていた。
◯◯:バレてたか…
蓮加:だから…松尾くんとなら、良いよ…?
おい、
言い方がとんでもねぇな。
◯◯:じゃあ…お言葉に甘えて…
蓮加:前、麻衣先生に言ったんだけど、「分けるなら自分たちで買え」って。
◯◯:もったいないし、いっか。
と、強がってみたものの…
ーーーーーー
スマホのロック画面を見ると、
時刻は午前1時。
…
…
……寝れねぇっっ!!!
俺と岩本さんはベッドの両隅で、
なるべく距離を取って寝ている。
無理っしょ!
こんな状況で寝るの!
俺の心臓は、
破裂しそうなくらい活動している。
でも、岩本さんの方はというと、
…結構ガチで寝てるやんけ。
一緒のベッドに男いても
寝れるって凄えな。
俺が襲ってくるような野郎だと
思ってないみたいだな。
いや、
そりゃそうなんだけどさ。
ちょっと負けた気分だけど、
岩本さんがぐっすり寝れるなら、
まぁ、いっか。
ーーーーーー
土曜日の朝、
いつもより遅めの8時に目が覚めた。
何だかんだで、
寝れたみたいだな。
"一緒の"ベッドの上に、
岩本さんの姿はなかった。
この寝室
遮音防音になってるようで、
外の音はあんまり聞こえない。
明らかに"アレ"な仕様だが、
なかなか寝心地がいい。
…
…
寝室を出てキッチンに行くと…
◯◯:…んえ?
蓮加:あ、おはよ〜。
岩本さんがエプロン姿で
キッチンにいて、
朝ごはんを作っていた。
蓮加:今日は、私がご飯作ってあげる!
◯◯:いや、でも…
蓮加:「彼女」だったら普通でしょ?
あ、そっか「彼女」か。
…いやいや、
すんなり受け止めんなって!
でも、昨日からやる気満々みたいだし、
干渉するのも良くないよな。
◯◯:ありがとう、じゃあ待ってるね。
蓮加:リビングのテーブルに持ってくね〜。
可愛いかよ。
ーーーーーー
岩本さんが作ってくれた朝ごはんは、
卵焼きやほうれん草のおひたし
大根の味噌汁など、
最強に体に良いものばかり。
蓮加:味とかその、あんまり自信ないし…最近作ってなかったし…松尾くんの口に合うかどうか…
ハードルを下げに下げている岩本さん。
やっぱり、ネガティブ思考を
してしまう性格のようだ。
◯◯:いやいや、作ってくれただけで嬉しいよ。
俺は味噌汁を飲む。
蓮加:…どう?
不安そうな目で
俺の顔を覗き込んでくる。
◯◯:めっちゃ美味しいじゃん!
蓮加:え?
どんどん食べ進める俺。
◯◯:卵焼きだって味加減良いし、蓮加さんのご飯すごい美味しいよ!
やっと緊張が解れたのか、
いつもの優しい笑顔に戻る。
蓮加:良かったぁ…もう嫌われちゃうかと思った。
◯◯:そんなことないって。作ってくれてありがとね。
蓮加:今度、料理教えて欲しいな。ちゃんとした「彼女」になりたいから。
◯◯:そのことなんだけどさ、本当の「彼氏」「彼女」になるって、具体的にどういう事なの?
…
…
蓮加:…お互いを"好き"になるの。
◯◯:ブフッっ!!?
俺は味噌汁を吹きそうになった。
蓮加:ちょっと、大丈夫?
◯◯:大丈夫大丈夫!…ちょっと、ビックリしちゃって。
蓮加:私、松尾くんのことを"好き"になりたいし、自分のことも"好き"になりたい。
クソっ、
日本語って難しいな。
蓮加:松尾くんにも、私のこと"好き"になって欲しいんだ。
…これ
巷でいう"告白"か!?
エグいって、俺。
こんなに可愛いアイドルの子に、
こんなこと言われてんだぞ!?
◯◯:だからお互い、努力しよう、と。
蓮加:努力っていうか、何というか…松尾くんも言ってたように"分かり合える"関係っていうのかな。そうなれるように頑張ろ?って。
もう"好き"
…なんてキザなことは、
まだ言えない。
◯◯:分かった。お互い、"大切な存在"になろうね。
蓮加:へへっ…うんっ!
ーーーーーー
続く。
ーーーーーー
アイまい フェーズ1
参考楽曲
Official髭男dism
「ビンテージ」
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