アイドル彼女は素っ気なくて甘くて 第19話
歓迎会が始まり
ちょっと経ち、
聖来:なぁ、
蓮加:うん?何?
聖来:ホンマに"あの子"が、蓮加の「彼氏」なん?
飲み物を注いでいると、
聖来に話しかけられた。
蓮加:そうだよ?
聖来:でも、見た感じパッとせぇへん子やろ?
真佑:それちょっと思った〜。
何故か
内心ムカついた。
◯◯くんを
悪く言われてる気がした。
蓮加:2人とも…その言葉覚えときなさいよ?
聖来:何でそんなプク顔やねん。
真佑:あれ?ちょっと拗ねちゃった?
蓮加:別に…拗ねてなんか…
…
…
私は自然と、
◯◯くんのところへ
向かっていった。
◯◯くんは、
1人でスマホを弄っていた。
そして私に気付き
顔を上げる。
◯◯:どうしたの?
蓮加:◯◯くん、コンタクト持ってきた?
◯◯:うん、ワックスも一応ね。
蓮加:じゃあ、つけてきてくれると嬉しい。
◯◯:あぁ、良いけど、何で?
蓮加:◯◯くんのこと…みんなに紹介したいから…
いつも恥ずかしくて
小声になってしまう。
まだ、本音を素直に言えない…
◯◯:うん?…まあ付けてくるよ。
◯◯くんはそう言うと、
会場から出ていった。
ーーーーーー
俺はトイレで、
コンタクトを付けて
ワックスで前髪を上げていた。
何で蓮加さん、
ちょっと顔が赤かったのかな。
まあ少しあの会場暑いし、
心配だな。
??:きゃぁっ!◯◯くんカッコいいっ!!私と付き合ってぇ〜//
そんな"野太い"
黄色い声が聞こえる。
◯◯:からかうなよ。
暁翔:良いじゃねえか、イケメンなんだから。
◯◯:そんなことないし、お前の方が随分とイケメンだろ。
暁翔:そりゃそうだろうよ。ってか、れんたんとは上手くいってんのか?
…
…
◯◯:うーん、分からないな。始まりがイレギュラーだと思うし、何が"上手い"のかサッパリ。
暁翔:俺から見ると、上手くいってると思うぜ?お前がそうやって"素顔"を見せてんだ。これからお互いのことをもっと知ってけばいいさ。
◯◯:達観してんな、流石。
暁翔:まあ、お前よりは長く付き合ってるんだ。なんか困ったことあればいつでも連絡していいからな。
◯◯:助かるよ、ありがとう。
暁翔:そうこうしてるうちに、イケメンさんの出来上がりだな。この後の展開を楽しみにしてるぜ〜。
暁翔はそう言うと、
トイレから颯爽と出ていった。
俺は鏡に映る俺の姿を見て、
こめかみの傷に手を当てる。
…この"傷"も
いつか癒える日が来るのかな。
今日がそれに一歩
近づける日だと信じて、
俺はトイレから出た。
ーーーーーー
その後、
俺は会場のドアを開けて、
蓮加さんのところへ戻る。
◯◯:お待たせ。
蓮加:うん、良い感じ!ありがとね。
メンバーの皆さんが、
俺たちを見ている。
…何?
この空気。
暁翔:さぁ、ショータイムだな、楽しみ。
すると、1人のメンバーが
近づいてくる。
祐希:あのぉ…どちら様?
◯◯:え?"松尾◯◯"ですけど。
全員:えっ…?
…
…
◯◯:えっ?
麻衣:あらら…
遥香:◯◯のくせに…
1人だけ
変な反応のやつがいるな。
聖来:イッケメンやんかぁ!
真佑:聖来、暴走しないでね~
美月:なかなかだね〜、僕〜。
久保:…
さくら:史緒里さん、何でそんなに静かにしてんの?
祐希:先輩が、良い子良い子してあげようか?
◯◯:あ、いや、それは…
遥香:むぅ…
だからコイツは何なんだよ…
沙耶香:暁翔、知ってた?あれ。
暁翔:おう。あいつ、ちょっと"シャイ"でな。
◯◯:暁翔…助けて…
暁翔:頑張れよ〜。
◯◯:遥香、あの…
遥香:自分で勝手にどうぞ!
完全に
拗ね始めた遥香。
…あー、どーすれば良いんだよ。
陰キャにこれはキツいって。
ーーーーーー
私の隣で
たかられている◯◯くん。
祐希:よしよ〜し、なでなで〜。
◯◯:ちょっと…やめてくださいよ…
美月:あー、顔赤くなってるよぉ?
デレデレしちゃってさ…
聖来:写真撮ってくれへん?
真佑:もちろん2ショットだよー!
◯◯:いや、何で…
私ですら
写真撮ってないのにさ…
史緒里:……カッコいい…
さくら:弟にしたいとか、思ってます?
◯◯:それは訳が分からないですって!
可愛がられちゃってさ…
◯◯:蓮加さん…これどうなってんの…
私自身、
何でそんなことが
言えたのか分からない。
ここまでよく分からない
感情を抱いたのは、
◯◯くんが初めて。
蓮加:◯◯くんは…
多分、
私は、
…
…
蓮加:◯◯くんは"私の"「彼氏」ですっっ!!
……◯◯くんのことが
"好き"なんだろうな。
◯◯:なっ…!!?//
麻衣:わーお。
暁翔:おお、言いやがった。
清々しいような、
恥ずかしいような、
そんな気持ちがした。
ーーーーーー
続く。
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