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メンヘラ婚約者が俺を狂わせてくる。 まとめ

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長編「メンヘラ婚約者が俺を狂わせてくる。」のまとめです。
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メンヘラ婚約者が俺を狂わせてくる。 プロローグ

職場の昼休憩、 同僚と社食で飯を頬張る。 同僚:なんつーか、あの…いつも話聞いてて思うんだけどさ、 ◯◯:何だよ、 同僚:お前の嫁さんって、"素敵"な人だよな。 苦笑い丸出し。 言葉を選んだ結果、 見事に地雷を踏み抜くとは。 同僚:他意はないぞ。だって、そんなにお前のこと愛してくれるなんて、良い嫁さんじゃねぇか。 自分でも"痛い"ほど分かってる、 他意はない、うん。 俺の婚約者は、 …愛情が重いタイプの女性。 世間が認識し易いように 好ましい表現を

メンヘラ婚約者が俺を狂わせてくる。 第1話

大学3年のとき、 とある夏の日の話。 前期の講義が 期末テスト含め終了し、 実家に"帰省"しようかと 寝ぼけ眼で考えていた最中。 心拍数が上がりすぎて 緑の超人になるんじゃないかと、 そのくらい衝撃的なことが起こった。 「先輩、お久しぶりです。井上です。」 「もしよろしければ、お会いできませんでしょうか」 和からの連絡。 2年以上 ご無沙汰のメッセージ。 何故、今なんだ? 何故、俺なんだ? 会う理由は? まだ気が有るのか? 無数のハテナが頭

メンヘラ婚約者が俺を狂わせてくる。 第2話

部署の飲み会、 俺はソワソワしている。 …何故か。 早く家に帰りたいから。 世界で一番可愛い嫁が待っているし、 メンヘラという恐怖のおまけ付き。 一応この会の名目としては、 社員研修を終え開発設計課に、 この前配属された新入社員の歓迎。 そして3年目の俺がその子の 新人教育の担当になったということで、 参加を断れるわけもなく 仕方なく行事に付き合っている。 十分に酒が腹に溜まって 猿になってきた上司たち、 そいつらから聞こえてくる声の大きさに

メンヘラ婚約者が俺を狂わせてくる。 第3話

ゴールデンウィーク。 まとまった休みが取れたので、 嫁と一緒に俺の実家へ 遊びに行くことにした。 どうやら姉夫婦も タイミングを合わせてきたらしく、 あまり望んでいなかったが 本日は実家で"アッセンブル"。 ◯◯:よし、着いたよ。 和:運転、お疲れ様。 車から降りて、 荷物を持って軽く伸びをする。 駐車場のお隣には 姉の車が止まっているが、 いつもコイツを見るたびに ギョッとするのがお決まり。 車のナンバー、 「ら 608」 ちなみに姉曰く

メンヘラ婚約者が俺を狂わせてくる。 第4話

冒頭から申し訳ないが、 ここで自慢をさせてほしい。 俺の嫁が、 いっちばん可愛い。 ツヤッツヤの髪 白くて滑らかな肌、 女性らしいスタイル 漂ってくる良い香り。 透き通った声 歌もお上手、 家事も完璧 料理は凄まじく美味しい。 頭脳明晰で努力家 都心の一流企業で若手のエース、 依存している程に 深い愛情を俺に向けてくれる。 その他諸々含め これほど最高な嫁が居ようか、 いや……居ない。 俺はこんな嫁と出会えて 感謝しかないのだけども、

メンヘラ婚約者が俺を狂わせてくる。 第5話

現在、 我ら開発設計業務に携わる者。 似つかわしくない状況にありまして、 東京駅付近を先輩と共に スーツで歩いております。 ◯◯:何で俺たちが出なきゃいけないんですか。 ひかる:しょうがないでしょ。かなり"おカタい"顧客で、営業が突っぱねられたみたいだし。 ◯◯:でも技術営業ですよね?…素人というわけじゃないだろうに。 俺たちが目指しているのは、 大手企業のオフィス。 そこで売り込みというか何というか、 結構大きめの仕事を取りに行く。 ひかる:前にも、

メンヘラ婚約者が俺を狂わせてくる。 第6話

幸か不幸か俺の人生は、 メンヘラさん達に彩られている。 そんな男性のことを人は、 "メンヘラ製造機"と言う。 否定はしないし出来ないけど、 こちとら製造したいワケじゃなくてだね… もはやそれは自然なのでは? そう思っているところであります。 これは自論なのだが メンヘラちゃんは、 "男性を支配していると感じること" "男性に支配されていると感じること" この2つの相反すること、 主に後者の被支配的な状況に 本能的にものすんごく興奮する。 勿論、前

メンヘラ婚約者が俺を狂わせてくる。 第7話

パソコンに向かって お金の計算や予算の管理とか、 私の"地味"な性分には合ってる仕事に 新卒で出会えたことは嬉しい限り。 和:はぁ… ひと息つくために脱力して、 椅子に背中を預けて天井を見上げる。 すると急に私の視界に、 先輩のご尊顔がヒョコッと出てきた。 和:うわっ、さくらさんっ… さくら:え、そんなにビックリするの、 同じ部署の先輩、 "遠藤さくら"さん。 初めて会った時に抜群の容姿と、 可憐な雰囲気に衝撃を受けた。 片手で握りつぶせそうなく

メンヘラ婚約者が俺を狂わせてくる。 第8話

6月になり、 姉の結婚式当日になった。 姉夫婦どちらも人たらしだからか、 ゲストがとんでもなく多い。 姉のためにできることを やりたいという想いから、 受付を自分から進んで引き受けた。 実は、姉は "元アイドル"という人間で、 会場に入ってくるゲストたちが 軒並み美形で情報量がスゴい。 もちろんウチの和さんは、 それすらも凌駕している。 あっちの方でいい子にお座りして チョー可愛いなぁおい、 …いかんいかん 集中しなければ。 夫の陽大さんも芸

メンヘラ婚約者が俺を狂わせてくる。 第9話

とある休日、 俺の誕生日の前日に当たる。 ◯◯:和〜、 和:ん、 ◯◯:今から出かけない?"デート"しよ。 和:デート…? 俺の言葉を聞いた途端 両頬が真っ赤に染まって、 近くにあったクッションを抱いて 上目遣いになる嫁。 ◯◯:どしたの、嫌だった? 和:い、イヤなんてこと、あり得ないですっ!でも… ◯◯:でも…? 和:デートするなら、下着…もっと可愛いのに着替えてきても、良いですか…? 婚約しておよそ1年 同棲してからは2年以上、 噛み締めて

メンヘラ婚約者が俺を狂わせてくる。 第10話

◯◯さんの誕生日の翌日、 仕事の帰りに寄り道。 週末は営業しないケーキ屋さんに、 臆さずいざ突撃。 プレゼントは"一緒に"選んで買おうと ◯◯さんが提案してくれましたし、 当日は日曜日で この店のケーキが買えませんでした。 優しい◯◯さんは とても満足したと言ってました、 だけどその優しさに 甘えすぎてもダメ。 婚約者として 1日遅れではあるものの、 夫に美味しいケーキを 食べさせてあげたい。 "自分が"プレゼントを、 用意してあげたい。