「マインドフルネス瞑想は、感情に蓋をすることですか」との質問に応えます。

先々週、マインドフルネス瞑想を教えていた患者さんに、

「マインドフルネス瞑想は感情に蓋をすることですか。」と質問されました。

確かに瞑想は思考を止めるというイメージがある方は、感情や思考を感じなくさせて蓋をすることだと捉えられるかもしれません。しかし実際は逆です。

瞑想にはいろんな方法があります。
・サマタ(一点集中)瞑想:集中力を高める瞑想で、湧いてきた思考を消す方法。変性意識に入りやすい。
・ヴィパッサナー瞑想:湧き出てくる思考を観察する方法。現実を直視する。
など。

ここで大事なのは、各瞑想によって目的や方法が違うということです。
人間の日常生活における意識状態は大きく分けて変性意識状態マインドフル状態があります。(意識状態の分類の仕方は他にもある。)

変性意識状態は、日常生活の9割くらいを占めます。

「え?変性意識ってドラッグでぶっ飛ぶ、ゾーンに入ることじゃないの?そんな9割も入ってたら大変でしょ、毎回職質されるじゃん」と思われた方はいますかねいますね。

実はみなさんご存知の通り、変性意識状態には、深度があります。
深い変性意識状態: ドラッグやゾーンに入ることで得られるトランス状態
中間の変性意識状態: 過去や未来への不安や他人の目などに囚われたり考え事をしている状態
浅い変性意識状態: ボーッとしている状態、何かに夢中になっている状態(仕事なら外科手術や大工など、普段ならスマホ眺めている時)

そう考えると、1日の9割以上は何かに没頭したりぼーっとしたり考え事をしたり浅い変性意識状態に入っていることに気づくと思います。

対するマインドフル状態は、「今ここ」という現実に戻り、湧いてくる思考感情現実をありのままにジャッジせず(快・不快、正しい・間違いなど判断しない)直視している状態です。いわゆる「気づき」の状態。
「私は今こう思っている。ダメだな私。」ではなく、「私は今こう思っている。」と、実況中継のような感じで湧いてくる思考に判断を加えず直視していくのです。

勘違いされやすいのが、「瞑想=思考を手放し何か一つに集中すること」ということです。これだと湧いてきた思考を見ず、どっか別の情報空間に意識をぶっ飛ばしていますね。つまり変性意識状態へ入っています。

なぜ勘違いされるかというと、知識の浅いマインドフルネス瞑想の指導者や知識のないYoutuberが「思考をシャットアウトし」と言っているからです。違います。ゴリゴリ100%違います。本当のところは、シャットアウトせず直視します

上でお示ししたサマタ瞑想だと深い変性意識状態へぶっ飛ばしますが、ヴィパッサナー瞑想は思考をありのままに直視しますのでとても現実的です。

そして、マインドフルネス瞑想は上記の二者を足したものです。呼吸や足の裏の感覚などに一点集中しながら、湧いてきた思考をありのままにジャッジせず直視する。

「マインドフルネス瞑想をすると感情に蓋をすることになるのでは?」と質問された患者様は、瞑想を、湧いてきた思考をぶっ飛ばしゾーンに入ることと勘違いされていたようです。私の伝え方が悪かったのですが、、。それでは現実を直視せず見て見ぬ振りをしリラックスした状態になって終わりです。

そもそもマインドフルネス瞑想の目的は、リラックスではありません。本当の目的は、人間として成長し人生の質を高めることです。リラックスばかりしていてはドラッグを毎日使って現実逃避しているのと一緒です。

なぜ私たちが成長出来ないのかというと、困難や問題行動に対してネガティブな感情を抱き自責し他責しそこで思考停止し、自分はダメだ、みんなに嫌われている、みんなにアホだと思われていると思い込み、そう思い込んだせいで次の第一歩を踏み出すことが出来なくなっているからです。

そんなときに変性意識状態にぶっ飛んだところで何も現実は変わりません。困難や問題行動、湧いてきた思考に対してネガティブな感情抜きでありのままに見つめることで、明確な優先順位ややるべき行動に気づくのです。

「今日こそあれをやろう」と思ってもいざ机に向かう前に「完璧にするには時間がかかるからやりたくない」と無意識が先取りして予測し先延ばししてしまうことはありませんか。ですので、「やるべきこと」に対して嫌だという感情、ジャッジを入れずにありのままに直視することで、再び前に進むことができるのです。

ということでマインドフルネス瞑想は感情に蓋をするどころか、実は自分や現実を直視し様々な正解に気づき成長させてくれるものというのが答えです。

感情に蓋をする=感情に気づかないということ=自分に気づかないこと=現実と向き合うことを避けているということ。

マインドフルネス瞑想をやった方がいいよ、と言われてもやらない人は、きっと自分に気づきたくないのです。だってやったら気づくって潜在的に知っているから。無意識はいつも正解を知っています。あなたの無意識も、マインドフルネス瞑想が気づきのために良いものと知っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?