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古井由吉全集

 芥川賞受賞作で売れた作品といえば、何を思い浮かべるだろうか?
「限りなく透明に近いブルー」「蹴りたい背中」「コンビニ人間」いろいろあると思いますが、 僕は又吉直樹さんの「火花」を浮かびます。
芸人でありながら文学好きを公言していた彼は、出版社からの依頼で小説を書くことになります。そのデビュー作が「火花」です。これは雑誌、文学界に掲載されて芥川賞を取ると爆発的に売れました。250万部のようです。驚異的ですね。

又吉さんの小説があんなに売れたのは彼が人気芸人であったということもあると思うのですが、文学のセンスが評価されたからでしょう。たくさんの純文学の作品を読んで研究して作品を生み出した結果が出たのだと思います。
そんな彼の作品に影響を与えた言われる人がいます。
それが、古井由吉さんです。
これは、同じく芸人でありながら小説家を目指しているという斎藤紳士さんのYOUTUBEで、斎藤さんが言っていました。

僕は、その動画を見て古井由吉さんという人を知りました。
その後、BOOK OFFで古井由吉さんの本を立ち読みしてみると、僕はページをめくった瞬間、こう思いました。
「何これ、文体が又吉と同じじゃん!」
気になると、新潮文庫の「杳子 妻隠」という本を購入しました。

帰って、「杳子」を読んでみると、文章がなんだか周りくどくて、描写が多く、あまり読み取れなくて、わかりにくく、20ページくらいで読むのをやめました。内容があまり面白いと感じることができませんでした。

それから、数ヶ月後たち、「杳子」を読んでみると、内容が頭の中に入ってきて、文体から幻想的な風景を呼び起こされました。描写が細やかで、一つ一つ丁寧に描かれている、そして、人間の内面が情景描写から浮かび上がるような、そんな印象を受けました。
この作品は、病気になっている女子大生と大学生の恋愛を描いた物語です。
普通にあるような話なのですが、書き手の繊細さが伝わってくることによって、とても深い物語になっていました。

これは、すごい、と僕は思いました。
と、同時に僕の心の中ではこのような言葉が浮かびました。
「又吉は、このことをわかっていて、書いたのだな」(あえて、呼び捨てにしました)
同時に僕も同じようなことを真似したいと思いました。
そして、「古井由吉の作品をたくさん読みたい!」と思いました。
すぐにアマゾンで彼の作品を調べます。でも、本の金額が結構高くて、二の足を踏んでしまいました。

そんな時、僕はこう思うのです。

「そうだ! メルカリで調べよう!」

メルカリの検索ボタンで、「古井由吉」と入力をします。
すると、古井由吉全集全7巻というのがありました。しかも、売り出されたのが二時間前となっています。直近に、売り出されたばかりだったのです。勘違いしやすい僕は、「運命的だ」と思ったのです。

しかし、値段は9000円と表示されていました。

うむ、9000円。
と思った僕は、とりあえずお気に入りボタンを押す。様子を見ることにした。

一時間後、再びメルカリを見てみると、金額が8500円に下がっていました。

これは、もう買えってことかな、と思ったのですが一呼吸置きます。これまで本にお金をかけすぎているので、ちょっと頭の中で待てがかかったのです。
そして、希望価格を低く設定してみることにしました。7650円にします。

これで、タメだったらいいかなと別にいいやと思いました。世の中にはたくさん本がある。自分の部屋には積読本が山のようにある。それらを読めばいいのだ、と言い聞かせました。

15分後に、値段が7650円に変更されました。
これは、もう購入するしかないと決意して、手元に届きました。

これが、10日前の話です。
 
いま、古井由吉全集は、僕の積読本のなかに混じっています。
まだ読み始めたばかりです。でも、この読書体験が将来の自分のためになればなと願っています。


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